戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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二章 幕間劇
織田家中への挨拶
「ころちゃーん、水、汲めたよー」
「はーい」
「あ、竹中さん。おはよー」
「おはよー」
「・・・・おはようございます。・・・・ふぁあ」
「よく眠れた?」
「はい。お陰様で・・・・。清州では、刃の影に怯えずに眠れます」
安心して眠れたらしい、詩乃はころが水を汲んだのでそれで顔を洗った。そうか、美濃では怯えながら寝てたらしい。まあここは安心だからな。水で顔を洗った後、ひよから渡された手拭いで拭いた。詩乃はどうやら清州には慣れてきたらしい、つい最近まで美濃にいたからな。
「お店の場所とか分かる?竹中さん、ここには何も持たないで来たから、足りない物とかあるんじゃない?」
「今の所は・・・・大丈夫です」
「そっかー、そういえば今日は一真様とお城に行くんだよね?」
「・・・・はい」
「だったらその帰りに、一真様と一緒に買いに行けばいいのか・・・・」
「一真様に言いにくい物とかあったら、私達に言ってね」
「そういえば一真様は?」
「ああ、そういえばまだ寝てると思うよ。最近は城に行って仕事が溜まってたみたいだったけど、今は落ち着いたみたいだからね。急ぎの登城は急ぎではないからね」
「ですが、もうさすがに寝過ぎていると思うから、竹中さん起こしてもらってもいいですか?」
「承知致しました」
詩乃は障子を開けると俺はまだ寝ていた。まあ、たまにはアラーム無しで静かに起きようと思っていたからな。少ししてから、考え事をしたらアラームが鳴り響いた。鳴った事によって驚く詩乃。俺は枕元に置いてあったケータイを持ってアラームをオフにした。最近のアラームはあのあるゲームのOP曲だけど。
「うん?詩乃?何そんなに驚いた顔してんの」
「いえ・・・・その・・・・いきなり音が鳴ったので驚いたので」
「音?ああこれか。これは決まった時間になると鳴る物だ」
俺はケータイを開いて見せてから枕元に置いた。今の格好はパジャマだ、薄い長袖のシャツにズボンだけどな。俺は、井戸に向かって空間からタオルと洗顔剤を出してから向かった。詩乃もついて来たけど顔を水で洗ってから洗顔剤を中指に塗ってから、水で薄めて泡状にしてから顔に塗った。その後、水で洗い流してタオルで拭いて完了っと。
「一真様、それは何ですか?」
「んー、ああこれか。これは洗顔剤だ、顔を洗う時に使う物だ」
「そうなんですか。その布は高級そうですが?」
「これ?これは俺の世界だと日常茶飯事にある物だから、高級ではないな」
と言って俺の部屋に戻って、一度着替えるからと言って障子を閉めた。量子変換機でパジャマから普段着に着替えた。今は夏だから上は半袖のシャツに下はジーンズのズボン。それに今日は登城だから気軽にと思っての事。ちなみに俺はこれでも軍人だからシャツの中には防弾防刃のチョッキを着ている。あとズボンにはヒップホルスターを付けて拳銃を収める。普段左手で使うので、ホルスターは左にしてある。あと特殊伸縮警棒で、出す時は一気に長くなるが収納する時は短くしている。これは本来は警察官や警備員が持つ奴で、たまに素手で戦う時があるから一応持っている。得物は空間に入れてるから心配いらないし、黒鐵を使う時はもっと先の事だろう。
「一真様、着替え終えましたか?」
「ああ、着替えたからちょいと待ってな」
と言いながらケータイ曰くガラケとスマホをショルダーバッグに入れてから、障子を開けた。そこに待ってた詩乃を連れて、朝食を食った。うむ、今日はころが作ってくれたからうまいな。食い終わったら、歯磨きをした。空間から歯磨きセットを出してから歯を磨いてから井戸に汲んであった水をコップに移してからうがいした。ひよ達は、俺が使っていた歯磨き粉のチューブを気にしていたがまあいいか。この時代にとっては珍しい事だし。で、今は城下町を歩きながら城に向かっていた。
「清州は慣れたかな?」
「・・・・少しは」
「そうか、まあゆっくりと馴染むといい。俺も最初はそうだったからな」
「そうですか。久遠様は今までお出かけだったのですか?」
「いや、ずっと城にいたけど。まあ面会が遅れたのはさ、詩乃が清州に慣れてからだったからじゃないかと俺は思う」
と言ったら、黙ってしまったのでまあいいかと思って城に向かった。城に入って出会ったのは、いつもの三バいや三若に会った。
「お、一真。最近よく見るな。その格好は初めて見るけど」
「まあな・・・・最近忙しかったけど。この服装は俺の普段着だ、ずっとあれだと戦闘態勢になってしまうけどな」
