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久遠の神話

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第八十一話 バトルゲームその二

 魔と氷がぶつかる、魔の紫と氷の青がぶつかり闇の中に二色の光が放たれる。そしてその中でだった。
 加藤は跳んだ、そしてそのまま。
 上に留まった、それを、見てだった。
 上城も上にあがり急上昇を仕掛けた、そのうえで下から加藤に襲い掛かる。
 加藤は下から来た剣を受ける、その攻撃も受けてだった。
 そのまま空中で斬り合いに入る、その中で。
 加藤は上城にだ、こう言うのだった。
「いい感じだ」
「楽しいっていうんですね」
「ああ、心底な」
 見ればその口元は笑ってさえいる。
「楽しいな」
「貴方は本等に戦いが好きなんですね」
「人にはそれぞれ趣味があるな」
「はい」
 この主張はわかった、上城にしても。
「僕にもありますし」
「そういうことだ、俺の趣味はだ」
「戦いだからですね」
「戦いと掃除だ」
 この二つがだというのだ。
「だから掃除夫を生業としてだ」
「戦いもですか」
「楽しんでいる、こちらでもな」
 どうしているかというのだ、戦いは。
「この戦い以外にもストリートファイトもしている」
「街で、ですか」
「そうだ」
 勿論非合法だ、その戦いもしているというのだ。
「そちらでは金を賭けたりもしているからな」
「ではそちらでもですか」
「金は得ている、だが」
 斬り合う中でだ、加藤は言う。
「俺は金には興味はない」
「あくまで戦いだけですね」
「そうだ、金は生きる為に必要だ」
 人間の世界にいるのならだ、それは絶対に必要なものであることは事実だ。これを必要とするという意味で加藤は人間の世界にいる。
 だが、だ。それでもなのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「俺はあくまで戦う」
 楽しむ、その為にだというのだ。
「今の様にな」
「あの、それでは」
「何だ」
「若しもです」
 加藤に突きを入れるが防がれる、それを見つつ言う上城だった。
 すぐにまた攻防に入る、その中で言う言葉は。
「この戦い以外に面白い戦いを知れば」
「それならだ」
「その戦いにですか」
「向かう、俺が興味があるのは面白い戦いだ」
 ストリートファイト然り、この戦いもだというのだ。
「ストリートファイトは基本的に拳と拳の戦いでだ」
「剣士の戦いは剣と剣ですね」
「それぞれ面白い」
 そのどちらの戦いも知っていて楽しんでいる、そのうえでの言葉だった。
「だからだ」
「別の戦いを知れば」
「それが面白いのなら俺はそちらの戦いに行く」
「そういうことですか」
「そうだ、ではだ」
 ここまで話してだ、加藤は。
 また剣の力を出した、今度の力はというと。
 一旦後ろに下がり上城から間合いを取った、上城が追おうとするところで。
 剣を正面に一気に突き出した、するとその剣から。
 鬼が出た、鬼の顔を持つ紫の球が出たのだ。球はさながら燃え盛る人魂の様である。  
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