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久遠の神話

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第八十六話 運という実力その七

「特に権力者にです」
「マスコミにですね」
「マスコミは長い間日本の第一の権力者でした」
「立法、行政、司法以上の」
 この三権よりもだというのだ。
「さらに上にあるですね」
「情報を独占出来るということは強みです」
「これ以上はないまでに」
「そこに資金も集まります」
 情報あるところにだ、そして。
「権力も」
「情報、資金、権力の三つを備えているからこそですね」
「マスコミは権力者になります」
「しかもマスコミ関係者は数自体は少ないので」
「余計にです」
 少数の権力者だからこそ資金も使わなくて済む、人件費がその分だけ少なく済むことは非常に大きいのだ。
「巨大な権力者となります」
「それ故にですね」
「我が国のマスコミは長い間第一の権力者でした」
「そうなっていましたね」
「そのマスコミが自分達の政治的思考の近い左翼政党を甘やかしたが故に」
「あの政党は腐敗しましたね」
「その前身の政党も」
 万年野党と呼ばれていた、彼等も常に庶民の味方と自称していたがその正体はというと。
「同じでした」
「むしろ左翼政党はあの頃から全く変わっていませんね」
「はい、何一つとしてです」
「そして一度は政権の座に就きましたが」
 マスコミの全面的なバックアップを受けてだ、そこに何かしらよからぬ意図や事情があったと見るのはうがち過ぎだろうか。
「結局その正体を国民の前に露呈しました」
「あまりもの無能と腐敗によって」
「マスコミも隠しきれませんでした」
「そうなりましたね」
「だからです、マスコミの言うことは」
 それはというと。
「無視していいです」
「聞くべきは国民の言葉ですね」
「私達も国民なのですから」
 この論理でいくとマスコミ関係者の一部は国民ではなくなる、しかしそれも彼等の行動を見れば頷けることかも知れない。
「国民の言葉を聞かねばならないです」
「国益を追求し実現する為には」
「マスコミの主張は私益である場合が多いです」
 左翼政党と同じく自分のことしか考えていないからだ。
「しかし国益は難しいです」
「国民のその時の声に沿っているとは限りませんね」
「はい、国益はまた別のものです」
 国民が常に正しいとは限らないのだ、間違っている場合もあるのだ。
 それでだ、国民の声を聞いてもだというのだ。
「国益は冷静に見極めるべきです」
「難しい話ですね」
「しかし貴方はそれを見極めておられると思いますが」
 権藤はというのだ。
「だからこそ私も貴方を政界にスカウトしたのです」
「それでなのですね」
「期待しています」
 微笑み権藤に告げる。
「首相になられて下さい、そして」
「政策の実現をですね」
「そのことを期待していますので」
「それでは」
 料亭でこうした話をしてだった、権藤は屋敷に帰った、この日はそのまま寝たが翌朝起きて朝の支度をしてから出社すると。
 相手は余計にだった、真実が明らかになってきていた。
「暴力団との黒い関係か」
「前から色々言われていましたけれど」
「余計にだな」
「はい、酷い事実がさらに出てきていますね」
 秘書がこう権藤に話す、権藤はもう書類のサインをはじめていて秘書もその決裁すべき書類を彼の前に出してきている。
「会食をしたりゴルフをして」
「そして邪魔な者を恫喝しているか」
「これはアウトですね」
「終わった」
 権藤は言い切った、実際に自分でニュースの報道を見てだ。 
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