「一真様、この子はー?」
と詩乃に向かって言ったら、驚いたのか俺の背に隠れてしまった。
「あ、隠れちゃったー」
「犬子、怖がらせない」
「べ、別に怖がらせて何かないですよっ!」
「犬子、ひどいな」
「いじめっこだー」
「ひどくないですー!いじめっこでもないですー!」
はあー、正直この三人が騒いでたら誰でも頭抱えると思う。なのでとりあえずハリセン一発叩いてから俺から自己紹介させた。
「この子の名は竹中半兵衛重治。通称は詩乃だ」
「おおーっ!竹中半兵衛って、あの竹中半兵衛か!」
「馬鹿者、大声で言うバカがいるか」
と言って和奏にもう一発ハリセンで叩いた。まあ軽くだけどな、はー、早くこのハリセンで畏怖させてーとか思っていたけど。
「竹中半兵衛ってあれだよねー。新加納の・・・・」
ああ、新加納の戦の事か。満を持して清州を出発し、美濃に攻め入った信長いやここは久遠か。久遠が、美濃にこっぴどくやられてしまった戦いだったな。その中心にはこの子である竹中半兵衛がいたという。
「ふえっ!?雛、今何も怖がらせるような事言ってないよね!?」
と言ったらまたこのパターンかと思って静かにしろとハリセンで叩いた。
「いてて、一真のそれ痛いって。それより壬月様から聞いたけどさ。新加納の竹中半兵衛何てどうやって捕まえたんだ?」
「捕まえてない。ただあの世に行くのは惜しい人材だったからな、斉藤家の追っ手からあと少しで斬られそうだった所を助けた。そしたら仲間になってくれた」
「なるほどねー。だったら雛納得かもー」
「でも、あの竹中半兵衛を手放すとか、美濃の奴ら馬鹿じゃねーの?」
「だよねー。まあその分、雛達は楽出来そうだからいいけどー」
「じゃ、俺達は久遠の所に行くから。三人ともまたな」
と言って俺と詩乃は評定の間に入ったけど、肝心の久遠はいなかった、全くこんな時にどこにいるのやら。今日は詩乃を連れて行くと言っておいたのにな。
「おお、貴殿か。こんな所までどうされましたかな?それとその服装は一体?」
「詩乃じゃなくて竹中半兵衛の顔合わせしに来たんだけど、久遠知らない?それとその質問に答えると気分転換だ。あれは戦闘服だからな」
「久遠様なら・・・・たぶん、庭の方にいたと思いますけど・・・・その子が竹中半兵衛さんですか?それととてもお似合いですよ一真様」
「・・・・・・・」
「ありがと。詩乃、こちらは織田の家老だ。二人とも自己紹介を頼む」
「ああ、私は柴田権六勝家。通称は壬月だ」
「私は丹羽五郎左衛門長秀。通称は麦穂と申します」
「鬼柴田に丹羽の・・・・米五郎左ですか」
「うむそうだ。よろしく頼む。半兵衛」
「ええ、知って頂けているなら光栄です。よろしくお願いします、半兵衛さん」
黙って頷いたが、やはり俺の背に隠れてしまう。麦穂は嫌われていますか?と聞かれたからこの子は少し人見知りする子だと訂正を入れた。壬月は近寄りもしないと言ってたけど、壬月様は鬼柴田だしと言っていた。鬼五郎左には言われたくないと壬月は反撃していたが威圧するなと言っておいた。
「けれど、新加納の竹中殿がこちらの陣に加わってくれるなら。心強いですね」
「うむ」
「そういえば壬月様も、新加納の戦いに加わっていましたよね?」
あー、そうなんだ。久遠が出てないとなるとこの二人が指揮官をしてたのかと思った。
「あの時はしてやられたわ。最も、あの時の敵方の将がよもやこのような小娘だったとは意外だったがな・・・・」
「・・・・・・っ!」
あーあ、また背に隠れちゃった。
「・・・・そんなに私が恐いか?」
「今のは壬月様が悪いですよ」
「うん。悪い」
今の言い方は詩乃じゃなくてもビビると思う。俺は平気だけどな、無論俺の部下達もな。
「むぅ・・・・。そんなつもりではなかったのだが」
「とにかく詩乃、これからよろしくお願いしますね?」
「・・・・・(コクン)」
優しく言った麦穂にも、小さく頷く詩乃だった。で、今は庭にいた。壬月達の話だとこの辺りのはずだが・・・・。
「詩乃、疲れたか?少し休むか?」
「・・・・平気です」
俺はそうかと言いながらも手を繋いでな。あと人見知りするから、しばらくは城に用がある時はなるべく詩乃と一緒の方がいいなと思ったらいたいた。
「お、いたな。おーい、久遠」
「どうした、一真?」
「どうした、じゃないよ。この子と面会する約束だったろ?」
「そうだったな。今日は竹中半兵衛を城に連れてくる約束だったな」
「あなたが・・・・織田三郎殿ですか?」
「うむ」
「久遠。改めてだが、こちら竹中半兵衛重治」
「通称、詩乃と申します。・・・・よろしくお引き回しのほどを」
「我は織田三郎信長。久遠でよい」
なんか空気ピリピリしてきたのは気のせいか?
