この世界はヒーローが大勢いる!
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Mows may come to eamest(冗談で言ったことが本物になることがある)
痛いくらいの喉の乾きで目を覚ますと、俺は見覚えのない部屋のベッドで横になっていた。
知らない天井だ……じゃなくて、本当にここはどこなんだ?
上半身を起こして辺りを見回すと、まず「四時二十七分」と現在の時刻を刻んでいる壁時計が目に入り、次にベッドのすぐ近くで椅子に座りながら眠っているキャスターの姿が見えた。……何をやっているんだ? コイツ?
「……ん? ううん」
俺が椅子に座りながら眠っているキャスターを見ていると、彼女は静かに目を開いた。
おはよう。キャスター。
「……………砕、くん?」
何を当たり前のことを聞いているんだ? 寝ぼけているのか? それよりキャスター、ここは一体何処なん……、
「砕くん!!」
がばぁ!
うわっ! キャスターがいきなり抱きついてきた……って、何だよこの展開は?
「砕くん! 砕くん! 砕くん! 心配……心配したんですよ! 昨日いきなり倒れたかと思ったら丸一日目を覚まさないし、医者に見てもらっても倒れた原因が分からないし……」
俺に抱きつきながらキャスターが涙声で話す。そうだったのか。心配をかけてすまなかった……て、丸一日!? 俺って丸一日眠っていたのか?
「そうですよ。昨日、車の中で突然倒れたからこの杜王町グランドホテルで休ませていたんですよ」
杜王町グランドホテル……ということは、ここはもしかしなくても杜王町ってことか。そして俺達、丞太郎さんが杜王町に来て一日経ったとしたら、もう「ジョジョの奇妙な冒険」の本編が始まっている可能性もあるのか……。
……な、なぁ、キャスター? 昨日、何か変わったことなかったか?
ほら、丞太郎さんが誰かに会いに行ったとか。ネクストやスタンド使いの強盗事件があったりとか……。
「……!? 砕くん。何で分かったんですか? 砕くんの言う通り、昨日丞太郎さんは最近分かった家族の人に会いに行って、同じ日にスタンド使い……あのアンジェロがコンビニを襲おうとしていたんですよ。……アンジェロには逃げられてしまいましたけど」
俺が聞くとキャスターは目を大きく見開いて驚く。
……そうか、やっぱりアンジェロが現れたか。今日がアンジェロがコンビニ強盗をした次の日ってことは、第四部最初の殺人事件がもうすぐ始まるということ……! こうしてはいられない!
「えっ!? ちょっと砕くん!?」
俺はキャスターが止めるのも聞かず、ベッドの近くに置かれてあった自分の荷物からブラキSシリーズのヘルメットを取り出すと、大急ぎで部屋を飛び出した。
確か第四部最初は殺人事件は、アンジェロが仗助の母親を襲おうとして(それは失敗に終わったが)、仗助の家の近くで犬の散歩をしていた通行人を殺すというものだ。……もうそんな時間はない。急がないと!
部屋を飛び出し、廊下と階段を走り、ホテルの出口を出たところで急に身体に力が入らなくなり、俺は思わず膝をついた。
クソッ! 時間がないっていうのに……! それに気のせいか喉がさっきより乾いたような気が……いや、そんなことはいい。早くタクシーをつかまえて仗助の家に行かないと……、
『タクシーよりも我に乗った方が速いぞ』
何だ今の聞き覚えのない声は? 声がした方を見るとそこには……、
モンスターハンター4で恐らく俺がもっとも多く戦ったモンスター「ブラキディオス」が俺を見下ろしていた。
……えっ? 何でブラキディオスがここにいるんだ? いつからいたんだ?
『何で? いつから? どちらも意味のない質問だ。我はいつでもお前の側にいる。我はそういうものだ』
俺の疑問に対して、当たり前のように人語を使いこなして答えるブラキディオス。
待て。その言い方ってもしかして……お前、俺の「スタンド」なのか?
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