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久遠の神話

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第八十二話 四人への準備その六

「アテナ姉様、ペルセポネーと共に」
「アポロン神のお力をですか」
「これまでは私一人でお姉様を止めようとしてきました」
 そしてそれがだ、過ちだったというのだ。
「しかし今は」
「他の神々のお力も借りて」
「そして止めます」
 まさにだ、そうするというのだ。
「まずは四人を止めることが出来ました」
「それで次はですね」
「はい、あの方のつもりでしたが」
 中田だとだ、だが聡美が今出した言葉は過去形だった。その過去形は自覚して出している言葉だった。
 その証拠にだ、聡美は二人にこう言った。
「それよりもまずは」
「中田さんじゃないんですか」
「はい」
 まさにそうだというのだ。
「お兄様がこちらに来られるまでには時間がかかります」
「だからですか」
「はい、ですから」
「他の剣士の方を」
 先にというのだ。
「止めることにしました」
「誰ですか、それは」
 樹里がこのことを問うてきた。
「一体」
「はい、お二人です」
 先に止めるべき剣士はというのだ。
「そのお二人とは」
「コズイレフさんですね」
 上城はまず彼の名前を出した。
「あの人ですね」
「そして魔の剣士です」
「権藤さんですか」
「はい、彼です」
「あの、権藤さんは」
 彼はとだ、上城は聡美に難しい顔で答えた。
「かなり」
「難しいですね」
「そう思いますが」
「確かに彼に戦いから降りてもらうことは難しいです」
「そうですよね」
「権力は人だけでなく神も捉えるものです」
 聡美達の父であるゼウスも然りだ、この神にしても天空の主神という権力の座に強い執着を見せているからだ。
「ですから」
「あの人は容易じゃないですよね」
「はい、ですが」
「それでもなんですか」
「彼には資質があります」
 それがあるというのだ、権藤には。
「それこそこの国の宰相になれるだけの」
「それだけ凄い人ですか」
「頭脳も人望もあります」
「そういえばあの人は」
 言われてだ、上城も気付いた。
「権力志向ですけれど」
「そこに嫌なものはありませんね」
「純粋に権力を求めている様な」
「そして権力を握ってもです」
 その目指す、求めるものを手に入れてもだというのだ。
「それを活そうとします」
「だからですか」
「はい、彼はです」
「いい権力志向を持っていてですか」
「資質も併せ持っています」
 そしてその資質についてもだ、聡美は二人に話した。
「あらゆる方面の政策を日本の内外からのそれぞれの視点から検証し現実的に行える中で最大限のものを掲げています」
「そうなんですか」
「アテナ姉様のお話では」
 聡美ではなくだ、智恵の女神である智子の言葉だというのだ。
「そう仰っていますので」
「あの先生が仰ることなら」
 樹里も聡美の話を聞いて言う。
「間違いないですね」
「そう思われますね」
「はい」
 まさにその通りだとだ、樹里は聡美の言葉に答えた。 
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