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魔法超特急リリカルヒカリアン

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無印編
  第四話


のぞみが青い光を目撃する少し前。旅館の裏にある山の中を流れる川に掛かった橋の上でブラッチャーとフェイト達がジュエルシードの回収をしていた。その時、アルフがふとフェイトに言った。

「何であんたのお母さんはこんな物を欲しがっているんだろうね?」

「何?まさか、フェイトのお母ちゃんがジュエルシードを欲しがっている理由を知らないのか?」

それを聞いたブラックエクスプレスが尋ねる。すると、アルフは首を横に振りながら答えた。

「全然。ただ持って来いって言うだけでさ。」

「でも、母さんが欲しがっているのなら手に入れないと。」

「そうか。フェイトちゃんはお母ちゃんの事が大好きなんだな。」

母親の為に頑張るフェイトを見て微笑ましく思うブラックエクスプレス。そんな彼の言葉に照れながらフェイトはジュエルシードを封印した。その直後・・・

ガサッ

後ろから白い服を着て、手に機械的な杖を持った少女…高町なのはが現れた。彼女の足元にはユーノも居る。

「む?若しかしてこの前言っていたフェイトちゃんのライバルか?」

ブラックエクスプレスがなのはを見て言った。すると、なんとユーノがブラックエクスプレス達に向かって叫んだのだ。

「ジュエルシードをどうするつもりだ!それは危険な物なんだ!」

「答える義理は無いねえ。」

「「そうだそうだ!」」

アルフに同調するドジラスとウッカリー。が・・・

「だって僕たちも知らないもんね〜。」

ウッカリーが何故か自慢げな感じでバラしてしまった。

「何をバラしているんだお前は!」

「痛っ!?」

当然ながら、ブラックエクスプレスのゲンコツを食らってしまうウッカリー。一方、それを聞いたなのはとユーノは首を傾げていた。

「理由を・・・」

「知らない?」

「と、とにかく!邪魔するのなら容赦しないぞ!!!」

暗黒鉄球を構えながら誤魔化すように叫ぶブラックエクスプレス。すると、そこへ・・・

「やっぱり何か企んでいたんだな、ブラッチャー!!!」

のぞみ達がやって来た。

「げぇ!ヒカリアン!?」

「改心したと思ったら、また悪さをするなんて!」

テツユキ君がブラッチャー達に向かって言った。その時、のぞみがある物に気付く。

「テツユキ君、ひかり隊長!あの女の子の持っている物を見て!!!」

そして、フェイトが手に持つジュエルシードを指差した。

「あの宝石は!?」

「間違いない!例の宝石と同じ物だ!!」

「ん?何だ、あんた達もジュエルシードを集めているのかい?」

叫ぶテツユキ君とひかり隊長を見てアルフが言った。

「お前は!?」

すると、ひかり隊長はアルフが昼間なのは達に絡んでいた女性だと気付く。

「ブラッチャーの仲間だったのか!」

「だったら何だってんだい!!」

アルフの姿が人間のものから大型の獣…狼へと変化した。

「わあ!?アルフが変身した!?」

「カッコイイ!!」

それを見たドジラスが驚き、ウッカリーが歓声を上げる。すると、アルフがブラックエクスプレスに話し掛けた。

「さて、アタシはあのお子様の相手をするよ。だからあんた達は・・・」

「ああ。ヒカリアンの相手だな。」

「フェイトは先に帰ってて。」

「分かった。」

アルフに言われ、その場から立ち去ろうとするフェイト。

「逃げるよ、のぞみ!!!」

「なのは!!」

それを見たテツユキ君とユーノが叫んだ。

「分かってる!!」

「待って!!」

そして、のぞみとなのはがフェイトを止めようと動き出す。だが・・・

「ここは通さんぞ!」

「邪魔はさせないよ!!!」

ブラックエクスプレスとアルフが前に立ちはだかった。

「邪魔をするな!!!」

「なのは!一度下がって!!!」

すると、ひかり隊長とユーノがそれぞれ前に出た。ひかり隊長は左手の盾でブラックエクスプレスの暗黒鉄球を受け止め、ユーノはバリアでアルフの爪を防ぐ。更に、ユーノはアルフを巻き込む形で自身の周りに魔法陣を展開した。

