とあるの世界で何をするのか
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第八話 今後の展開を考えて下準備 その1
郵便局強盗の事件から一週間、俺は普通に自分のパラメーターをいじりながら生活をしていた。いや、自分のパラメーターをいじってるという時点で普通ではないのだが……。
自分でパラメーターを色々変更しながら能力を使ってみて確認できたのが、学園都市製超能力のパラメーターは能力の出力を、演算能力のパラメーターは能力の制御をそれぞれ上げることが出来るようである。なので、AIM拡散力場に影響する学園都市製超能力のほうを5000万で固定したまま、演算能力のほうを100兆まで上げておくことにしたのだが、これにより能力的にはレベル4程度の力でも、分子や原子そのものや、やろうと思えば陽子や電子に中性子といったものまで動かすことが出来るようになったのである。
陽子や電子まで動かせるようになったことで、錬金術的なことが出来ないかも試してみたのだが、陽子を一つ取り出そうとしただけで核分裂反応が起きてしまい、原子を構成する全ての陽子や電子などを制御しながらでなければ、錬金術的なことは出来そうもなかった。しかし、全ての陽子や電子などを制御さえしていれば、原子の変換も出来ることが分かったので、空気中の窒素を使ってプラチナを作り出そうとしたら、30分かけてやっと目で確認できる程度の大きさのプラチナが……というか一度目を離すとどこに在ったか分からなくなりそうなほどの小さなプラチナを生成できた。もっと効率のよい方法でも見つからなければ、この程度でははっきり言ってとてもじゃないけど使い道がなさそうだ。なお、原子自体から制御することが出来るので、アンダーラインなんかにも当然干渉可能ではある。
プラチナを作るのに能力を使いすぎて休んでいる最中に、今後の展開について考えてみた。郵便局強盗という超電磁砲側のストーリーが展開されたので、キャパシティダウンなんかも登場するのだろう。ということは、ある程度の情報を収集しておくに越したことはない。
(アリス、どこかにキャパシティダウンという装置の情報があるはずだから探しておいてくれ)
(うん、分かった)
(テレスティーナ・木原・ライフラインって名前の女が居るはずだから、そこから調べると見つかりやすいはずだ)
(うん、調べてみる)
アリスなら少々の情報は簡単に見つけられるだろう。その後は情報を見てから対処法を考えればいい。
(シェーラ、この世界の魔族はどんな感じか分かったか?)
折角なので魔族側の情報も聞いておこう。
(はい、だいたいのところは)
(だいたいのところは? ということは、この世界にも魔族は居るのか?)
(はい、居ます。とは言っても、人間の姿を取れるような高位魔族はもちろん、純魔族すらも存在しません。動物に取り付いてレッサーデーモンになれる程度の魔族がほぼ最高位かと思われます)
(じゃあ、レッサーデーモンならこの世界にも居るのか)
さすがにこの世界にもレッサーデーモンが居るということには驚いた。いや、魔術結社とか結構あるみたいだし、居てもおかしくはないのか。
(居ますが我々の居た世界のようなレッサーデーモンではないようです。人間から見ると『かなり扱いが難しい動物』といった程度の認識でしょう)
どうやらレッサーデーモンという存在そのものがスレイヤーズの世界とは違うようだ。
(なるほど、ありがとう)
(いえ、まだ本題はこれからです)
魔族方面はそれほど心配する必要がなさそうなので、安心して次の考えに移ろうと思ったところでシェーラが話を続けた。
(なんだ?)
(動物に取り付いてレッサーデーモン化する程度の力しか持たない魔族で、人間に取り付こうとしたがために、逆に吸収されてしまった者が居るようです)
(人間が魔族を吸収できるのか?)
(我々の居た世界では絶対に無理だと思われます。普通は取り付こうとしても人間の意志により阻まれるのが普通で、私がやっていたような方法でも取らない限り取り付くことも出来ません。そして、逆に吸収されてしまうというのはほぼ有り得ません。取り付こうとして失敗するということは、我々魔族にとって消滅を意味していましたから。しかし、この世界で人間に取り付こうとした者達は、そのほとんどが人間に取り込まれているようです)
スレイヤーズの世界では、人間には意思があるので魔族に取り付かれることは基本的になかった。そこで当時のシェーラは人間の意思を薄弱化させて、レッサーデーモンに取り付かせていたのである。
(魔族を吸収した人間については調べているか?)
(はい。どうやら魔族を吸収した人間は普通の人間では考えられないほどの能力を発揮し、周囲からは聖人と呼ばれているようです)
聖人って……神裂さん、実は魔族を吸収してたんですね。
(そうか。それで、この学園都市内には居るのか?)
