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わたしの見る世界

作者:
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残酷

 
前書き

曇りの空は優しかったけれど
急な雨は冷たかった。 

 




先輩と話さなくなって、次第に会うことも減った。


季節は冬になっていた。

私がいじめられ始めた日から、半年ほど経とうとしていた頃。
世間はバレンタインの話題一色。

友達との会話も友チョコをどうするだとか、好きな人へあげるのかだとか・・・
私は、あげるつもりだった。
もちろん広崎くんに。
大好きだったこともあるし、支えてもらっていた感謝も込めて。




2月14日 バレンタイン

同じクラスではあったけど、なんだか恥ずかしくて放課後に渡すことにした。

授業が終わり、視線は彼へ。
気づくと彼を見てしまう。
こんなことが毎日だった。幸せだった。


部活が終わった放課後 私は彼のもとへ行った。
部活の後片付けをしていた彼に、私は手作りのクッキーを詰めた袋を渡した。

「今日、バレンタインだからさ。」

なんて、恥ずかしくて下を向いたまま言った。
私の精一杯の勇気だった。

「・・・・ありがと。」

彼はそう言った。


明日からの学校も楽しみだあ。


この時の私はそんなことを思っていた。







翌日からのこと、変化があった。


あれから広崎くんが、話してくれない。

話しかけても今までと違う。そっけない。


なんでかわかんなかった。
バレンタインの翌日から彼は、私に話しかけなくなった。


それでも私は好きだった。
純粋に片想いをしていた。
話せただけで幸せだったのに。




きっと私は諦めが悪かったのかもしれない。
もしくは、バカだった。そうなんだと思う。



何日たっても、広崎くんは話してくれない。
とゆうより避けられているような気がした。
私はそれが嫌で、思いっきって彼に聞くことにした。


「ねぇ、なんで話してくれないの?避けんの?」
って。


こんなこと、聞かなきゃよかったのに。


広崎くんは私のほうを見た。そして


「きもいんだよ。話しかけんな。」

といった。



一瞬、時が止まったような。
いや、私の思考が止まったのかもしれない。

私が辛かったとき、話しかけてくれた。笑ってくれた
あの彼はもう見えなかった。


 
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