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ドリトル先生学校に行く

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第一幕 充実している学園その十

「それはないです」
「その昔の文章の中でも難しいですから」
「しかも長いですし」
「登場人物も多いですから」
 だから読んでいないというのです。
「あの作品読むことはそれだけで冒険ですよ」
「かなり難しいんですよね」
「現代語訳も出ていますけれど」
「それでも長いですから」
 とにかく長い作品だからだとです、学生さん達は言います。
「読みにくいんですよ」
「とっつきにくいっていいますか」
「あれを読むのは冒険ですよ」
「最後まで読んだ日本人は少ないですよ」
「そうでしたか。英語訳を読んだのですが」
 先生はそれで読んだからだというのです。
「あまり難しいとは思いませんでしたが」
「英語訳なら簡単なんですか」
「読みやすいんですか」
「確かに長いですがすらすらと最後まで読めました」
 そう出来たというのです。
「確かに主人公にはなれないと思いましたが楽しめました」
「成程、英語訳ならですか」
「源氏物語は読みやすいんですか」
「それは意外ですね」
「そうしたものなんですね」
「そうみたいですね、僕も今ここで知りました」
 先生は紅茶のカップを手に目を丸くさせて言いました。
「日本語で読むより英語で読む方が難しい作品もあるのですね」
「あの作品は特にですね」
「紫式部の文章自体が」
「清少納言の方がずっと読みやすいですね」
「そんな感じです」
「清少納言は枕草子ですね」
 先生は清少納言と聞いてすぐにこう言いました。
「そうでしたね」
「はい、そうです」
「その人の作品です」
 その通りだとです、学生さん達も先生に答えます。
「源氏物語を書いた紫式部のライバルでして」
「紫式部と並び称されています」
「何か紫式部が悪口を書いていたそうですが」
 紫式部日記で批判的なことを書いていたそうです、とはいっても紫式部が宮中に入っていた頃に清少納言は宮中にはいなかったとのことですが。
「枕草子も読みました」
「ああ、あの本もですか」
「先生凄いですね」
「源氏物語だけでなく枕草子も読まれるなんて」
「日本人にも滅多にいないですよ、そんな人」
「いや、医学のことばかりを学んでいると気分転換がしたくなりまして」 
 先生は何故読んでいたのかをわらってお話します。
「それでなんです」
「ああ、何か一つのことをしているとですね」
「他のことをするといい気分転換になりますね」
「それでなんです」
 日本の古典を読んでいたというのです。
「文学も好きでして」
「やっぱり枕草子も英語訳で、ですか」
「読まれていたんですか」
「他にも更級日記等も」
 その本も読んでいたというのです。
「他には中国の本も。紅楼夢等も」
「あの本もですか」
「読まれていましたか」
「アメリカ文学は英語ですのでそのまま」
 こちらの本は同じ英語の国なのでそのまま読んでいたとのことです、先生は学生さん達にお話します。
「若草物語やトムソーヤを」
「何か先生って恋愛もの多いですね」
「冒険ものも読まれてますし、トムソーヤとか」
「いや、文学青年だったんですね」
「そうですね、本は子供の頃から好きでして」
 それで読んでいたというのです。 
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