「転移魔法!?」

アルフはその正体に気付くがもう遅かった。魔法が発動し、アルフはユーノとともにここから離れた森の中に飛ばされてしまう。

「アルフが!」

「消えちゃった!?」

「大丈夫。あれは転移魔法だから別の場所に行っただけ。」

それを見たドジラスとウッカリーが慌てるが、フェイトが説明をする。その時・・・

「おい!ドジラス、ウッカリー!!早くどちらかこっちに来い!!!」

一人でのぞみとひかり隊長と戦っているブラックエクスプレスがドジラスとウッカリーに向かって叫んだ。

「あ!親分!!」

「早く行かないと!!!」

それに気付いたドジラスとウッカリーは慌てた。すると、フェイトが二人に言う。

「なら、二人でブラックの方に行ってあげて。」

「え?いいの?」

「うん。あの子の相手は私一人で充分だから。」

ドジラスの質問にそう答えると、フェイトはなのはにむかって自身のデバイス“バルディッシュ”を構えた。なのはもまた、自身のデバイスである“レイジングハート”を構える。そして、フェイトに問いかけた。

「フェイトちゃん。ジュエルシードを集める理由を知らないって、本当なの?」

「そうじゃない。私が知らないのはジュエルシードをどうするかと言う事だけ。集める理由はちゃんとある。」

「なら、それを教えて!!!」

「前にも言ったハズ。答えても、意味が無い。」

「でも!お互い理由を言って、話し合えば戦う必要なんて・・・」

「言葉だけじゃ、何の意味も無い。伝わらない。」

そう答えると、フェイトは高速で移動し、なのはの後ろをとった。そのまま彼女はバルディッシュを振るう。

〈フライヤーフィン〉

なのはは飛行魔法で飛び上がる事でそれを回避した。すると、フェイトもなのはを追って空へ飛び上がる。

「賭けて、お互いのジュエルシードを一つずつ。」

そして、なのはに向かってそう言い放ったのであった。




一方、ブラッチャーと戦うのぞみとひかり隊長の方はというと。

「あの宝石を使って何をする積もりなんだ、ブラッチャー!!!」

「しかも女の子を利用するとは、どう言う積もりだ!!!」

ブラッチャーに向かって叫ぶのぞみとひかり隊長。すると、ブラックエクスプレスがこう答えた。

「何を勘違いしている。俺様達はフェイトちゃんを利用しているんじゃない。手伝っているんだ!!!」

「何だって!?」

「どう言う意味だ!!」

「フェイトちゃんは話さない方針で行く積もりだ。だから、俺様達も話さない!」

「「そーだ!そーだ!!」」




ユーノとアルフは森の中で先頭を繰り広げていた。と言っても、ユーノがひたすらアルフの攻撃を防御しているだけだが。

「何故使い魔を造れるほどの魔導師がこの世界に居るんだ!ジュエルシードについて…ロストロギアについてどこまで知っている!」

「ごちゃごちゃうるさい!」

ユーノがアルフに目的を聞くが、彼女は答える事を拒否する。その時・・・

「っ!?」

アルフの嗅覚が森の中に自分達以外の誰かが居るのを感知した。

「誰だい!そこにいるのは!!」

アルフはそこに向かって魔力弾を発射する。すると、気配の持ち主はそれを避けて姿を現した。

「拙者は忍者南海ラピート。訳あってイタチ殿に助太刀する!」

「はっ!あんたもヒカリアンかい!!」

そして、アルフはラピートに向かって行った。




〈サンダースマッシャー〉

〈ディバインバスター〉

再び、なのはとフェイト。
二人は互いに砲撃を放ちぶつけ合っていた。最初、その威力は互角で拮抗していた。だが・・・

「レイジングハート!お願い!!」

〈了解しました。〉

