モンスターハンター ~厄災の狩人達~
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黒蝕の陰、天廻の陽
アルセルタス、突撃!
前書き
料理長ネコの入団を賭け、アルフレッド達は遺跡平原へ配達の邪魔をしている
アルセルタスを狩りに向かった。
「よし、着いたみたいだな!」
ダイラスが荷車から勢いよく飛び降りる。
他の三人も荷車から降りてベッドの前を通り過ぎる。
「支給品ボックスには何が入ってるかな~…?」
ダイラスが支給品ボックスを開けると、そこには基本的に入っている顔ぶれと
支給専用閃光玉が二つ入っていた。
「何だ?閃光玉?何だってこんな物が入ってるんだ…。」
「タレミシア大陸にもクイーンランゴスタやカンタロスが居たし、アルセルタスとかいうモンスターにも効くんじゃないかしら?」
閃光玉を不思議そうに眺めるダイラスを尻目にアルマが弓にビンを装填する。
「クイーンランゴスタやオルタロスなんかはたまに防具を溶かす腐食液を使ってきます。
もしかしたらアルセルタスも似たような体液などを使ってくる恐れがあるのであまり被弾しないように立ち回りましょう。」
「なぁにこのハンマーで一撃だって!」
ダレン・モーランやクンチュウを一撃で屠り、陰龍ネヴィアの重い一撃にも耐えたフラストレーションを空に掲げるダイラス。
「だんだんダイラスと対峙するモンスターが可哀想に思えてきたよ…。」
六十二式対飛竜剣の刀身に目を凝らし、状態をチェックするアルフレッド。
「それでは、アルセルタスを探しに行きましょう!」
「おう!」
アルフレッドの声と共に各自散開した。
「んー…ここには居ないか?」
ダイラスは単身で赤土の橋があるエリア四に居た。
「虫って案外草とか木の近くに居そうなもんだと思ったけど…ん?何だアレ。」
周囲を観察していたダイラスは不意に段差近くに何かを発見した。
「これは…水か何かか?匂いは…うわっくせぇ!」
ダイラスは特異な臭いを放つ液体を入手した。
「アルに聞けばコイツが何なのか分かるかもしれないな…、とりあえず持ってこ!」
ダイラスは他の持ち物に臭いが移らないように、空き瓶に入れてからポーチにしまった。
「…」
二重床になっているエリア九
カオスウィングⅡを背負い、周囲を見渡す一人のハンター。
「居ない…。」
マトレガは少し肩を落とし、カオスウィングⅡにペイント弾を装填した。
(何かあったらすぐにサインを出してくれよ?二秒で行くからな!)
ベースキャンプで分かれる間際のダイラスの言葉が脳裏をよぎり
「―やっぱり寂しい」
ぽつりと呟いて隣接するエリアへと向かった。
「居ないわねぇ…、甲虫種って聞くしやっぱり虫の報せか何かで移動するものなのかしら…。」
エリア五でアインスディレクトⅠを背中からとり構え、ペイントビンを装填するアルマ。
「ま、あの人なら喜びそうではあるわね。次のエリアに向かおうかしら。」
飛竜の卵を避け、アルマはエリア七へと向かった。
「…ビンゴ、かな。」
エリア七。その場にしゃがみ込んで背を低くし、何かを観察するアルフレッド。
「なるほど…。普段はああやって岩壁に張り付いて奇襲するタイミングを伺っているのか…。
タレミシアに帰るときの研究材料に捕獲したいくらいだけど―」
アルフレッドは腰から拳銃を取り出し
「今回はキャラバンのメンバー入団がかかってるしね!」
思い切り大空に向かってサイン弾を撃ち出した。
岩壁に張り付いていたそれはアルフレッドのサイン弾に気づく。
「サイン弾が撃たれたからもしやと思ったけれど、やっぱりここだったのね。」
「さすがは私の伴侶、到着が早くて助かります。」
「もうっ…そんな事言うと―」
「すいません、雑談は後です!来ますよ!」
二人の下に突撃してきたそれは回避されると姿勢を取り直して再度突撃した。
「おおっと…、あんな角にやられたら一たまりもない。」
