戦国†恋姫 外史に飛ばされし者
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第7話
前書き
大変遅くなって申し訳ありません!
竜司「とりあえず、第7話更新です!」
竜司、作者「「どうぞー!」」
戦国†恋姫 外史に飛ばされし者
第7話
久遠の家を出てしばらく、清須の街並みが目に入る。
流石にこの時代、電気やガスはなく、明かりを灯すなら、蝋燭の灯りと月の微かな光。
が、俺が歩いている現在、どの民家を見渡してもどの家屋にも灯りは灯っていない。
空を見上げれば、数多の星星が、清須の街を見下ろしている。
竜司「空気が澄んでるせいか、月も星もよく見える…俺の世界じゃ考えられないな」
そんなことを言いながら、俺はゆっくりと歩く。
元の世界での竜司の住んでいた場所は、都会で至るところに構造建造物が立ち並び、車の排気ガスできれいな空気であるとは言えず、騒がしい場所でとてもじゃないが、ここまできれいな星が見える場所ではなかった。
竜司「さて…こうして見て回ると、本当に別の世界に来たんだと実感できるな。だが、こういう場所でも日本…とても鬼が出る場所とは思えないが…」
そんなことを思いながら、先程までのことを思い出す。
ゼウスに頼まれた依頼は2つ。
一つ【鬼の日の本からの駆逐】。
原因はわかっている。この世界は俺の世界のゲームの世界。全ての鬼を消し去るには、元凶である。
ルイス・エーリカ・フロイス、またの名を【明智十兵衛光秀】を何とかするしかない。だが、その明智光秀を倒すのではなく、生かしたまま、ゼウスのところへ連れて行く。
2つ目は、そのエーリカとこれから会うであろう。森可成を救うこと。
おそらく、これからの戦い…織田は鬼を倒すために軍を起こしていくことになる。
ゼウスから聞いた話ではその戦いで森可成が死ぬことになるのが、この物語の元のシナリオ…ゼウスはそれを何とかしろというのだ。
だが…本当にそのようなことをしていいのか…そのようなことができるのか…そして、いつそのようなことが起こるのか…まだ、何もわからない。
竜司「まぁ、その辺はこれからじっくり考えればいいだろう。いざとなれば…俺が…はぁ…」
この世界に来てからこっち、色んなことが怒涛のごとく押し寄せる。
田楽狭間で、久遠を助けたこと。尾張に付いて行って、夫になれと言われたこと…そして鬼…
元の世界では出来るはずもない体験が次々と起こり、それにワクワクもあり、気付かれもあり…
まぁ、戦闘、軍学、その他の学問は一通りやってきた。どのような状況でもなんとかする力はある。
まさか、本当にこんな力が必要になってくるとは思わなかったが。
竜司「考えても仕方がない。まずは一つ一つ、目の前のことからやっていこう。でだ…」
一頻り考えて、自分に納得させ終わり、ある方を向く。
さっきまでうるさいくらいに虫の鳴き声がしていたのだが、それもいつの間にか鳴り止み、替わりにくちゃくちゃと咀嚼しているような音が聞こえる。
久遠の家にいた頃から、違和感があった。それは少なくとも、人間が纏う気ではない。
竜司「…(さて…この気は、まさか…)」
無言のまま、いつでも行動できるように気を配る。
そして、察知されないよう、気を隠しながらそれに近付いていく。
そいつは、暗闇の中、何かを我武者羅に貪り付き、口からは液体がダラ~っと液体が滴り落ちる。
そしてゴクリと、食したものを嚥下する音が聞こえた。
竜司「まさか、こんな人里にも降りてきたとはな…」
そこにいたのは…
鬼「ぐぁああああああああ!」
竜司「鬼…!」
そう。
禍々しく煌く瞳に滑りを帯びた肌。歪んだ笑みを浮かべる口元に見える大きな犬歯。
