モンスターハンター ~厄災の狩人達~
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黒蝕の陰、天廻の陽
新天地での初依頼 討伐
前書き
(´‘ω‘`)章どこで区切ろうかな…あ、いえ何でもないです。それではお楽しみくだしあ
ルブル・エルトラス遺跡平原
古代の竜人族と言い伝えられる人種がその生活と英知を結集させて造り上げた壮大な遺跡。
平原を歩いていると赤土を固めて作られた柱のような構造物が見て取れたり、それらに根を張った植物が補強材となる形で今も建物の体を維持しているエリアもある。
遺跡であるということは当然学者たちにおける宝物庫とも比喩されるものではあるが、ルブル・エルトラス遺跡はそれ以上の価値を秘める。
何しろ発掘・生態・環境など全ての分野を通して遺跡全体の三割にも調査が至っていないのである。
今のところ分かっているのは大型モンスターとの戦闘が可能なエリアは九つあるということ。
地質変化などが起きやすく、採取できるアイテムが数分後には採取できない状態になる、逆もまた然るということ。
飛竜種などの巣は遺跡奥地にある神殿のような場所であることくらいか。
ルブルとは古竜人の言葉で「我らの」、エルトラスはその地につけられた名前であることが出土した文献で明らかになっている。
「さ、つきましたよ。…ラス、いつまで寝てるんだい?」
「んが…」
この地のベースキャンプに降り立ったのは料理長ネコの依頼を受けたアルフレッド達四人。
「各々地図は携行して下さい。それとこの地方では支給品にたいまつが入っています。それも持っていって下さい。」
「たいまつって何だ?」
たいまつとは木の枝の先に可燃性の液体をしみこませた布状素材を巻きつけたもので、暗所での明かりの役割を果たす他にモンスターに当てると種によりけりだが別のエリアへと逃げさせることができる便利アイテムである。だが統計調査では明かりの役割で使った記憶はほとんどないというハンターが多数を占めるようである。
「へぇ~、まあでも何の役に立つかは分からないし一応持ってこ。」
「そのほうがいいよ。あとの支給品は各自で判断をお願いします。
…あ、携帯食料は二個もらっていきますね。」
「じゃ、私も二個もらおうかしら。」
ここでこの話から見始めた読者に支給品について記しておこう。
ハンターズギルドから支給される物は主に応急薬・携帯食料・携帯砥石が主流で、それ以外の支給品には狩猟目標や狩り場の環境に配慮した物品がある。
稀にまったく調査が進んでいない対象に効果的な物品が入っていることがあるが、あくまでそれは同じ個体種からのデータと推測を元に支給されているだけである。
そして数年前までは味に不評があった携帯食料も改良が施されており、量自体は変わっていないが味が付けられるようになったという。
ハンターズギルドの調査では「ピリ辛バーベキュー焼肉味」が好評のようである。
「あ、ついでですがこの地の色んな調査も合間合間にやるので依頼達成時間が長引くかもしれません。そのときは各々二体討伐したらサインを出して下さい。全員のサインが確認され次第僕が自分の現在地を知らせます。何かあったときもそれでお願いしますね。」
「…分かった。」
「それじゃ、依頼開始です!」
「いよっしゃぁ、新しい狩場での初依頼だ!腕が鳴るぞォ~!」
「…。」
貴方の場合は本当に腕だけで討伐をしかねないのでやめてください。
「ふ~ん…ここにはケルビが居るみたいだなぁ。」
「…クンチュウ居ない。」
ダイラスとマトレガが来ているのは地図で言うエリア三。ここでは緩やかに流れる川のせせらぎと、土に根をおろす草本類を食べるケルビの鳴き声を聞くことができる。
山のほうには倒壊した赤土の柱があり、そこから遺跡内部に入れることが考えてとれる。
「そういやケルビの角はいにしえの秘薬にも使えるんだったよなぁー…。気絶させればいいんだっけ?」
「…。」
マトレガがカオスウィングⅡに弾丸を込めている間にダイラスはケルビに近づき頭をなでた。
ケルビは嬉しそうに目を細めながらダイラスの手に頭を擦り寄らせる。
「よしよし、いいケルビだ。」
少しの間和やかな空気であったが…
「ちょっと歯ァ食いしばれ!!!」
なでていた左手とは逆の右腕で拳を作り、ケルビに向けた一撃でその空気は一気に殺伐としたものになってしまった。お願いですので素手でケルビを殴らないで下さい。
「お!いい感じにめまいをおこしてるな!ちょっと角いただくぞ~…。」
ダイラスは無残にも殴られたケルビから角を剥ぎ取った。
めまいから立ち直ったケルビはもう人なんか信じない!と言いたげに走り去って行った。
「さって…ここにはクンチュウってモンスターは居なさそうだし、別のエリア行ってみるか…。」
「…分かった。」
ダイラスは地図を見ながらマトレガとエリア八へ向かった。
「自分からこの地の調査をするなんて珍しいじゃない?普段はギルドから通達が来て渋々準備をして出て行く貴方なのに。」
「前々からここには一度でも来てみたかったんですよ、新婚旅行も兼ねて。」
「あら、嬉しいこと言ってくれるわね。今晩は頑張っちゃおうかしら。」