全体を濃緑色の甲殻に覆われ、四本の足に二対の爪。
背中に生えた羽で飛行し、その頭部の角でハンターを襲う。
「徹甲虫アルセルタス、ですね。」
アルセルタスは自身の名に反応するかのように両爪を振りかざしアルフレッド達を威嚇した。
「ペイントビンを射ったら麻痺ビンに変えるからその間牽制をお願い。その頃にはダイラスたちも到着すると思うわ。」
「了解です!」
アルフレッドは作戦を理解すると標的に向かって走り出した。
無論アルセルタスもそれに対応して迎撃をする。
自身の爪をアルフレッドに向けた。
「フンッ!」
回転回避で爪をやり過ごすアルフレッド。
足元へ潜り込むと六十二式対飛竜剣をアルセルタスの腹部へ突き立てた。
突然の痛みに驚く徹甲虫アルセルタス。顔を必死に動かしてアルフレッドを探し、体の下に見つけると少し下がって爪でなぎ払った。
「―ッ!モンスターから喰らう攻撃はそうそういいものではないですね…。」
吹っ飛ばされたアルフレッドは地面を掴んで体勢を立て直し
「しかし、調査狩猟はここからが本番です!」
タイミングを計ったかのようにアルセルタスにペインドビンが塗布された矢が突き刺さる。
アルマがペイントビンから麻痺ビンに付け替えるのを目視したアルフレッドはそのまま勢いよく地を蹴り、アルセルタスへ飛び込み斬りかかった。
徹甲虫アルセルタスは空高く飛び上がり攻撃をかわすとアルフレッド向かって羽を広げ突撃し始めた。
「しまッ―!」
迫るアルセルタス、姿勢を変え始めるアルフレッドだが間に合わない。
「させるかァー!」
その瞬間叫び声と共に振り回されるハンマーとハンターのシルエット。
剛槌の一撃を浴び地面に叩きつけられたアルセルタス。
「そらよっと!」
アルセルタスの滑空強襲を間一髪のところでダイラスが阻止した。
「助かったよラス!」
「ちょっと迷っちまったけど、ヒーローは遅れて来るもんだからな!」
奥にマトレガの姿も確認したアルフレッドはダイラスがまたがるアルセルタスへ向かって再度攻撃を仕掛ける。
アルセルタスは自身の強襲を阻害した敵を必死に探す。が、背中にしがみついていることに気づくとまたがるダイラスを振り落とそうと必死に体を振ってもがく。
「うおっ、うおお!クソッ…うわぁ!」
背中に必死にしがみつくダイラスだがついに振り落とされてしまった。
「今の感じ…、何かに失敗した感じがする。ということは…!」
何かに気づいたアルフレッドはダイラスへ
「ラス!次ああいう感じに背中に乗っかったら剥ぎ取り用のナイフで背中を切りまくってみて!」
「剥ぎ取りナイフでぇ!?…分かった、アルがそういうなら何か策があるんだな!」
互いに説明しない部分を理解し、ダイラスは再度崖を登りアルフレッドは器用にアルセルタスの注意を引く。
マトレガは既にペイントされていることに気づき弾丸をレベル2通常弾に装填しなおした。
「ラスが崖を登りきるまで僕らでコイツの注意を引きましょう!ラスがコイツに乗ったら何も攻撃を仕掛けないで下さい!恐らく攻撃のチャンスが生まれるハズです!」
全員がコクッとうなずくと各自ダイラスとは反対の方向へ走り、攻撃を開始した。
アルフレッドは足元へもぐりこみ、注意をそちらへひきつける間にマトレガとアルマのガンナー組が標的の視覚をつぶしにかかる。
「そろそろ麻痺するハズ…よ!」
アルマが弦をギリギリまで引き絞り渾身の一射。
蓄積していた麻痺が限界に達しアルセルタスはその場にうずくまり痙攣し始めた。
「ラス!飛び掛って!」
「オ…ッケー!」
フラストレーションに力を溜め込みながらダイラスは崖から飛び降りた。
そして空中でハンマーを背に構え
「コイツを喰らえェ!」
渾身のフラストレーションをアルセルタスの頭部へキッチリ叩き付けた。
それと同時にアルセルタスの背中へ乗りかかるダイラス。
「よし、乗ったぞ!ナイフで背中を切りまくればいいんだな!?」