そして、蟷螂の鎌のような両腕。
暗くてそれはよくわからないが、そいつは間違いなく鬼。
鬼の口からは先程まで何かを食べていたであろう、おそらく人間の、その血が滴っていた。
竜司「お前…人間を食ったのか…」
鬼「ぐるるるるるるるるる…」
当然鬼の言葉などわかるはずもないが、今にもこちらを襲いかからんとする殺気が、先程から鮮明に感じ取れる。
竜司「このまま野放しにしておくわけにも行かないんでな…ここで倒させてもらうぞ…」
だが、俺のいる場所は左右は家の壁。図体のでかい鬼と戦うには不利だし、回避も取りづらい。
なので一度距離をとり、戦いやすくする。
竜司「さて…ここなら十分広さがある…力を使うならここが適当か…」
周囲を確認し、辺りに誰もいないかを確認する。
すると、俺を追ってきたのだろう、鬼が俺に飛びかかってきた。
竜司「ふっ!」
竜司は、ギリギリのところでその攻撃を躱す。
竜司「あまいな…」
鬼「ぐるぁああああああああ」
鬼も負けじと連続で攻撃を仕掛けるも、竜司はことごとく躱していく。
竜司「でも、いつまでもこんなことをしているわけにもいかんのでな…終わらせる…」
そして竜司は詠唱を開始した。
竜司「我は刃…我は均衡をもたらす刃…故にかの敵を打ち破らん!我が名において顕現せよ!アークエネミー【ユキアネサ】!!起動!!」
すると、そこに現れたのは氷…そしてその氷が破片となって砕かれ、そして現れたのは一本の刀だった。
竜司は、ユキアネサを構える。
竜司「氷翔剣!」
そう言うと、何もない空中に氷の刃出現し、相手に討ち放った。
鬼「ぐがぁああああああああああ!」
だが、鬼も本能で察知したのだろう。俺の繰り出した氷の刃を避ける。
鬼は基本的に力任せに攻撃してくるので回避はしやすい。だが、無駄な肉が付いていないせいで、運動能力も人間の数倍はあるだろう。
竜司「所詮は野生の獣と大差ない…が、あの俊敏性は普通の人間なら対処は難しいだろう…ふん!」
鬼はお構いなしと言った勢いでこちらに距離を詰め、次々と攻撃を繰り出す。
竜司もユキアネサで受け止めたり受け流したりして対応する。
長秀「この音は剣戟の音…!?急ぎましょう!あの方かもしれません!」
勝家「待て麦穂!…しばし様子を見る」
長秀「そんな!」
勝家「落ち着け…我らを相手にあそこまであしらうあやつがそう簡単にやられはせんだろう。…奴の真の実力を推し量る」
長秀「殿のご命令に逆らうことになりますよ?」
勝家「承知している。だが、織田家の家老として、奴の実力を見極める必要がある」
長秀「分かりました…しかし、大丈夫でしょうか?」
勝家「わからん。田楽狭間でのあやつの武は見ているが…あれはただの力任せの攻撃だ。が、他国に行かせるには惜しい人材だと言うならば、この程度の局面など、軽く乗り切ってもらわんとな」
長秀「意地悪ですよ…壬月様」
勝家「私とて、好き好んでこのような振る舞いをしている訳ではない。しかし、殿の身辺を守るのも我らの務め。彼奴の力をこの目で見る、絶好の機会を利用せん手はない」
長秀「…危なくなったらすぐ助けに入ります。そのおつもりでいてください」
勝家「わかっている…が、彼奴もそろそろ動くようだ」
長秀「え…?」
織田家の双璧が振り向くと、竜司は刀を自分の前に出し、構える。
竜司「ふむ…まぁ、こんなものか…鬼との戦い方は…」
先程から見知った気配を感じてはいたが、まさか勝家と長秀が来ているとは思わなかった。
だが、あの二人は動こうとはしない。どうやら俺の力を見極めてるようだ。
そっちがその気ならと思い、距離の詰め方、いなし方をみせることにした。
すると、また別の方向から別の鬼がこちらに向かってくる。
