迷子の果てに何を見る
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第三十六話
前書き
改めて師匠が化け物だということが骨身に沁みました。
byアリス
新年だよ!全員集合!! その2
side アリス
どうしてこうなってしまったのでしょう。
『第6回 最強王者決定戦 未成年の部いよいよ開始まじかだ。さて今回初参加の人もいるのでおなじみのルール説明に移ろう。ルールはただ一つ殺しは無し。これさえ守れば何をしてもOK。戦闘不能と判断された場合こちらで回収されるので問題も無いぞ。次に選手の紹介をしよう』
一人一人紹介がされて行きますが今回のこれの参加者は30名、書類上の未成年者は全員が参加です。もちろんアーニャさんも。そして、フェイト・アーウェルンクスもです。書類上で彼は私よりも一つ上、つまりアーニャさんと同い年という設定です。しかし彼がこれで優勝したのは第1回目のみだそうです。それ以降は最初に袋だたきにされるのが恒例になっているみたいです。それでも半分位が脱落するみたいですが。
『さて、母親であるアリカに父親であるナギの良い所だけを受け継いで産まれてきた期待の新人。アリス・スプリングフィールド。今回初参加だが一体どんな戦いを見せてくれるのだろうか。所属はAriaだ。ちなみに半数以下で負けになった場合にはお仕置きが待っているから頑張る様に』
司会やってたの師匠なんですか!?声が違いすぎますよ。それよりお仕置きなんて嫌ですよ〜。
『なら負けるな』
思考を読まれた!?
『最後の一人、アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ。新年会に参加するメンバーも知らされずにアリスに拉致られて参加する羽目になってしまった普通の魔法使いだ。正直、勝つビジョンが全く見えない。トトカルチョでの大穴とだけ言っておこう。所属はMMだ』
トトカルチョは個人と所属の2種類があり、所属はMM、ヘラス、アリアドネー、完全なる世界、そしてAriaだ。
『試合開始まで1分をきった。準備は大丈夫か。おっとそう言えば言ってなかったが優勝者には賞金100万ドラクマが送られる』
100万ドラクマ。こっちで10年間遊んで暮らせる額じゃないですか。それだけあれば村の人たちを助ける分は足りたはず。これは優勝しなければ。
『スタートまで残り5、4、3、2、1、スタート』
side out
side レイト
オレのスタートの合図とともに選手が一斉に動き出す。まあ、それは置いておいてオレはナギとアリカ、それにクルトを連れて観戦席から離れる。キティには念話で事情を話してあるので問題は無い。そのまま4人で隣の部屋に移りこれでもかという位に結界を張る。
「レイト、これはあの世界とこれの事を話してもらえるという事か?」
そう言ってナギが取り出したのは一冊の漫画だった。タイトルは
『魔法先生ネギま!』
ナギ達が飛ばされた世界、そこで見つけてしまったのだ。自分の息子が主人公の漫画を。
「クルトには既に話した事があるが簡単に言おう。この世界はその漫画に酷似した世界だ。正確に言えばある事が原因で変化してしまった世界と言った方が良いだろう」
「変化した原因、それがお主か」
「そうだ。ナギには話した事もあるがオレは異世界人だ。オレの世界に突如出現した遺跡を調査していた所、謎の装置によりこの世界に飛ばされてきた。そこからはエヴァと出会い『教授』として活動してきた結果がその漫画とこの世界の相違点だ。オレという存在がいなければ漫画とほぼ変わる事無い世界になっていたかもしれない」
「かもしれない?」
「それについては私から」
クルトがモニターに色々な人物のデータを表示していく。
「これがどうかしたのか」
「ええ、実はこの人物達はある共通点があるんです」
「共通点?」
「書類上は何の問題も無いんですが、彼らを知る人物は誰もいないんです」
「よく分からないんだが」
「たとえばこの人物ですがメルディアナ魔法学校を卒業している事になっているのですが同期の人に話を聞いても誰一人として知らないんです。そして両親とされる人も書類にだけ存在するんです」
「ありえないな。一体なんなんだ、そいつらは」
「転生者。神の暇つぶしの為に送られてくる異世界人だ」
「神?暇つぶし?」
「そうだ、神が暇つぶしの為にチート能力を与えて送り込んで来ている。正直な所大戦期序盤のナギ位の強さがある」
「あの頃のオレ位か。厄介かな?」
「戦闘経験の不足で一人に対してアリアドネーの兵を1小隊で討伐は可能だ」
「なら経験を積まれたら」
「かなり厄介な事になるだろうがオレの敵ではない。現在の所確認されているのは473人だが既に全員処理しているし、たぶんそろそろ来ない様になるはずだ。原作に介入するならの話だが」
「......一つだけ聞きたい事がある。アリスは............」
その先が出ない。聞きたいがそれを聞いてしまえば普通に接する事ができるのかが不安なのだろう。二人とも不安そうな顔をしている。だからこそオレは嘘をつく。
「アリスは転生者ではない。オレが介入した事で変わってしまった可能性の一つに過ぎない」
その言葉に二人とも安心した表情になる。だが、これだけは聞いておきたかった。
「もしアリスが転生者だったらどうするつもりだったんだ」
「別にどうともしないけど隠し事をされてたのがちょっとな」
「私が産んだ以上あの子は私たちの子供だから話してくれるまで待つだけよ。そして処理するというなら、たとえレイトでも相手になるわよ」
その答えに満足したのでこの話はこれで終了する。
