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迷子の果てに何を見る

作者:ユキアン
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第十六話

 
前書き
宝の持ち腐れだからと言って
普通捨てるか?
byレイト 

 
第16話 夜の迷宮

side レイト

とりあえずオレはアリアドネーの学園長に戻って来たこととグレート=ブリッジでのことを話、キティの休職と行動目的を伝え二人っきりで旅に出た。そして

「なんでこんな所に隠してるんだよ。普通、手元に置いておくだろうが」

「大方解析できずに廃棄したんだろう。お前の魔法の中でも一番難しいオルザレク式招霊術の産物だからな。おかげでここはダンジョンになってしまっているが」

現在、オレとキティは夜の迷宮にいる。なぜかと言われればここに盗まれた大量殺戮兵器があるという情報が手に入ったからだ。ここが夜の迷宮と呼ばれる理由が悪霊やら怨霊が大量にいるからなんだが、調べてみると300年程前からそう呼ばれ始めたらしく盗まれた兵器の中に霊を大量に呼び出して思うがままに操ることが出来る物が入っていた。ちょっと気になって現場を見たのだが当たりのようだった。

「オレ、この魔法と相性が一番いいから難しいと思ったこと無いんだけどな」

「私もそうだ。生死の境を漂ったことのある奴には適性があるみたいだな」

「立証はされてないからそんなことも無いんだがな」

こんな会話をしているがオレたちを呪い殺そうと霊が集まって来ている。
いい加減鬱陶しいのでまとわりついている霊たちをあるべき場所にかえす為に印を組む。

「キヨメタマイ ハライタマエ」

簡易的ではあるが目的を持って招霊されていないので大半が消え去るが怨念が強い物は残っているので転生の概念を刻んだナイフで切り払う。

「輪廻の輪に帰れ」

キティも転生の概念が書かれている符を投げつけて成仏させている。

「こんな所か」

数分もすれば一体残らず輪廻の輪に帰り、辺りに気配は......なぜか二つある。

「キティ、どう思う」

「霊ではなく人のようだが、一カ所から動かないのはどういうことだ?」

「とりあえず行ってみよう。もしかしたら兵器を持っているかも知れないからな」

「そうだな」

気配だけをたよりに壁を粉砕しながら一直線に進む。
四つ程壁を粉砕すると一人の女性と一人の少女と目的の兵器を見つけた。

「なんじゃ貴様らは」

部屋に入ると同時に金髪の性格のキツそうな女性が睨んできた。

「それはこちらの台詞だ」

それに対し、キティが睨みかえす。
巻き込まれると面倒なことになりそうなので先に用事を済ませておく。
目的の兵器に近づき各部を調べる。
どうやらこれを調べた奴が術式を一部破壊した結果、大気中の魔力を使って無作為に招霊して縛り付けているようだ。破壊されている部分を新たに編み直し招霊された霊を全て呼び寄せる。
急に霊が集まったことに女性と少女は驚いている。少女に至っては今にも泣き出しそうだ。
全て集まったのを確認してから陣を描く。それが済んでから今度は影から神木で作った弓を取り出す。
そして、ゆっくりと魔力で紡いだ矢を引き絞り放つ。その矢に導かれる様に霊たちが消え去っていく。

「縁があったらまた会おう」

影に弓を戻し兵器を魔法球の中に入れる。

「とりあえず外に出ませんか」



side out





side アリカ

壁を砕く音が聞こえて来た。
それがどんどん近づいてくる。
我が騎士が助けにきたのかと思ったが一組の男女だった。

「なんじゃ貴様らは」

二人とも何処かで見たことのある様な顔だったが思い出せない。

「それはこちらの台詞だ」

女の方が睨みつけてくる。
男の方は部屋の中央に飾ってあった何かに近づいていく。敵意は無いので放置する。
しばらく睨み合っていると急に怨霊たちが集まってくる。今までの様にただそこにいるだけではなく明確な意志を持ってこの部屋に集まって来たのだ。目の前の女は何もしていない。ならこんなことが出来るのは男の方だろう。
振り返ると男は何やら陣を書き始めておりその顔があまりにも真剣だったため声をかけることが出来なかった。少しすると書き上がったのか影から弓を取り出し魔力で作ったであろう矢を放つ。すると怨霊たちが次々と矢を追う様に消えていく。

「縁があったらまた会おう」

そう言うと男は影に弓を戻す。そして今の行動でこの男の正体が判明した。
こいつは『形なきもの』
グレート=ブリッジで連合、帝国両者を虐殺し赤き翼達を軽くねじ伏せる男。
そして恐れられている一番の原因は400年近く行方不明だったために目的が分からないからだ。
つまり気まぐれに殺されるかも知れないということだ。そんなことを考えていると。

「とりあえず外に出ませんか」



side out







side ナギ

今オレたちは姫さんがさらわれたと思われる夜の迷宮に来ている。
そしていざ突入しようと思ったときあの男が出て来た。
レイト・テンリュウ
グレート=ブリッジでオレたちが手も足も出せずに負けた男が姫さん達を連れて出て来た。
まさかあいつも完全なる世界の仲間なのか?
そう思った瞬間、オレはあいつに飛びかかっていた。



side out






side レイト

外に出るといきなりナギが殴り掛かって来た。
訳が分からないがとりあえず背後に回り腰を抱きかかえジャーマンをお見舞いしてやる。
思いっきり叩き付けてしまい頭が埋まっているが、まあ生きているだろう。
今度は褐色の男が大量の剣を投げて来た。
後ろにいるキティと殿下達に当たらない様に全て分解する。
無駄だと判断して今度は接近戦を仕掛けてくる様なので初期魔法の穴を掘る魔法をタイミングよく発動させ落とし穴を作る。見事に引っかかったので影を使い蓋をする。
ようやく頭が抜けたのかあんちょこを見ながら呪文を唱えているナギが眼に映る。
あれからどれだけ強くなったのか気になるのでキティと殿下達の周りに符を投げ結界を張る。

「くたばれ、千の雷」

前回よりは魔力の密度が上がっているがそれでもまだ魔力任せで粗い。
精霊達に頼んで先行放電を操作してもらい反射する。

「げっ」

慌てて魔法障壁を貼っているが、こちらの精度はなかなかなようだ。良い師匠なのだろう。
今度は地面から特大の気弾が放たれようとしていたので魔力を穴の中に満たして相殺する。
魔法が効かないと判断したナギはまた飛びかかってくるがめんどくさいので褐色の男と同様に穴にたたき落とす。こちらには気を張り巡らせておく。

「それで、お前達も戦るのか」

赤き翼の面々が戦闘態勢のまま近づいてくる。
さてどうしてくれようか?



side out 
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