| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法超特急リリカルヒカリアン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

無印編
  第三話


今日、のぞみ達四人は『海鳴り温泉』に来ていた。

「わあ!いい所だな!!」

旅館の外観を見てテツユキ君が感想を洩らした。

「これもミナヨちゃんが商店街の福引で一等を当ててくれたおかげだね。」

「やだもう!のぞみったら!!」

のぞみがそう言うと、ミナヨちゃんは照れながら言う。

「三人とも、遊びで来ているんじゃ無いんだ。早くチェックインするぞ。」

すると、引率役のひかり隊長が言うので、三人はついて行った。




四人は受付でチェックインを済ませ、荷物を部屋に置くと部屋の窓の外をみた。

「随分と街から遠く離れているな。」

「どうします、隊長?」

ひかり隊長が呟くと、のぞみが聞いた。

「今から街の方に行こうにも時間が掛かりそうだからなあ・・・仕方ない。このまま普通に温泉を楽しむとするか。」

「「「やったー!」」」

ひかり隊長の決定に喜ぶのぞみ達三人。
早速、彼らは温泉へと向かった。そして、それぞれ男湯と女湯ののれんの前で分かれようとした時・・・

「あ!ヒカリアンだ!!」

廊下の向こう側から三人の女の子が走って来た。年は多分テツユキ君とミナヨちゃんより少し下くらいだろう。

「ねえ!あなた達、本物のヒカリアンなの!?」

金髪の外国人の女の子が聞いてきたので、のぞみがそれに答えた。

「もちろんさ。僕はのぞみ。こっちはひかり隊長だよ。」

「サインしてもらってもいいですか!?」

すると、紫色の髪の女の子がハンカチを取り出した。そこにサインして欲しいと言う意味だろう。

「弱ったなぁ・・・サインの練習とかして無いよ。」

「私もだ。」

それに困ってしまうのぞみ達。その時、肩にフェレットを乗せた茶色い髪をツインテールにしている女の子だけが何処か緊張しているのにテツユキ君が気付いた。

「そんな緊張しなくても大丈夫だよ。ヒカリアンは皆のヒーローなんだからね。」

「は、はい・・・」

テツユキ君が声を掛けるが、まだ緊張が解けていない様子だ。そこへ・・・

「なのは〜!」

「すずか〜!アリサちゃ〜ん!」

三人の保護者らしき大人達が後からやって来た。

「どうもすみません。うちの子達がご迷惑をおかけして。」

そして、この中で最年長らしい黒髪の男性が謝罪する。

「いえ、別にいいですよ。」

「元気なお子さん達ですね。」

「ありがとうございます。ところで、あなた達もこれから温泉ですか?」

「ええ。それじゃあ、一緒に入りましょうか。」

ひかり隊長のこの言葉を始まりに、のぞみ達とこの一行は一緒に温泉に入る事となった。(もちろん、男女別で。)