「詩乃よ。一真から聞いたが、我には才の一部のみ捧げるそうだな?」
「・・・・はい」
しばらく無言が続いたが、先に口を開いたのは久遠だった。そのあと俺の事について、我が才の全てを捧げてと言っていた。あの時もそう言ってたからな、改めて久遠の目の前で言われると少し恥ずかしいような。
「しかし、これで新加納にも改めて決着がついたな」
「どう言う事?」
「あの戦は、確かに我らの負けた。そこの詩乃の策によってな」
今度は俺の背ではなく、俺の服の袖にしがみついた。
「そう怖がるでない。勝敗は戦の常、今更どうこうなどと言わんわ。だが、そこで猛威を振るった美濃の今孔明は、今はこうして我のもとにおる。これを勝ちと言わずして何と言う?」
あー、気にしてないと思っていたがめちゃめちゃ気にしてるんじゃん。
「そういう訳だ。貴様の才の全てを賭けて、我が恋人を手伝ってやってくれ」
「・・・・・(コクコクコクッ)」
笑みを見せた久遠の言葉に、詩乃はきっちり三度首を縦に振った。久遠との顔合わせも無事に終えてから、俺と詩乃は長屋に帰るため城下町を歩いていた。
「よろしいのですか?一真様」
「ああ、城の仕事はほぼ終わらせているから。それより初めて会ったから疲れたろ?」
「・・・・はい、少し疲れましたし緊張してました」
まあ、しょうがないと思うな。久遠に会う前から、濃いメンツばかりだったからな。三若ならともかく壬月と麦穂にはな。
「それよりも・・・・・ありがとうございました」
「何が?」
「新加納の事です。皆様方が遺恨を持っていなかったので」
「俺は何も言ってない。それに久遠も言ってたが気にしてない様子だったろ」
「はい。ですが美濃では勝って当たり前の事でしたから・・・・まして敵将を後で味方に引き入れるなど聞いた事ありませんし」
「稲葉山を、あのバカである龍興に返した後から、詩乃や西美濃三人衆の人たちの扱いが悪かったのであろう?」
「でなければ私はここにはいませんよ」
まあそうだろうな。だが、とある世界の時も敵将を味方にした事があったな。あの時が懐かしいが、結局天下三分の計で全軍が味方になって敵を倒したんだっけな。
「まあ、ここは美濃とは違ってここは尾張だ。面食らう時もあるが、詩乃に悪い事にするような場所ではないと言っておく」
「はい。では次の質問いいですか?」
「俺に答えられる範囲でどうぞ」
「なぜ一真隊のお二人は、どうして私に親切にしてくれるのでしょう。私のような変人と交流を持って、得になる事はないですから。・・・・ひよさんのように愛想が良い訳でもありませんし」
「そうだなー、美濃では大部隊での指揮をしていたと聞くが、一真隊は大部隊ではなく小部隊じゃない。組織の作り方や運用が違うし詩乃流で言えば人心の掌握だと思うけど違うと思うよ。単に仲良くなりたいからじゃないかな?歳も近いし」
「こんなに愛想が悪いのに・・・・ですか?」
「詩乃のそれは単に人見知りだ。俺にはこんなに喋ってるし、それにひよたちも軍なしで仲良くしたいと思ってるんじゃないかな。それに人間関係はまずは仲良くする事だから、帰ったらまずは改めて自己紹介しろよ?まだ通称で呼ばれてないしな・・・・あとはそうだな」
と言いながらも手を繋ぐ。いきなりの事だったがさっきも繋いでたんだけど自然とな。これは練習だと言わせてから、長屋に帰った。
「あ、お帰りなさい!一真様、竹中さん」
「お昼まだ作ってないんですけど作りましょうか?」
ん?時計を見たらもうお昼の時間だった。と思ったらひよが、俺と詩乃が手を繋いでいると言っていいなーと言ってきたから片方空いてるけどころもいるしな。じゃあと思い二人とも半分ずつだが、俺の指を握った。まあこれはこれでいい。
「あの、お二人とも詩乃で構いません」
「分かった、私もころでいいから」
「私もひよでいいよ」
「それじゃあ改めて・・・・おかえりなさい、詩乃ちゃん」
「おかえりなさい、詩乃ちゃん」
「・・・・た、ただいま帰りました。ひよ、ころ!」
今までで最高の笑顔で言いながら言った。これで第一歩を踏み出したなと思いころ特製の昼食を食べたのであった。
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