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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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五章
  美濃から堺へ

「なあ、久遠。今しか聞けないから聞くが、次の行動は決めているのか?」

「そうだな。まず美濃を統治し、その後、多方面を同時に攻略するだろうな」

「多方面と言うと?」

「尾張、美濃両国を押さえた我の当面の敵は、伊勢の坊主と一揆衆。・・・・それに江南の六角、越前の朝倉。その三勢力だ」

越前って確かか富山辺りになるのかな。

「北近江の方は敵ではないのか?」

「北の浅井には我の妹が輿入れしておる。・・・・まず敵に回る事はなかろう」

確か史実だと、越前攻めた時に浅井に裏切られてたような気がするが・・・・。

「浅井は信用できると?」

「出来る。小心者のきらいもあるが、真っ直ぐで、純情で根はとても良い奴だ」

久遠がそう言うのなら、信じられる者なんだろうな。という事は、北近江はいいとして当面は伊勢と南近江でその後に越前か・・・・。

「まだ決まってはいないが、最初は伊勢だが我は動かん。麦穂に任せるつもりだ」

「じゃあ伊勢は麦穂で、江南は壬月?」

「ああ、だが六角は中々の勢力。織田だけでは難しい故、浅井にも助力を頼むつもりだ」

ふむ、そういう事か。一瞬俺は背後について考えていたが、久遠の事だろうと思って考えるのをやめた。何かしら手を打っているに違いないと思ったからだ。

「あ、そうだ久遠。一度浅井って奴に会ってみたいんだが・・・・」

「浅井に?何か用でもあるのか?」

「まあ一応だけど、久遠の恋人になったからな、一度浅井に挨拶したいと考えている。どんな奴なのか気になるのさ」

「なるほど。分かった。帰り道で時間があれば繋いでやる」

と言いながら、俺は安堵した。正式な歴史では、裏切られるっていうからな。果たしてこの世界の浅井は、どんな奴か知りたいだけだけどな。あと妹って言うのが気になる所だ。

「お頭ぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!」

「お待たせしましたぁーーーーーーーーー!」

後ろから大きな声が聞こえてきたと思ったら、ひよところ。望遠鏡で見ると、その二人の更に後ろには詩乃がいたけどな。

「おう、ここまで苦労!」

「んもーお頭ひどいですよぉー」

「そうですよ!どうして私達をほったらかして行くんですかー」

「だって、・・・・寝てたろお前ら」

「「ぐっ」」

しばらくすると、やっと追いついた詩乃が息が荒かった。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・よ、ようやく追いつきました。早馬は、どうにも、慣れて、いませんので・・・・」

「よく頑張ったな。まあ早馬より俺のあれの方が楽だとは思うが、慣れてくれ」

と頷いた。俺があれって言ったら詩乃以外は?になっていたがまあいいだろう。

「それじゃ全員揃った事だし、これより任務内容について言おう。今回の任務は久遠の護衛だ。この四人だけで守るので慎重にいこうな。なお、黒鮫隊は俺が呼べば来てくれるので気にしないように」

