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久遠の神話

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第八十話 残る四人その九

 高代は澄み切った穏やかな顔でだ、上城に話した。
「私は一生を賭けて戦いますので」
「勝てますね」
「勝たなければ何にもなりません」
「子供達を救うことがですか」
「はい、なりません」
 全くだというのだ。
「だからこそ」
「そうですか、じゃあ」
「この学園には暫くいます」
 八条学園高等部、ここにだというのだ。
「しかしです」
「その学校が出来た時にですね」
「去りそして」
 その学校に入るとというのだ。
「今はその為に備えてもいます」
「学園をやっていかれる為に」
「戦いに勝つ為に」
 まさにその為にだというのだ。
「そうします」
「そうですか」
「はい、絶対に」
 また言う高代だった、言葉も穏やかで澄み切っているがそれと共にだ。彼の心には強いものも備わっていた。
 そしてその言葉でだ、上城に話したのである。
「上城君も見ていてくれますか」
「そうさせてもらいます」
 上城もすぐに答えた、高代の言葉に。
「是非」
「有り難うございます、それでは」
「僕も勝ちますので」
「戦いを止められますね」
「僕の力は微々たるものですが」
「それでもですね」
「そうしていきます」
 戦いをだ、止めて終わらせていくというのだ。
「決めましたから」
「強いですね、しかし」
「それでもですね」
「困難で危険な道です」
 戦いを止める為終わらせる為に戦う、まさにそれがだというのだ。
「ですから」
「そうですね、ですが」
「上城君は決められましたね」
「こんな無益な戦いはこれで」
 今この戦いでだというのだ。
「止めます」
「では頑張って下さい」
「有り難うございます」
「私が出来ることはもう応援だけですが」
「いや、それが」
「有り難いですか」
「誰かの声程有り難いものはないです」
 上城は微笑んで高代に述べた。
「ですから」
「そうですか」
「そうです、本当に有り難いです」
「ではこれからもそうさせてもらいますね」
 高代は上城の顔を見た、そのうえで微笑んでの言葉だった。
 高代はここまで話してから席を立った、そのうえで上城に今度はこう言った。
「ではもう」
「授業ですね」
「お昼休みがそろそろ終わります」
「時間が経つのは早いですね」
「特に休み時間は」
 授業時間よりもだというのだ、憩いの時間というものは案外過ぎるのが早いものである。 
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