なのはがレイジングハートに命じて砲撃の出力を上げた。それによりフェイトの砲撃は押し返され、光に飲み込まれる。

「ああ!?フェイトちゃんが!!!」

「どうしましょう、親分!!!」

「やられちゃったよ!」

それを見て慌てるブラッチャー三人組。だが、アルフは余裕の笑みを浮かべていた。

「強いね。でも、まだまだだ。」

そして、アルフがそう言った直後・・・

〈サイズフォーム〉

光の刃を展開し、死神の鎌のような姿となったバルディッシュを構えたフェイトがなのはの上空から襲ってきた。なのははそれに反応出来なかった。そして、フェイトは彼女の首筋に刃を突きつけた。

〈Put out.〉

すると、レイジングハートが内部からジュエルシードを一つ排出した。

「レイジングハート、どうして…!?」

「きっと、主人想いのいい子なんだ。」

なのはがレイジングハートに抗議すると、代わりにフェイトが答える。

「アルフ、ブラック、ドジラス、ウッカリー。帰ろう。」

「さっすがあたしのご主人様。」

フェイトが帰るよう言うと、アルフは戦闘を中断した。ラピートが強敵だったのか、彼女の身体には細かい傷がチラホラと見える。

「凄いぞ、フェイトちゃん!!!」

「まさに圧勝!!!」

「すっごくかっこよかったよ!!!」

一方、ブラッチャー三人組は歓声を上げていた。そのまま、フェイトは去って行こうとする。その時・・・

「待って!!!」

なのはがフェイトを呼び止めた。すると、彼女はこう答える。

「もう、ジュエルシードには関わらないで。でないと、次は止められないかもしれない。」

「名前!名前を教えて!!!」

「・・・フェイト、フェイト・テスタロッサ。」

なのはに名前を聞かれ、答えるフェイト。そして、なのはが自分の名前を言う前に飛び去ってしまった。

「待て!!!」

「逃がすか!!!」

それを見て追おうとするのぞみとひかり隊長。だが・・・

「待たれよ。」

ラピートがそれを止めた。

「どう言う積もりだ、ラピート!!!」

当然、ひかり隊長はラピートを問い詰めた。すると、彼はこう答える。

「この勝負は既についている。ゆえに、これ以上の戦いは無意味。」

「その通り!今回は正真正銘俺様達の勝ちだ!!!」

「ついにやりましたね、親分!」

「わーい!勝った勝った〜!」

それに乗じてブラッチャー達が自慢げに言った。さらに、ブラックエクスプレスが宣言する。

「次のジュエルシードも俺様達が頂くぞ!!!」

そして、そのままフェイトを追う形で飛び去って行った。

「なあ。こう言う時は何て言いながら飛んで行けばいいんだ?」

「そう言えば、いつもやられて『おぼえてろよ〜!』でしたからね。」

「勝った時何て言うか考えた事無かったよね〜。」




「行っちゃった・・・」

飛び去って行くフェイト達を眺めるなのは。すると、のぞみが彼女に声を掛けた。

「なのはちゃん。君はあの宝石について何か知っているの?」

「え?これはその・・・」

何とか誤魔化そうと頭を回転させるなのはであったが、名案は浮かばなかった。

「事情を話してはくれないか?」

そして、今度はひかり隊長がなのはに言った。

「やっぱり、そうなっちゃいますよね・・・」

そして、ついになのはは観念する。

「わかりました。ちゃんとご説明します。ユーノ君もそれでいいよね?」

「僕もそれで構わないよ。」

その後、今日はもう遅いと言う事で、説明は次の日になってからと言う事になった。



続く

 
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