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久遠の神話

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第八十一話 バトルゲームその一

                   久遠の神話
               第八十一話  バトルゲーム
 加藤は上城と対峙している、その中でだった。
 早速剣を一閃させた、するとその剣身から。
 魔、彼の力を出した。その力は忽ちのうちに彼の周りを覆いそうしてだった。
 激しいうねり、無数の竜巻となってだった。
 それぞれ複雑な動きで上城に襲い掛かる、風の様に見えて違っていた。
 魔の力だ、魔は周りにある石もゴミも全て飲み込んでいく。加藤はその魔の竜巻達を操りながら言うのだった。
「汚れはこうしてだ」
「飲み込むですね」
「そうすれば綺麗になる」
 加藤は己のもう一つの顔をここで見せた。
「清潔にな」
「そういえば貴方は」
「言っておくが俺は綺麗好きだ」
 見せたのはこの一面だ、そのうえでの言葉だ。
「だから清掃業を生業としている」
「そうでしたね、確かに」
「そしてだ、綺麗にすることと共にだ」
「戦いもですね」
「好きだ」
 これもだというのだ。
「どちらもな」
「だからその魔の力で、ですか」
「安心しろ、俺は戦うことは好きだが」
 しかしだとだ、さらに言うのだった。
「相手をいたぶる趣味はない」
「そういえばそうしたことはされませんね」
「弱い奴をいたぶることもな」
 それもだというのだ。
「戦いではないからな」
「そのことは立派ですね」
「立派でも何でもない、嫌いなだけだ」
 そうしたことがというのだ。
「強い奴と戦うことが楽しい、人でも猛獣でもな」
「あくまで戦われたいだけですか」
「それだけだ」
 まさにだ、そうだというのである。
「貴様も弱ければだ」
「戦われてなかったですか」
「何度も言うが俺は弱い奴とは向かわない」
「戦いにならないからですjか」
「強い奴と戦い倒す」
 それだけだというのだ。
「貴様に対してもだ」
「そうですか、じゃあ」
「この攻撃はどうかわす」
 魔の竜巻達はそれぞれの動きで上城に襲い掛かって来ている、今まさに彼にぶつかろうとしている。だがその竜巻達をだった。
 上城はその剣に水を宿らせた、しかもその水にさらに。
 冷気を込めた、青い剣が忽ちのうちに氷に覆われた。その氷達で。
 竜巻達を斬っていく。一旦斬ると。
 それでだ、竜巻達は凍り動かなくなった。そうして全ての竜巻達が凍ると。
 上城は持っている剣を手首でひっくり返した、それを合図としてだった。
 竜巻達は全て砕け散った、氷となりアスファルトの上に落ちて消え去った。加藤はそこまで見てそして言うのだった。
「見事だな」
「そうでしょうか」
「俺の攻撃をそうして防ぐとはな」
「咄嗟に思いつきまして」
 氷、それを使うということをだというのだ。
「水はただ水であるだけではないです」
「冷やして氷にすることが出来るな」
「はい、それに熱して」
 この場合もある、水はただ水であるだけでないのだ。
 それでだ、今こう言うのだ。
「お湯にしたり気体にしたり」
「様々だな」
「そのことがわかってきて、使えるだけの力も備わってきました」
「腕を上げているな」
「ええ、そうみたいです」
「面白い、そうした相手ならな」
 それではとだ、加藤は応えると共に。
 その目にさらに光を込めた、野獣の目になる。
 野獣の目で上城を見てだ、そしてだった。
 今度はその剣に魔を込めてだ、そのうえで突進して振るって来た。上城は剣に氷を宿らせたまま対する。 
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