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久遠の神話

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第八十五話 消える闇その三

 そちらに顔を向けるとだ、彼女がいた。
 そして智子と豊香もだ、三人の女神達が岡山から見て左手のホームに立っていた。
 その聡美達がだ、剣士達に言うのだった。
「では間も無くですが」
「俺達はだな」
「戦わないからだね」
 工藤と高橋が女神達の言葉に応える。
「ここから離れなくてはならないか」
「邪魔にならない様に」
「はい、そうして下さい」
「是非」
 聡美と豊香が二人に告げる。
「そして立会人を務めて下さい」
「この戦いの」
「わかった、それではな」
「今からね」 
 二人も女神達の言葉に頷く、そしてだった。
 再び宙に浮かびそのうえで女神達の傍に来た、線路の上に立つのは権藤達だけになった、そうしてだった。
 聡美は権藤にだ、彼の背からこう告げた。
「それではです」
「今からだな」
「貴方に無限の幸運をもたらす指輪を差し上げますが」
「その前にだな」
「戦いがあります」
 それでだというのだ。
「まずはです」
「戦うか」
「そうして下さい、それでは」
「怪物は何処から出る」
「前です」
 そこからだというのだ。
「間も無く出て来ます」
「時間になればか」
「その時にお願いします」
「勝てばいいな」
「是非勝って下さい」
 聡美は願う声で権藤に告げた。
「是非共」
「そして戦いを降りて欲しいのか」
「貴方が願いを適える力を備えたうえで」
 そうしてだというのだ。
「戦いを降りて下さい」
「言われなくともそのつもりだ」
 権藤は正面、敵が来るというそちらを見据えつつ聡美に答える。
「私の願いを適える為にな」
「それでは」
「来い」
 その相手にだ、権藤は言った。
「それではだ」
「はい、それでは」
「そこで見ていてもらおう」
 剣はもう構えている、それと共に全身に気を込める。闇の全てを包み込む気がその全身を包んでいく。そうして。
 前を見る、ここで工藤が言う。
「来るな」
「そうですね」 
 高橋も工藤のその言葉に応える。
「いよいよですね」
「そうだな、向こうから来る」
 その岡山の方からだというのだ。
「凄まじい気だ」
「それだけ向こうも本気ですね」
「セレネー女神もな」
「焦っているんでしょうか」
「そうだろうな」
 こう予想を立てて言うのだった。 
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