「待ってくださいアルマさん僕はそういう意味で言ったんじゃありま――」
「あら、ニトロダケじゃない。ハチミツはどこだったかしら…。」
「人の話を聞いてください!!」
身の危険を感じたアルフレッドと、そんなことを尻目に元気ドリンコの調合素材を探すアルマが居るのはエリア二。
ここは赤土の遺跡に根を下ろしたツタ植物が網目状に育った二重床のエリア。
しかしツタ植物ゆえに脆く、単純に力を加えれば当然千切れて下の床に叩きつけられることとなる。
メラルーの群れがこの辺りで活動しているようで、狩猟中の窃盗被害が後を絶たないそうだ。
「この辺りにはどうやら、クンチュウは居なさそうね。」
「生息域も分かりませんし、しらみつぶしに当たるしかないですね。たまには適当に歩き回るのもいいでしょう。」
周囲を観察しつつ、エリア四へと向かった。
「あれ?いつの間にか合流しちまったぞ?」
「どうやら、クンチュウの生息域は限られているようですね。」
そうこうしている間にエリア七を除く全てのエリアを歩き、合流してしまったアルフレッド達
そして
「どうやら、あれがクンチュウのようだね。」
アルフレッド達が崖の方を見ると、黄土色の甲殻を身にまとった盾虫クンチュウがその体を起こし左右に震わせ、アルフレッド達を威嚇していた。
「甲虫種…だっけ?というとランゴスタやカンタロスと同じ種類なのか?アル」
「そうだね、生態がかなり違うようだけど。」
クンチュウは自身の体を丸まらせると転がり始め、かなりのスピードでアルフレッド達の元へ転がってきた。
「うおっ、あぶね!」
寸前のタイミングで右足を上げて転がり突進を回避するダイラス。
目標を通り過ぎてしまったクンチュウは体を元に戻し、ダイラスの方を向き直って再度体をくねらせ威嚇した。
「ハハハッ、こいつおもしれぇなぁ!」
「そうだね、ソルディム山地やテロス密林じゃ見かけない行動をするし。」
ダイラスが笑いながらハンマーを持つ腕に力を溜め込み
「でも俺に突進してきたのは否めないかなッ!」
思い切りフラストレーションを叩き付ける。
クンチュウは緑色の体液を周囲にぶちまけながらピギッという音と共に砕け散った。
「ちょっ、ラス…。力が強すぎるよ…。」
「だって討伐だろ?こんくらい早いほうがいいじゃねえか!」
「まったく…。」
アルフレッドはそういうともう一匹転がってきたクンチュウの突進を回避し、
「ハンマーでは潰れちゃったけど片手剣とかはどうかな?」
ひらりと片手剣をクンチュウに滑り込ませた。
すると片手剣は弾かれたが、衝撃に驚いたクンチュウは急激に丸まりその後裏返って暴れ始めた。
「なるほど…甲殻自体はかなりの強度の物だけど外部からの衝撃に過敏に反応して瞬時に防御形態をとるのか…。これは面白いモンスターだ!」
とさわやかな笑顔でクンチュウを滅多切りにした。
数秒後、返り血…もとい返り体液を拭いながらアルフレッドは
「いやぁ、調査狩猟って楽しいですね!」
と満面の笑みでダイラス達に語りかけた。
「…時々アルの方が怖いんじゃないかって思うときがあるぜ…。」
「…同感だわ。」
ダイラスとアルマは二人して頬杖をつきながらため息混じりにつぶやいた。
遺跡平原での初依頼を終え、アルフレッド達は無事バルバレへと帰還。
すぐにジャックスが出迎えた。
「おお、お疲れさんだったな!どうだ、遺跡平原には慣れたか?いいもんは一杯あったか?」
「ええ、面白い物や事がたくさんありました。これですから遠方の地の旅は飽きませんね!」
「そいつはよかった!出来れば討伐した証みたいなのを見てみたいんだが…何かないかな?」
ジャックスからの突然のお願いに少し戸惑うアルフレッドだったが
「ダイラスが討伐したクンチュウなら、ギルドの人から渡されましたが…見ます?」
「ああ見るとも!」
アルフレッドはジャックスの返事を聞くと、ダイラスから白い袋を受け取りジャックスの目の前で開けて見せた。
「これがダイラスがハンマーで砕いたクンチュウです。」
「く、クンチュウをハンマーで砕いた…?キックとかで転がしてからじゃなくてか?」
ダレン・モーランの時と同様口をあんぐりさせながらクンチュウを見る。
「ええ、普通に歩行してるときにです。すごい音がしましたよ?ピギッ!って…」
ジャックスがゆっくりと顔を持ち上げる。その目は輝きに満ち溢れていた。
「凄いじゃないかダイラス!クンチュウを砕いたハンターなんて未だかつて見たことがないぞ俺は!
やはり君達を選んで正解だった!これからの旅は今までの物以上に面白くなるぞォ!
早速ギルドマスターとまた話してくるよ!君達は料理長と話をしてくるといい!」
そういうと放たれた矢の如くジャックスは集会所へと走って行った。
「…元気な人ねぇ。」
「…元気すぎる。」
アルマとマトレガは各々顔を見合わせほくそ笑んだ。
後書き
お待たせ致しました!完成です!
あ、生態報告書のほうはどうでしたかね?
つまらなければ言って下さい!ただの素人の妄想書きですので!すぐにでも消します!
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