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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二章 幕間劇
  川遊び

聞こえてくるのは蝉の声かな。日差しは強めだがまあいいだろう。それに蝉って確か和歌にもあるくらいだから蝉もいるか。それにしても暑いな、現代よりかは涼しいけどな。現代はアスファルトの照り返しで、地球温暖化でのヒートアイランド現象だったか。ここは無縁の場所のはずだけど、なぜこんなにも暑いのであろうか。まあ俺の着てる服も問題あるだろうけどな、今は長袖ではなく半袖だけど防刃用だから少し分厚い。蝉が鳴いてると言う事は夏か。あれ?あそこにいる二人はもしかして・・・・。

「おーい、ひよ、ころー」

「あれ、一真様」

「どうしたんですか?あまり元気なさそうですね」

「いや暑いなーと思って」

俺は元気だが、この二人はさらに元気そうだな。いきなり現代からこの時代に来たからなのか、俺が元々いた世界はクーラーや扇風機があったからかもしれん。

「そうだ、一真様。私達これから川に涼みに行くんですけど、一緒に如何ですか?」

「川か。その手があったな、なら行くか」

「はい。じゃあさっさと行きますよ、一真様」

川沿いまで辿り着くと、街中に比べて幾分か涼しい風が吹いていた。ふむ・・・・これならクーラーとかは必要ないな。

「で、ここより先にいい所あるんだろう?」

「はい。もう少し歩きますけど、平気ですか?」

「もちろん。・・・・早く行こうぜ」

こんな涼しい風が吹くからどこでも行けるぜ。とそんな事を考えながら俺とひよはころに先導されて川沿いの道を歩く。そしたら子供の声が聞こえたので、何だと思ったらころの知ってる人だった。先を見ると整備された川岸で、上半身裸の如何にも強そうな男が幾つもの荷物を上げ下ろしている。なるほどな。あの子供は水運関係の仕事をしてる人の子供かー。ころはこの辺りの事を知ってるのかな。あの子供はころと遊びたがってるけどそうは行かないんだよなー。

「そういえば二人は久遠の指示で、近い内に木曽川流域の豪族達の調略に行くんだよな?」

「はい。だから、今日はこうやって三人で涼みに来られてよかったです」

とここで戻ってきた、ころは昨日も子供と遊んだらしいが毎日遊びに行くと迷惑になるそうだ。

「一真様、私たちしばらく留守になりますけど、大丈夫ですか?」

「ああ、何とかなるだろう。隊の皆もそれなりに声をかけてるからな。それに備品とかも隊の皆で決めるし」

「それなら安心して行けますよ、一真様」

と考えていたら今度は商人がころに話しかけてきた。結構この辺りは知り合い多いのかなと思ったのだが、後程聞いたらあの商人は野武士の時に時々お世話になってたらしい。ころも野武士の棟梁だったからな、行商の人から様付で呼ばれても不思議ではないな。もしかして、今回の調略も野武士との繋がりがあるのかなと思ったら、またころに声をかける男達がいた。川並衆って何だろう?ひよに聞けば分かるかな。

「ひよ、川並衆って何だ?」

「ころちゃん達、この辺りでは川並衆って言って、木曽川の水運を取り仕切っているんですよ」

おいおい、どんだけだよ。川並衆ってのは規模多すぎだろう。あの時墨俣での野武士ももしかして川並衆かな。で、話を聞くと俺が川並衆の事を知らなかったというと少し恥ずかしがっていた。そんなに大きな集まりではないらしいが、ちゃんと後任もいるから安心と言ってたな。今度は屈強な人が来たけどまた様付か、あの人達も川並衆らしいがどんだけ知り合いいるんだよ。と思ったら、ころと話してた人の連れがこちらに来た。

「おう、兄ちゃんが噂の蜂須賀様の新しい親分さんかい?」

「まあそうだが、あんたも川並衆か?木曽川の水運を司ってるって聞いたが」

「おう。でも正確にはかわなみじゃなくて、かはなみだけどな」

「かはなみ?何かの略か?」

「まあな、・・・・可愛い 蜂須賀様を 仲良く 見守る衆の略だよ」

ああ、なるほど。だからあんなに話しかけるのか。

「ほんとはてめぇ何ぞに蜂須賀様を預かりたくはないが、仕官は蜂須賀様の夢だったんだし。俺ら川並衆としちゃ蜂須賀様の門出を応援しなければならねえ。あーあ、蜂須賀様について行った奴が羨ましいぜ」

そういえば一真隊の隊員募集の時、ころが連れてきたメンツがいたような。あの人達も川並衆もとい、かはなみ衆出身なのか。こちらに来たころに挨拶した後行ってしまった。その後ひよが呼んでたからころと行ったがこの女の子が木曽川の水運を仕切っていたのかと思った。木曽川の影の支配者のころは、それからも河川関係者から挨拶されぱなしだった。それから歩いてから辿り着いたのは広い河原だった。

「着きました!」

「ほう、見事だな。さすがころのお気に入りの場所だな」

俺ところが話していたら、ひよは草履を脱いで早速川に足を踏み入れていた。

「もう・・・・。ひよ、転ばないでよー?」

「大丈夫だよ。子供じゃないんだから!」

いや、どう見ても子供のテンションだろ。それ。

「一真様も来ませんか?気持ちいいですよ」

その点、ころは少しだけお姉さんだ。俺は靴と靴下を脱いでズボンを上げてから、川緑に腰掛けて足を川の中に入れる。

「ほう、なかなかこれは気持ちいいな」

浅い川の流れは、この暑さでも冷たくて気持ちいい。ここまで歩いてきた間にかいた汗が、すっと引いていく感じだ。俺のいた世界じゃこういう事は中々出来ないからな、川=飲み水に近い。

「ひよも言ってたけど・・・・今日は一真様と一緒に来られてよかったです」

「俺もころの事が知れてよかったけどな」

「うぅ・・・・何だか恥ずかしいです」

「ころちゃーん!ころちゃんも来なよー!」

「私はいいよ」

「じゃあ一真様は?」

俺もいいと答えたら、俺と出会う前は一緒に水かけっこをする事になってたようだ。そしたらころに水がかかったから、反撃としてころも水の中に入った。で、反撃してから今度は俺にもと水をかけてきたが、そうはさせるかと思い俺の周りだけ水の壁で守った。ひよところは、頭が?になっていて何度水をかけてもこちらは濡れないようにしてる。そんな子供みたいに遊ぶ歳ではないしな。なのでいくらかけてきても無駄だけどこちらも攻撃をした。水を野球のボール位にしてから放った。ひよところの足元を狙って。それからは主にこちらが攻撃をしてから、ひよところは、避けようとしてたが避けられなかった。しばらくすると二人とも息が上がってたので攻撃はやめた。ただ水の壁はまだだけど、二人は濡れてはいるがこの日差しだとすぐ乾くだろうなと思いながら岩に寝転がった。俺は水の壁を解除してから、二人の所に行く。そのあと調略の事を頼むと言った後、手を握った。そしたらあそこに久遠がいたので呼んだ。

「おお、一真にひよところではないか」

「久遠、また忍びで来たのか?」

「まあな。そちらは川で遊んでたのか?」

「そうだ。二人は遊ぶとしても俺は遊ぶ歳ではないからな」

とか言いながら久遠も涼みに来たらしい。当然忍びという事は、また壬月に内緒で来たのだろうか。まあいいと思って、しばらく話していた。久遠は先に帰るといってから俺達も帰った。 
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