鬼2「ぐがぁあああああああああああ!」
竜司「もう一匹いたか…だが、さっきまで気配がなかった…仕方ない…使いたくなかったが…あれを使うか…」
竜司は刀を抜く。すると刀からはシュー!とした音と共に冷気が凍てつかせる。
そして、ユキアネサを地面に突き刺す。
竜司「限定解除…煉獄氷夜!」
すると瞬く間に二匹の鬼は氷漬けになってしまった。
長秀「竜司どの、ご無事ですか!?」
竜司「あぁ、問題ない。っとそう言えば名前を聞いていなかったな…」
長秀「これは失礼いたしました。私は丹羽五郎左衛門尉長秀。通称は麦穂と申します。以後、お見知り置きくださいませ」
勝家「私は、柴田権六勝家。通称は壬月という」
竜司「これはどうも。改めて三上竜司。先程の無礼。失礼した」
以後壬月と表記「そう警戒せんでいい。今日はもう、抜き打ちで襲う真似はせん」
竜司「今日は…ね。久遠の夫となったことで俺の力にまだ信用してないと見えるな…。もしかしたら模擬戦もありえる…か?」
壬月「状況次第ではあるだろうな」
竜司「まぁ…それは構わないがな…」
壬月「ははっ分かればいい」
警戒心を解いて、納刀する。
すると、先程まで鬼を氷漬けにしていたが、徐々に砕かれ、そのまま鬼と共に消えていった。
壬月「ほう…あの獰猛な鬼二匹を一瞬で凍らせて、身も残らず打ち砕いたか…」
以後麦穂「あの様な力…見たことがありません。竜司様は御家流を取得なさっているのですか?」
竜司「御家流…ねぇ。遠からずも近からず…。別にあれだけって訳じゃないけど…まぁ一撃必殺の奥義ではあるかな」
麦穂「しかし…あの人を喰らう妖…鬼をたった一撃で葬るとは…」
竜司「そのための力だからな。だから別に久遠や織田家をどうこうする理由なんて俺には皆無だ」
麦穂「なるほど…」
竜司「それより、さっき俺があの鬼を相手にしている時、あんたら俺のことずっと見てたな?」
壬月「うむ。貴様の力を推し量るために、隠れて検分しておった」
竜司「やれやれ…そんなこったろうと思った」
壬月「まぁそうぼやくな。貴様ほどの腕ならば、助けなど不要であろうに」
竜司「さて…ね。俺だって何かの拍子に油断することだってある」
壬月「抜かせ。それでも撃退してみせたのだ。しかも2度も。これほどの破壊力を持ってだ。…それほどの腕前と力…どこで手に入れた?」
竜司「俺がある者から、鬼を駆逐するよう依頼されたのは知っているな」
壬月「あぁ…」
竜司「元々俺は剣術の心得はあった。と言っても我流のものだが…」
壬月「ほぅ…あの動きを我流で身につけたというのか貴様は…」
竜司「まぁ…そうせざるを得なかったからな。そしてある時、ある者が現れた。そのある者っていうのが、俺をこの世界に飛ばしたやつだ」
壬月「意味がわからんな。その者は妖術師か何かなのか?」
竜司「いや…神様だよ」
壬月「なに…!?」
竜司「その者の名はゼウス。おそらくこの世界じゃデウスって神の信仰の深い仏教徒が堺かどこかにいるはずだよな?」
麦穂「えぇ。実際諸侯の中でも神を信仰する者も多く存在します。その神の名、【でうす】も聞き覚えがあります」
竜司「俺はその神の元で修行に修行を重ね、今の力をつけた」
壬月「なるほどな…まさか本当に天の御使いだったとはな…」
竜司「信じてくれるんだな…?」
壬月「まぁな…あの様な現れ方をしてあの強さ…この世の者ととは思えないとは思うておったが…まさか現実そのような者が居たとはな」
竜司「聞いてて何か照れくさいな…まぁ天の御使いと言っても俺はただの生身の人間だ。多少鬼と戦う力を持った…な。勿論斬られれば死ぬし、皆と同じ赤い血はちゃんと流れている」
壬月「はは。何だ、先程の気迫と違って、童の様に可愛いところもあるではないか。なぁ麦穂?」
