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久遠の神話

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第八十九話 六人目への介入その四

「何としても」
「セレネー姉様を防いで」
「怪物が来るとなると」
 これはこれまでセレネーが仕掛けてきたことだ、だがそれもだというのだ。
「これまで以上に強い怪物が出て来るから」
「だからですね」
「それに対する必要がありますね」
「ええ、一人で勝てない相手には」
 どうするべきか、智子はこのことにはすぐに答えを出せた。
「他の剣士達もね」
「呼んで、ですね」
「そのうえで」
「戦えばいいのよ」  
 そうすればいいというのだ、智子は知性の目で話した。
「それでいいわ」
「おそらく熱の剣士が降りる時に」 
 その時にだとだ、豊香が智子に自分の読みを述べた。
「セレネー姉様は仕掛けてこられますね」
「そうしてくるわ」
 智子も豊香のその言葉に応えて言葉を返す。
「それで私達の妨害をしてくるわ」
「ただ。セレネー姉様は」
 今度は聡美が言う、彼女が言うことはというと。
「剣士に対して願いを適えられると仰いますが」
「誘惑はされないわね」
「それはないです」
「あの方は貴女にとてもよく似ているわ」
 智子は聡美のその中性的な美貌を見て言った、白銀の髪と緑の目も。
「清廉で潔癖だから」
「誘惑はですね」
「されないわ」
「剣士の前に黄金や力、願いにそういったものを加えられることも」
「決してね」
 しないというのだ、セレネーは。
「だからこそね」
「強い怪物を出して妨害はされても」
「誘惑はね」
 それはしないというのだ。
「何があろうとも」
「そうですね、それはないですね」
「そして強い怪物を出して剣士が倒れることも」
 それもだというのだ。
「望まれていないわ」
「そのこともですね」
「セレネー姉様は剣士が死ぬことは」
 それはだというのだ。
「望まれていないわ」
「怪物との戦いでは」
「あくまで剣士と剣士が闘い」
 そしてだというのだ。
「その中で一人が生き残ることがね」
「力を出すことだからこそ」
「それは望まれていないわ」
「怪物との闘いは副次的です」
 ここでだ、聡美はこれまで見てきた、彼女だけでセレネーを止めようとしていた時のことを思い出して語った。
「剣士を強くする為の」
「十三人の剣士達をね」
「そうです、主はあくまで剣士と剣士の闘いです」
「それ故にね」
「妨害は妨害でしかありませんし」
「いけそうね、ただ」
「ただ、ですね」
「熱の剣士はどうにかなっても」
 それでもだというのだ。
「魔の剣士はね」
「あの人はですね」
「難しいわね」
「どうすればいいでしょうか」
「怪物達とも毎日嫌になる位戦っているわ」
 加藤はそうしているというのだ。
「連日連夜ね」
「そうして楽しんでいるのですね」
「彼はそうした人間よ」
 戦うことが趣味であり生きがいである、そうした人間だというのだ。 
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