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久遠の神話

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第八十九話 六人目への介入その九

 だがそれでもだ、叔母と姪の関係であっても。
「私達はまるで実の姉妹の様に」
「仲がよくてね」
「そして性格だけでなく容姿も」
 それもだというのだ。
「よく似ています」
「そうね、だからね」
「お姉様は謀りごとはされません」
 一切だというのだ。
「そうしたことは」
「貴女がそうしたことをしない様に」
「私は出来ません」
 謀略、そうした類はというのだ。
「とても」
「そしてその気質は」
「はい、お姉様からです」
 セレネー、他ならぬ彼女からのものだというのだ。
「教えて頂いたものです」
「あの方は純真で素直な方よ」
 それがセレネーの特質だというのだ。
「とてもね」
「それ故にですね」
「謀りごとは用いられないわ」
 それはないというのだ。
「私達の間に不和の種を撒く様なことはね」
「決してですね」
「それが有効だとわかっておられていても」 
 例えそうであってもだというのだ。
「あの方はそうはされないわ」
「だからですね」
「ええ、安心していいわ」
「では問題は」
「私達がどうあるかよ」
「互いに信じていればいいですね」
「信じることは力よ」
 それだけでだというのだ。
「それも大きなね」
「私達にとってもですね」
「そう、若し私達がお互いを信じられなれば」
「お姉様と戦うことになっても」
「あの方を止められないわ」
 決してだというのだ。
「一人一人ではね」
「そういうことですね」
「信じることは力ですね」
「そうよ、そしてそのことは」
 智子はこの時は近いものを見る目だった、その目になったうえで二人の妹達、お互いに信じ合っている彼女達に言うことは。
「彼もそうよ」
「熱の剣士もですね」
「そうよ、彼もそうなのよ」
「やはりそうですね」
「彼は家族を信じているわ」
「そしてあの人の家族もですね」
「そう、お互いにね」
 家族としてそういう間柄になっているというのだ。
「そうなっているわ」
「そうですね、では」
「そのことを確信しれば」
「彼は去るわ」
 剣士の戦い、それからだというのだ。
「間違いなくね」
「それではあの人にはどうしますか?」
 聡美は智子に具体的な方法を問うた、コズイレフが実際に戦いから降りる為にどうするのかを。
「一体」
「まずは彼の言葉を聞いて」
 智子はまずはコズイレフ自身のことを言った。
「そしてね」
「そしてとは」
「彼の家族の言葉も聞くのよ」
 コズイレフだけでなく、というのだ。
「お互いに聞いてそうして」
「そうですか、では」
「お互いの言葉をお互いにですね」
 聡美も豊香もここでわかった、智子の今回の策が。それで彼女が全てを聞く前に頷いて答えたのである。 
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