麦穂「え、えぇ。そうですね」
壬月は豪快に笑い、麦穂も優しく微笑みながら俺を見つめる。
竜司「まったく…からかうのはやめてくれ。で、二人は鬼と戦ったことはあるのか?」
壬月「あぁ。貴様が来る前も何度か鬼に襲われたことがあってな。その度、私や麦穂が出向いて退治している」
竜司「なるほどな」
麦穂「そして、鬼は夜、一度食事をしたら、しばらく出ては来ないみたいなのです」
竜司「そうか…しかし、このような街中でよく出てこられるな…あんたらも見回りはしてるんだろ?」
壬月「無論だ。常日頃から探索に人を割いてはいるし、何匹か成敗もしている…」
麦穂「ですが一体、何が目的なのか、なかなか判明しません…気長にやるしかないでしょう」
竜司「そんな悠長に構えるのもな…だが、今の所打つ手なし…か」
壬月「解決できようものならとうの昔に手を打っておる。麦穂の申すとおり、気長に待つしかない」
麦穂「我らも精一杯のことはしておりますが…。今の所、夜の外出を控えろ、と下達するしか出来ませんね」
壬月「機内を中心に噂を聞いてはいたが、昨今ではこの尾張や美濃にまで出現しているという。一体何者なのやら…」
竜司「…(鬼の正体はわかっている…その原因を誰が作っているのかも、何が目的なのかも…けど、桶狭間の戦いを終えて、まだ戦後処理もできていないだろうし…まだ言うことはできない。言ったところでどうにかなる問題でもないだろうからな…)」
竜司「で?あなたがたはこんなところで何を?」
麦穂「久遠様に頼まれて、あなたをお迎えに参りました。鬼に襲われる危険がありましたし。念のためにと」
竜司「そうか…それはわざわざすまない」
麦穂「い、いえ…!別にお礼を言われるようなことでは…」
壬月「ははは。まぁ貴様の場合…その必要はなかったみたいだがな」
礼を言われ戸惑う麦穂を尻目に、壬月は大いに笑いをこみ上げる。
壬月「さて、刺激的な散歩も、十分に楽しめたであろう?屋敷に戻るぞ、小僧」
竜司「小僧…ね」
壬月「ん?どうした?」
竜司「いや、まぁ18で神様と修行を始めて大分年月は経ってるから…見た目はこれだけど…実際多分あなたがたよりは歳は上じゃないかと…」
壬月「まぁ確かに貴様の身なりにしては達観した性格のようだし。年不相応に落ち着いている。ふむ…ならば、言葉を改めたほうがよろしいか?」
竜司「いや、あいにくそう言うのは不慣れでな。いつも通りにしてくれて構わない」
壬月「心得た。ならば私のことも壬月と呼び捨てでよい」
麦穂「私も麦穂と呼び捨てでお呼びくださいませ」
竜司「委細承知。さて…なら帰りますかお二人さん」
麦穂、壬月「「はい(おぅ)」」
こうして俺達3人は久遠の屋敷へと戻った。
屋敷に戻ると、帰蝶が湯浴みの用意をしていてくれたので、先ほどの戦闘での疲れを洗い流す。
帰った時の二人の様子は、久遠は俺が無事で帰ってきたことに安堵し、帰蝶は何やら嫌そうに「帰ってきたのね…ちっ」と舌打ちされる。
その顔に苦笑しながら、俺は風呂へと向かった。
竜司「さて…これからどうするっていうか…どうなるんだ?」
柴田勝家、丹羽長秀という織田家の双璧には会えたものの、その他の武将にはまだ会っていない。ということは…
竜司「模擬戦…かな」
まさか冗談で言ったことが本当になるとは露知らず。竜司は再び寝床についた。
次の日の朝。
どのくらい寝ていたのか、外はもう明るく、太陽も燦々と照らし、気持ちいい陽気が差し込んでいる。
竜司「ん~…!よく寝た」
背筋を伸ばし、軽く身体を動かす。
昨日は、昼に一度寝て、そして鬼を退治したあと、風呂に入ってもう一度寝たので疲れは完全に吹っ飛んだ。
そして廊下のの方で見知った気配を感じ、その気配の主達が入ってくる。