男湯ではひかり隊長と先程の男性、高町士郎さんが仲良くなっていた。彼はあの三人のうち茶髪の女の子、なのはちゃんのお父さんだそうだ。

「へえ〜・・・喫茶店の店長さんなんですか。」

「そちらこそ、まさかヒカリアンの隊長さんでしたとは。」

「いえいえ、そんなに固くならないで下さい。」

一方、のぞみとテツユキ君は士郎さんの息子でなのはの兄の高町恭也さんと背中を流し合っていた。

「しかし、旅行先で有名人と会って、しかもこんなに仲良くなれるとは思わなかったよ。」

「エヘヘ。有名人なんて、そんな。」

恭也さんの言葉にテツユキ君は照れる。

「向こうの方でも、ミナヨちゃんとなのはちゃん達は仲良くなれているかな?」

そう言いながら、のぞみは男湯と女湯を仕切る壁を見るのであった。




一方、女湯の方ではと言うと・・・

「カワイイイイ!!!」

「キュッキュッ!」

ミナヨちゃんがなのはのペットであるフェレットのユーノの可愛さにメロメロだった。

「あの、ミナヨさん。そろそろユーノの身体を洗いたいんだけど。」

すると、金髪の少女アリサ・バニングスが言った。

「ええ〜!もうちょっと抱っこさせてよ〜!!」

だが、ミナヨちゃんはまだユーノを可愛がり足りないようだ。だがその時、ユーノが彼女の腕から抜け出す。

「あ!待って!!」

慌ててミナヨちゃんは追いかけた。なのはとアリサ、それに紫色の髪の女の子の月村すずかもそれに続く。

「「「「待って〜!!!」」」」

「キュッキュッ!!」

お風呂が嫌いなのか、必死に逃げるユーノ。だが、前に5人の人影が立ちはだかった。

「おっと!ここからは通さないわよ!!」

なのはの姉で恭也の妹の高町美由紀

「ユーノくん。わがままはダメよ。」

なのは達の母親の高町桃子

「逃げ回っていると、他のお客さんの迷惑になるでしょ。」

すずかの姉で恭也の恋人の月村忍

「そう言う訳ですので。」

「大人しく捕まっちゃって下さい!!」

そして、月村家のメイドのノエルとファリンだ。

「キュウ・・・」

それに思わず怯むユーノ。すると、その直後・・・

「「「「そーれっ!!!」」」」

「キュッ!?」

なのは達に捕まってしまった。その後、彼が四人に身体の隅々まで洗われたのは言うまでもない。




「ふぅ〜。いい湯だったなあ。」

温泉から出た男子一同。

「それじゃあ、私は桃子と一緒に散歩に行って来るよ。」

と、士郎さんが

「じゃあ、俺は忍と。」

と、恭也がのれんの前で分かれた。

「それじゃあ、私たちは卓球場に行くとするか。」

「「さんせーい!!」」

そして、のぞみ達は卓球場に行くのであった。
だが、その途中で・・・

「あらあらあんた、この前うちの子をあれしちゃってくれた奴らじゃない。」

なのは達三人とミナヨがオレンジ色の髪の女性に絡まれていた。

「こら!何だお前は!!」

早速、ひかり隊長が女性に注意した。

「女の子に絡むとは、どう言う積りだ!」

すると、女性はヒカリアンが現れた事に驚いたのか目を丸くした。だが、直ぐに表情を笑顔に変えて言う。

「いやあ、ごめんごめん。勘違いだったみたいだよ。」

そして、女性は去って行った。

「何だったんだ、今のは?」

「酔っ払いじゃないの?」

テツユキが首を傾げているとアリサが言った。

「とりあえず、卓球やろうか。」

すると、のぞみがそう言ったので、一行は卓球場に向かった。




卓球場に着いたのぞみ達はとりあえず、トーナメント制の試合を行った。なのはは運動が苦手なようでミナヨちゃん相手に初戦敗退、一方でのぞみとテツユキ君はいい勝負をした。
そして、決勝に勝ち残ったのはひかり隊長とすずかである。

「それ!」

「うおっ!?」

すずかはかなり運動神経が良いようで、ここまで圧勝だった。今もこの中では最年長であるひかり隊長がかなり苦戦している。そして・・・

「ああ!負けた!?」

「やったー!!!」

結果は何とすずかの優勝だった。

「すずかちゃん凄い!」

ミナヨちゃんやなのは、それにアリサがすずかを褒めたたえた。一方、のぞみとテツユキ君はひかり隊長を慰めている。

「い、いい勝負でしたよ。隊長!」

「そ、そうそう。落ち込む事無いって。」

そして卓球の後、彼らはそれぞれの部屋に戻ろうとしたのだが、その時・・・

「いやあ、疲れた疲れた。」

「早くお風呂に入ってゆっくり休みましょうよ親分。」

「大分汚れちゃったしね。」

なんと、ブラッチャーが居たのである。

「ブラッチャー!?」

「どうしてここに!?」

「げっ!ヒカリアン!?」

どうやら、この遭遇はブラッチャー側としても想定外のようだった。

「また何か企んでいるのか!?」

反射的にそう言うのぞみ。すると、ブラックエクスプレスが反論した。

「失敬な!俺様達がもう悪事から足を洗った事はお前達の知っているだろうが!!」

「あ、そうだった・・・」

その事を思い出し、申し訳ない気分になるのぞみ。だが、そこでテツユキ君がブラッチャーに聞いた。

「じゃあ聞くけど、どうしてそんなに汚れてるの?」

「こ、これはだな・・・」

すると、途端にブラッチャー達は挙動不審になる。

「やっぱり、何か企んでいるんじゃ・・・」

「ち、違う!これはその・・・ただ探し物をしていただけだ!!」

「探し物?」

「そう!探し物だ!!」

半ばヤケクソぎみにそう言うと、ブラッチャー達は温泉の方に走って行ってしまった。

「これは、かなり怪しいな。」

そんな彼らを見てひかり隊長が呟いた。




その頃、温泉に入ったブラッチャー達はと言うと・・・

「ふう、まさかこんな所にヒカリアンが居るとはな。」

「バレたら邪魔されるかもしれませんよね。」

「そうなったら大変だね〜。」

温泉につかりながらのぞみ達の事について話していた。

「だが、もうジュエルシードは見つかっている。夜中のうちにこっそりと回収してしまえば後はこっちの物だ!さあ、今夜は張り切って行くぞ!!」

「「ブラッチャー!!!」」

しかし、直ぐに気を撮り直してジュエルシード回収に意気込むのであった。

「うっせーぞ、そこ!!!」

「「「あ、ごめんなさい。」」」





そして夜。のぞみ達は自分の部屋で眠っていた。その時、何処からかノックの音がする。

「う〜ん・・・誰?」

その音で目覚めたのぞみが目をこすりながら布団から起きる。すると、なんとその音は入り口のドアではなく、窓からしていた。恐る恐る窓を開けるのぞみ。そこに居たのは・・・

「ラピートじゃないか!?こんな時間にどうしたんだ?」

忍者ヒカリアンのラピートであった。

「あれを。」

すると、ラピートは森の方を指差す。その先では何と、青い光が天に向かって昇っていた。

「何だあれ!?」

「拙者にも分からん。だが、何やら良からぬ気配がする。」

驚くのぞみに対しそう説明するラピート。

「そうだ!ひかり隊長!テツユキ君!ミナヨちゃん!」

我に返ったのぞみは仲間達を起こし、光っている場所に向かったのであった。



続く

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