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久遠の神話

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第八十四話 運が持つものその一

                    久遠の神話
                 第八十四話  運が持つもの
 権藤が指輪を授かる日は近付いていた、工藤と高橋はその話を智子から聞いた、そのうえでこう言うのだった。
 二人は丁度ランニングを終え整理体操をしているところだった、その中で言うのだった。
「いいことだな」
「これでまた一人だね」
「ええ、それで貴方達は」
 智子は二人に対しても言った。
「戦いは降りないのね」
「そのつもりはない」
「最後の最後までね」
 そういう考えはないとだ、二人も答える。
「何があるかわからないからな」
「若し俺達戦いを止めたいという剣士が最後の一人になるのなら」
 その時にだというのだ。
「俺達の誰かが戦いを終わらせることを願わないとならない」
「だからだよ」
「戦いからは降りないのね」
「そうだ」
「そう考えているからね」
 それでだというのだ。
「俺達は最後の最後までだ」
「戦いからは降りないんだ」
「戦いを止めたい剣士だけが残るということね」
「そういうことだ」
「俺達は今もね」
 戦いから降りずにだというのだ。
「トレーニングもしてだ」
「備えているんだ」
「いいことね、もっとも戦いがなくとも」
 そうでなくともだとだ、智子はここで言う。
「身体は鍛えておくべきね」
「それは当然のことだ」
 工藤は智子の今の言葉にすぐにこう返した、今も整理体操をしながら。
「俺は自衛官だからな」
「俺も警官だからね」
 高橋も微笑んで智子に話す。
「常に身体を鍛えてその時に備えている」
「今もね」
「そうね、スポーツもしてるわね」
「スポーツもしている」
「そちらもね」
 これは二人共だった、そしてそのスポーツはというと。
「武道になるが剣道にだ」
「それに柔道もしているよ」
「そうしたものをしている」
「それで身体を鍛えているんだ」
「そうしているのね」
 智子はその話を聞いてそのうえでだった。
 納得した顔でだ、こうその二人に言った。
「いいことよ」
「戦いの女神としてはか」
「褒められることだね」
「ええ、スポーツは本来はね」
「戦いに備えて己の身体を鍛えるものだからな」
「戦いの女神としては褒められることだね」
「いいことよ、ただ」
 ここでだ、智子は二人にこうも言ったのだった。
「スポーツはスポーツとしてもね」
「楽しめるな」
「そうしたものだね」
「そう、そのまま楽しんでもいいのよ」
 言うのはこのことだった。
「スポーツマンシップを守ったうえで」
「スポーツマンシップか」
「そのことはだね」
「このことを守らないスポーツは」
 それはどういったものなのか、そのことも言う智子だった。
「何でもないわ」
「スポーツでもない」
「そうだね」
 二人もわかることだった、そうしたスポーツは最早何でもないのだ。スポーツマンシップのないスポーツなぞは。 
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