久遠「起きろ竜司!」
勢いよく麩を開かれ、久遠と帰蝶が入室してきた。
久遠「ーと何だ。起きているではないか」
竜司「あぁ。おはよう久遠、それに帰蝶どの」
久遠「おう、おはようだ!昨晩はゆっくり寝れたか?」
そう聞いてくる久遠。
そして帰蝶のほうからも「おはよう…」と小さく聞こえた。
竜司「お陰様でな。しかしまぁ久遠も起きるのが早いな」
久遠「惰眠を貪るほど、無駄なことはないからな」
竜司「流石織田信長殿だ…とことんまで無駄を省くのがお得意なようだ」
久遠「だから、久遠で良いというに。仮にも貴様はこれから我の夫となるのだからな」
竜司「ふむ…語っ苦しい言葉は苦手か…了解した。んじゃ改めておはよう久遠」
久遠「うむ!おはようだ竜司!って…挨拶は先程もしたではないか…」
竜司「いや…まぁ新たな気持ちでということで」
久遠「なんだそれは」
と俺の冗談に満面の笑みを浮かべる久遠。
見ていて心地よく、そして飽きないと思っていしまう。
竜司「それで?今日は何をするんだ?家臣達に紹介するのか?」
帰蝶「その通り。今日はお城で久遠を前にして評定が開かれます。あなたのことはその時に、家中の者にお披露目することになるでしょう」
久遠「お前を夫にする。とお披露目するのだ…ふふっ」
竜司「そして認められなければ模擬戦って流れだな」
久遠「よくわかっているではないか。織田の家中は武闘派が多い。納得のいかないことは腕っ節で解決するのが常だ。覚悟しておけ?」
竜司「やっぱりな…そんなこったろうと思ったよ。了解だ…まぁ適当に頑張るよ」
久遠「まぁ貴様なら、何とかなるであろう。一応は手加減してやれよ竜司」
竜司「…全力の殺気ぶつけて終わらせるのも手か…」
久遠「いや…そこは真面目に戦え」
竜司「いやぁ久遠が好きな無駄を省くことを実行しようかと…」
久遠「殺し合いではないのだから、純粋な武を見せよ!我も見たいからな」
屈託のない笑顔で無茶を仰る久遠に一つため息を吐く。
竜司「はぁ、わかったよ。真面目にやりますよ…」
久遠「うむ!それでよい!…では行くぞ」
竜司「朝餉は?」
久遠「そんなもの、評定の後で食えば良い!…ほら、早くせい!行くぞ!」
久遠に無理矢理腕を引かれ、泣く泣く城に向かうことにした。
久遠に連れられて、尾張の城下を歩いていく。すると道行く人は久遠を見ると直様頭を垂れる。
竜司「…(この尾張の住民は皆、久遠に忠誠を誓ってるんだな。久遠がどんなによく統治しているのかが物語ってる)」
少し偉そうで、でも可愛い女の子ってくらいにしか見えないんだろうな…俺の世界では。
だが、この尾張の国を収めているのはこの久遠だ。俺の元の世界ではいざ知らず、ここではやはり、久遠が国主なのだ。
竜司「そう言えば久遠。評定って領地を統治するために、皆が話合って決めたり、軍議を行う場所…でいいんだよな?」
久遠「そうだ。主に家老や侍大将が意見を出し、その意見を下に最終的に我が決断をするのだ」
竜司「なるほどね。侍大将ってのは主にどんな役割なんだ?」
久遠「立場や役職…ということになるか。大まかに言えば、足軽がいて、その足軽を数人から数十人纏めるのが、足軽組頭という」
応仁の乱以降、戦国時代にかけて合戦の集団戦化が進み、戦闘規模も大きくなった。
訓練された槍・弓・鉄砲の足軽隊が組織され主力軍として活躍するようになった。
江戸時代からは物頭と称した潘もある。
久遠「その足軽組頭を数人まとめるのが侍大将で、その侍大将を纏めるのが家老や武将…というところか」
つまり
国主>>>家老>>武将>>>侍大将>>>>>>>>足軽組頭>>>>>>>足軽
こういう立場関係になる。
みんなわかったかな?