ここからはオレの用件に移る。
「さて、これからの事だが、すまないが二人には完全なる世界とここで生活してもらいたい。理由は二人を異世界に飛ばした人物とその背後にいる奴らに気付かれたくないからだ」
「分かった」
「それから一番の問題なんだが、二人の息子の扱いだ」
「なぜあんな子に育ってしまったのか」
「見事にオレとアリカの悪い所を半々に受け継いだ上で自分の悪い部分を生み出しちまってるな」
二人が頭を抱えてため息をつく。
オレとクルトも最初はクルトの元に送り込もうとしたのだがそれを茄子が細工を施して自分の元に来る様に仕込んだみたいだ。原作ですら『日本で教師をする』だったのに態々『麻帆良学園で教師をする』に変更してやがったからな。オレも後で知ったんだが。
アリスは最初からオレとメルディアナの校長が仕組んでオレの元に来る様にしたから問題は無い。ちなみにメルディアナの校長もこの新年会に参加している。
「今の所麻帆良祭でオレは超側につくから勝利は確定した様なものだから、クルトにテロも防げなかった麻帆良学園に査察団を送り込んでもらって、その際に野菜コンビをオコジョ刑で本国に送還する予定だな」
「やっぱりそうなるか」
「ああ、どうしようもない。いくら何でも魔法バレが酷すぎる。一人が原因で今までの関係を崩す様な事は出来ない。いくら二人の頼みでもこればかりはな」
「仕方ないか。でも、できれば」
「分かってる。出来る限りの教育はする。オコジョ刑も原作同等なら3年程で済む様にはしてやる」
「すまない」
「謝る様な事じゃない。むしろ環境がそれを許さなかっただけだ。まあ、今の所はアリスだけで我慢してくれ。再会した時に説教の一つ位はしろよ」
それから元の部屋に戻り試合の様子を観戦する。現在は試合も終盤に近づいている。
side out
side アリス
《Scanning Charge!》
「せえいやあああ」
対峙しているオーズがオースキャナーを持ちタトバキックを放ってくる。それを受け流しベルトに挿入されているコアメダルを奪い取る。これで全部のコアメダルを奪う事に成功したので変身が解けるのと同時に至近距離で法撃を叩き込む。まともに受けた零樹君はそのまま戦場に施された魔法で場外に転送される。
「はぁ、はぁ、しんどい。さすがとしか、はぁ、言いようが無い、はぁ、ですね。それよりも隠れて休まなければ」
魔力と気と気配を出来るだけ消し、岩陰に隠れて休息を取りながら自分の状態を確認していきます。
仕込んでいた暗器類は既に尽きてしまいましたね、魔力と気も半分程度からそれ以下といった所、符や媒体はそこそこありますね。後はさっき奪ったコアメダルが15枚、せめてベルトを奪いたかったです。それよりも後何人残っているのかが問題です。戦闘中で気配を消せていないのが5人ですから少なくとも2回は戦闘を行なわなくてはいけないと考えればかなり厳しいですね。
今は出来るだけ体力の温存を優先します。
そこで気を抜いたのが失敗でした。リーネさんが影から飛び出し右手をこちらに向けていました。
「解放・闇の吹雪」
咄嗟に持っていたコアメダルに魔力を通し、障壁になる様に展開します。
師匠が作ったコアメダルは魔力媒体としては最高級品なのでいざという時に重宝する事は教えてもらっていたのである程度の軽減にはなりましたが、それでも直撃というのは避けれず、すぐにでも失格になるのが目に見えています。ですが一矢報いさせてもらいます。
残っている魔力を全て電気に変換、それを一緒に飛ばされたコアメダルに通しレールガンの弾にしてリーネさんに放ちます。気を失う前に見たのはズレて、リーネさんの右腕を貫いたレールガンの後でした。
次に目を覚ましたのはそれから数時間後でした。起き上がると傍にお母さんが居ました。周りを見るとかなり大きな部屋に大量のベットが並べられていて私が参加していた最強王者決定戦の参加者とそれの大人の部に参加していた人たちが寝かされています。私の隣のベットにはお父さんが寝ていました。子供の部の優勝者は刹那さんで大人の部は......師匠でした。ハンデで瞬動、虚空瞬動、浮遊術以外の魔法を使わずに仮面ライダーV3だけで戦ったらしいですが。準優勝はお父さんらしくかなり接戦だったそうです。師匠もボロボロだったらしいですけど怪我の手当だけすると転生者が大量に現れたらしく試合に参加していなかった事情を知る人たちと狩りに出て行ったそうです。
「それにしても、強くなったのね」
「師匠のおかげです......というより強くならないと生きていけませんでしたから」
修行の序盤は本当に地獄でしたから師匠が弟子を取るといつもこうなるようです。ちょっとトラウマになってます。慣れるまでが本当に大変なんです。あっ、涙が。
「そ、そうか。ナギも似た様なことを言っておったな」
公式チートであるはずのお父さんもですか。アルさんも苦手にしてましたよね。確か骨を一本一本丁寧に折られたとか。一体どうやってそんな中途半端に怒らせたんですか。原作みたいにキティと呼んっ!?ものすごい殺気が。お母さんは気付いていないっと言うか私だけに殺気が向けられている。この鋭いのにべっとりとまとわりつく感じは師匠の殺気!?思考を読まれたの。すみません師匠、許してください。心の中で土下座をするとすっと殺気が消えた。師匠、どれだけ人外なんですか。
『もうちょっとで神の領域かな♪』
師匠から念話が飛んできました。
精神的に疲れたのでもう一眠りするとしましょう。
side out
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