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モダンな悪魔

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第一章

                      モダンな悪魔
 悪魔とはどういうものか、今彼等はこのことで話していた。
「だから頭に角があってでかいフォークを持ってるんだよ」
「それで蝙蝠の翼を生やして先が尖った尻尾だよな」
「それが悪魔だよな」
「そんな姿だよな」
「契約をして魂を貰う」
「召喚されてな」
 彼等はクラスの中で話していた、ニューヨークのとあるジュニアハイスクールのクラスである。
 休み時間の中でだ、彼等は話したのだ。
「悪魔ってそうだよな」
「そんな姿だろ」
「召喚されて契約をするんだよ」
「漫画とかじゃそうだからな」
「そうか?」
 クラスメイト達が話す中でだ、一人が反論した。
 ボーイ=クラウスは首を傾げさせてこうクラスメイト達に話したのだ。
「いや、それは昔の悪魔だろ」
「昔?」
「昔のか」
「ああ、中世のな」
 その頃の悪魔だとだ、クラウスは仲間達に言うのだ。
「その頃だろう」
「まあ今でも漫画で出て来るけれどな」
「中世の絵画とかの悪魔だよな」
「そういえばそうだな」
「その頃だよな」
「キリストの顔だって時代によって違うからな」
 クラウスはこのことを引き合いに出した。今のキリストの顔は濃い長い髭の顔だが中世までは髭のない青年の顔だった。
 そのことからもだ、クラウスは言うのだ。
「だからな」
「それで、か」
「今の悪魔はか」
「ああ、また違う姿だろう」 
 そうではないかというのだ。
「僕的にはそう思うけれどな」
「ううん、どうだろうな」
「その言葉には一理あるな」
「だよな、確かにな」
「そうかも知れないな」
 クラスメイト達もクラウスの言葉にまさかと思った、それでだった。 
 真剣に考えてからだ、こう彼に答えた。
「じゃあ一回呼んでみるか?」
「召喚してみるあ?魔法陣描いて」
「それで本人が出てくればわかるだろ」
「悪魔自身が」
「ああ、じゃあ呼んでみるか」
 クラウスも彼等の言葉に乗った、そしてだった。
 彼等はそのままクラスの机をどけてそこに魔法陣をチョークで描いた、貢物なり何なりも用意しておいた。
「貢物は肉か」
「ああ、牛肉だよ」
 アフリカ系のクラスメイトがスーパーで買って来た牛肉の塊を出した、見ればパックとビニールに包まれたままだ。
「生贄っていうかな」
「まあこれでもいいか」
 クラウスはその肉を見て言った。
「特にな」
「そうだよな、別にな」
「貢物は何が駄目とか書いてないしな」
 赤髪の少年が街の本屋で買った悪魔に関する本を開いている、、そこには魔法陣についても書かれている。
 それでだ、こう言うのだ。
「いいみたいだぜ」
「じゃあこれを貢物にしてだな」
「今から悪魔呼ぶか」
「呪文も書いてあるしな」
 ただその呪文は英語だが彼等は全く気にしていない。
 それでだ、特に意識せずにだった。
 赤髪の少年が呪文を詠唱する、そしてだった。
 魔法陣の中央から何かが出て来た、それはというと。
 黒い金ピカの縁のサングラスをかけたアフリカ系の男だった、頭には野球キャップしかもニューヨークヤンキースのそれを逆に被りラッパーそのものの服を着ている。痩せた顔とスタイルであり出て来るといきなり派手に踊る。 
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