久遠「どうした?竜司?」
竜司「ん?いや、ちょっと頭の中で纏めていたところだ」
久遠「ふふっそうか。まぁその他にも、納戸役や祐筆、台所役など、多くの役職があるが…当家ではそんな感じだと思っておけ」
まぁ流石にそれが全国共通という訳ではない。
他国には他国特有の役職があり、状況や事情だって違うのだ。
久遠の話では、織田家は、室町幕府より慣例である寄親寄子に頼らず、その時に迅速に動けるような体制に変えた。
守護大名であった、甲斐武田や駿河今川とは違うのだろう。
ちなみに寄親・寄子とは
中世日本において親子に擬制して結ばれた主従関係あるいはこれに准ずる保護者・被保護者の関係のこと。
保護する側を寄親(よりおや、指南・奏者)、保護される側を寄子(よりこ、寄騎(与力)・同心)とも呼ぶ。
『日葡辞書』では寄親は「ある主君の家中とか、その他の所とかにおいて、ある者が頼り、よりすがる相手の人」、
寄子は「他人を頼り、その庇護のもとにある者。あるいは他の配下にある者」と解説されている byWikipedia
竜司「なるほどな。人を雇うのも相応の銭がかかる。今のご時世、そんな豪族の家は少ないだろう。ってことはより一層寄親の権力が高くなる。尾張みたいな小国にとってはやりにくいことこの上ないな」
久遠「聡いな。そういうことだ。だから我はその制度を撤廃したのだ」
竜司「そうか…ってことは尾張はそれなりに蓄えはあるのか?まぁ駿河、遠江、三河が手に入ったんだからそういうのもできなくはないだろうが」
久遠「それだけじゃないがな。尾張は地味肥え、八方に道が繋がっている。光もできれば人も動く。人が動けば銭も動く。銭が動けば矢銭が入るからな」
矢銭とは武将によって課せられた軍用金のことである。
久遠「そして尾張は津島という、銭のなる木をもっておるのでな。他家よりは銭は豊富だ」
竜司「恵まれてるんだな。尾張って。だが、だからこそ、他家に翻弄されないように舵を取るのが難しい」
久遠「そうだ。そこでお前の出番というわけだ」
竜司「俺を夫にすることで、他家の尾張の豊かな土地と権力、そして兵糧を好き勝手させないよう、先手を打ったという訳だな」
久遠「他家の糸がついた夫など、ぞっとする」
竜司「そうことだな…まぁ俺は名だけのただのお飾りだ。俺の名でよければ好きに使ってくれても構わんさ」
久遠「デアルカ。では城へ急ぐか。そろそろ心構えをしておけよ竜司」
竜司「わかった」
こうして足早に城へ向かうことにした。
いよいよ織田家家臣総勢とご対面といったところ。さて…どうなるか。
後書き
って訳で第7話はこんな感じ!
竜司「中途半端だな相変わらず…」
えぇいいじゃんお楽しみは後で取っておいてもさ!
竜司「全く…せっかく最近お気に入り登録してくれるユーザー様が増えてるんだ。ちゃんと書けよ」
わかってるっつのに!文句あんならお前がかけ竜司!
竜司「お前の作品だろうが!」
うっさい!なら文句言うな!
竜司、作者「「それではまた次回!」」
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