「「はいっ!」」

「・・・・(コクッ)」

「大義。任す」

「よし、ではひよが先行、俺と詩乃が久遠の側、ころは後方という事にする」

「了解です!それで一真様。目的地はどこです?」

「目的地は堺だ。今浜に向かってそこから船で一気に京までだ」

今浜っていうのは現在でいうなら滋賀県長浜だ、当時は今浜と呼ばれていたそうだ。

「大津より堺まで、馬ならばおよそ一日。・・・・比較的早く到着できそうですね」

大津は琵琶湖西岸にある。湖港もあり、山城国に向かう交通網の一つとなっている。

「堺かぁ。一度行ってみたかったんですよねぇ~♪」

「こらこら、遊びじゃないんだから。浮かれてるとヘマしちゃうわよ」

「あぅ・・・・そうだったぁ・・・・。ごめんなさい」

「構わん。ギラギラした目で我を守られても、それはそれで目立つからな。肩の力を抜いて、少し物騒かもしれない物見夢山とでも思っておけ」

「「はいっ!」」

北近江に入り、今浜の町で船を求め、琵琶湖を突っ切った。美濃を出発してから数日後、俺達は無事に堺の町に到着した。

「ほう、これはなかなかなモノだな」

「凄っ!広く深い堀に高い壁。噂には聞いていましたが、まるで砦のようですね~」

「ふわ~・・・・清州のお城より壁が高いー。それに清州のお城より堀が深い~。・・・・凄いねぇ~」

「さすがは天下に鳴り響く、難攻不落の町・堺。町をグルッと深堀で囲い、橋によって進入路を制限していますね。門もかなり分厚いようですし、その上、高い壁の向こうにはいくつもの櫓が建っている。それ相応の軍勢を持たなければ、落とす事など不可能でしょう。理想的な平城と言えますね」

「堺はこの戦乱の中、どの勢力にも属さず、自治を確立している希有な町ですからね~。かなりの数の傭兵を雇っているようですし、まさにこの乱世にあって一大勢力と言えるでしょう」

「自治を維持するために、これだけの規模の軍備に銭を使う。・・・・会合衆の力がどれだけ強大なのか、実感できますね」

また分からんキーワードが出てきたな。スマホで見ると会合衆は堺を取り仕切る豪商・大富豪の総称であるか。つまりカードの位でいうならブラックカード辺りか。

「珍しく饒舌だな、詩乃」

「力とは、兵の数、兵を食わせるだけの米、そして銭をどれだけ用意できるかだと、私は常々考えております。その理想な姿が、目の前に広がっているのですから、饒舌にもなろうと言うモノです」

とか言っているが、俺達ブラック・シャーク隊も結構使っているんだけどな。だけど、弾は無限大にあるし、食糧はたまに拠点D×Dから調達してるし、今は給料は出さないが拠点D×Dに戻ったら一気に貰えるだろうな。他の世界での国連軍でも、だいたいの金は同じだったし。アメリカならドルだけど、日本だと円。俺はいつもカードで払ってたから、値段は気にするけど、それに前回の稲葉山城の時だって、いつも以上に弾使っていたからな。トレミー3番艦も、ブラック・シャーク隊が住む事になってからは、創造の力で大きくした。だから300人は余裕で暮らしている、格納庫も倍くらい広くなったけど。拠点に帰る時は元のサイズに戻す。とひよが、何か計算しているみたいだった。ひよは計算得意だもんな。

「やはり、一真隊を連れてきて正解だったな」

「というと、武士は昔から、土地や米を基準にして物を考えるんだったよな。だけどもう既に時代は変わっているという事か?」

「その通りだ。それにこの堺を見ろ。実り豊かな土地を持っている訳でもなく、広い領土を持っている訳でもない。銭で米を買い、銭で人を雇い、銭で武器を揃え、銭で権威を買う。銭と言うのはそれだけ力を持つのだ」

「久遠の言う通りだが、全部がお金で解決はしないだろう。幸せはお金で買えないしな、ある程度のお金がないと幸せは維持できない」

「うむ。確かにな。銭の本質とはそう言うものであろうな」

「それにお米は年に一度しか収穫できません。農民は、その時の収穫したお米で一年間生活していくんですけど、銭があれば、何かしたい時にすぐ動けますからね」

「そういう事だ。・・・・さて世間話はこれぐらいにして、堺に入る。我らは田舎から上ってきた小名だ。それらしく振る舞え」

とは言ったけどな。俺はちょっと待てと言ってから空間に入ってから、ある人物を呼んだ。そしてしばらく経つと、空間から出てきたはいいが一人引き連れていたので久遠が質問した。

「そやつは何者だ?」

「こいつは俺の部下で名は沙紀という。俺と同じ出身だが、ここでは南蛮だったか。南蛮語が話せるので連れてきた。南蛮商人と繋ぎたいと言ってたろ?沙紀は通訳ができるからな。それに南蛮にも詳しい」

「織斑隊長から紹介されました沙紀と言います。本名は、言えませんのでコードネーム、ここで言うなら暗号名とでも言うと思います。黒鮫隊の隊員で、織斑隊長の通訳として仕事をした事があります。皆さんよろしくお願いします」

と敬礼をした。その後一人ずつ自己紹介してもらってから、堺の町に入ろうとしたら門番に止められた。ちなみに沙紀は俺の後ろに乗っている。 
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