「ああ!他の皆さんは攻撃の準備をしててください!」
アルフレッドは飛竜剣を研ぎ、アルマはビンを強撃ビンに詰め替え、マトレガはしゃがみ撃ちの準備を始めた。
「…虫には火。」
マトレガは火炎弾を選択し、カオスウィングⅡに装填してしゃがんだ。
「うおお…暴れる!」
懸命に体を振ってダイラスを振り落とそうとするアルセルタス。
負けじとしがみつくダイラス。
暴れに暴れて疲れたのか、アルセルタスは少し動きを止めた。
「今か!」
腰に差している剥ぎ取りナイフを取り出し、アルセルタスの背中を斬り始めた。
「うおおおおおおおおお!!」
アルセルタスの背中を滅多切りに切りまくるダイラス。
ある程度力が戻ったのか再度振り落としを試みるアルセルタスだが
「ぐぬおおおおおおお!」
お構いナシに背中を切り刻むダイラス。そして
「これでどうだぁ!」
ダイラスはトドメと言わんばかりにアルセルタスの背中をかっ裂いた。
ダメージに耐え切れずアルセルタスはその場にダウン。
「今です!畳み掛けましょう!」
片手剣の飛び込み斬りから十字斬り、そして水平斬りから斬り上げへのコンボに
アルマの強撃矢が合いの手を撃ち
「フン!でい!そりゃぁあ!」
ハンマーの三連撃で出来た回転のパワーを溜めこむスキを
「―ッ!」
ヘヴィボウガンの弾丸が埋め、
「こいつで…シメだァ!」
渾身の一撃をアルセルタスの頭部にたたきつけた。
この渾身の一撃を受けてひっくり返り、足をピクつかせながらアルセルタスは息の根を止めた。
「ふぅ、どうにか全員無傷で終わりましたね。」
「貴方の分析力とダイラスの判断力のおかげね。」
アルマは弓を背中にしまい、腕を組んで微笑んだ。
「ガンナーのお二人の支援で大きなスキを晒すこともなく終われたんです。今回はお互いを褒め合いましょう。」
「そうね…。そのアルセルタスからは分かることあるかしら?アナタ。」
剥ぎ取りナイフを使って甲殻の一部を削ぎ落とし、何かを調べるアルフレッド。
「あ、分かることで思い出した!」
ダイラスはふと何かを思い出してポーチに手を伸ばし
「アル!どっかのエリアでこんなモン拾ったんだ!何かの手がかりになればいいんだけど。」
エリア四で拾い空き瓶に詰めたあの臭い液体をアルフレッドに差し出した。
「これは…何かのエキスかな。…ん?」
アルフレッドが倒した標的の何かに気づく。
「尻尾の先から出ているこれは…このビンの中に入っているエキスと同じ…?」
剥ぎ取りナイフでアルセルタスの尻尾の先から分泌しているエキスをすくい、匂いを嗅ぐ。
「うーん…刺激臭はしないけど少し甘い匂いがするかなぁ?こっちのエキスは…」
とビンを空け、匂いを嗅いだ。
「うわっ、臭い!…でもこれでハッキリした。」
「何だ、何か分かったのか?アル!」
ダイラスやアルマが少し寄る。
「うん、どうやらこのエキスの正体は【フェロモン】だね。」
「フェロモン?」
ダイラスは新天地に移って3度目となる首をかしげた。
「フェロモンって甲虫種なんかがよく使う互いの状態や位置を確認するための体液じゃなかったかしら?」
首を傾げるダイラスのために腕を組みながら説明するアルマ。
「ええ、そしてこの二種類のフェロモンはどうやら雌雄関係にあるモンスターのフェロモンのようです。」
ダイラスが拾ったエキスが入っている小瓶を空へ掲げるアルフレッド。
「詳しくはバルバレに戻って調査しましょう!今日はボクもお腹がすきました!」
「ああ、とにもかくにも依頼達成だな!」
「…」
全員は笑いながらバルバレへと帰還した。
後書き
(´‘ω‘`)ちょっとくらい…休ませて…(ゲッソリ
???「ダメだ、この小説は累計1056人のユニークユーザーと累計2579回のページビューを記録してるんだ。こんくらいで根を上げてどうする!」
(´‘ω‘`)ひぎぃ!(悶絶
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