(いえ、学園都市内には居ませんがかなり近くに一名居ます)
(分かった。もし、学園都市内に聖人が入ってくることがあれば知らせてくれ)
(かしこまりました)
なんか……俺の思ってたとある魔術の禁書目録の世界とは違って見えてきた。
(そう言えば、この前言っていた強大な精神力の持ち主については調べたのか?)
すっかり忘れていたが、この世界に来てすぐにそういう報告を受けたことがあったのだ。
(はい、あまり近付くことは出来ませんでしたが、良く「根性が足りん!」と言っている男性でした)
やっぱりアイツか……とはいえ、アイツが物語の重要場面に出てきたという記憶は無い。
(そうか、分かった。取り敢えず、俺たちに関わって来そうならその時に知らせてくれ)
(はい、かしこまりました)
もしアイツが関わってくることがあったら、どんなチート能力も「根性だ!」の一言でぶっ飛ばされそうな気もするが……それどころか、空間盾まで根性で抜けてきそうで怖いな。しかし、現状で取れるような対策も特に無いのだ。
さすがにまだ頭の疲れが取れてないので、もう少しこの先の展開について考えておくことにした。コミックスのほうでは7月16日が銀行強盗事件で、佐天さんは出ていなかったはずだけど、アニメの超電磁砲ストーリーでは、銀行強盗事件のときから佐天さんが出ていて、一週間後に御坂さんと白井さんのプール掃除があったのだ。その後の常盤台狩りの眉毛女事件では、確か佐天さんに描かれた眉毛が10日取れないと言っていたはずなので、その後の脱ぎ女が現れるところからレベルアッパー編になることを考えれば、少なくとも夏休みが始まる20日ぐらい前からスタートすることになるはずだ。となると、アニメをベースにしているなら、6月後半ぐらいから7月初めにかけての時期に、銀行強盗事件が起きるということになる。
取り敢えず、俺はパソコンを起動すると[るぶらん クレープ オープン]で検索をかけてみる。しかし、出てきた検索結果はどれも俺が探しているものとは違うようだった。しかし、考えてみれば今はまだ3月なので、出店の準備すら始まってないのかもしれない。少なくとも5月から6月に入れば何かしらの情報は出てくるようになるだろう。そう考えてパソコンの電源を切る。
「あぁっ!」
パソコンの電源を切った後で、もう一つレベルアッパーを探さなければならないことを思い出した。
パソコンの電源を入れなおすと、まずは[レベルアッパー]で検索をかけてみる。当然、お目当てのものは出てこない。
(アリス、今ネット上でレベルアッパーっていう音楽ファイルが出回ってないか調べてくれ)
こういう場面で頼りになるのがアリスだ。
(うん、分かっ……見つけた)
「早っ!」
思わず声に出してしまった。
(それじゃ、このパソコンでそのページを表示させてくれ)
(うん)
アリスが答えた瞬間にはパソコンの画面がレベルアッパーのダウンロード画面になっている。そのままボタンをクリックしてダウンロードを始めると、ものの数秒でダウンロードも完了してしまった。
レベルアッパーのファイルはこのパソコンにダウンロードしたものの、これをケータイに入れるのは躊躇われた。
「音楽プレイヤーでも買うかぁ」
外部メモリー対応の携帯型音楽プレイヤーなら、レベルアッパーを持ち歩いても誤って聞いてしまうことは無いだろう。ケータイの塗装には思ったほどのお金が掛からなかったので、現在手持ちの現金は充分にある。
「行ってきます」
早速、準備をして出掛ける。学園都市内交通機関のバスや電車、モノレールの乗り方は土御門さんに教えてもらっているので、今回は徒歩ではなくバスで移動した。
駅前の家電量販店で携帯型音楽プレイヤーとメモリーカード数枚を買って帰ると、レベルアッパーを入れるメモリーカードだけに分かりやすい目印を入れる。と言っても、赤のマジックペンで周りを塗っただけだ。後はパソコンからレベルアッパーをメモリーカードにコピーして、メモリーカードケースに入れておいた。
レベルアッパーを使うと能力強度が上がる代わりに意識不明に陥ってしまうので、使うかどうかは置いといて、曲の解析だけは進めておこうと思う。
(アリス、レベルアッパー製作者の木山春生が発表した論文を集めてくれるか?)
(うん、分かった。……結構たくさんある。ネット上で公表されているものが112件、公表されてないものが21件ある)
思ったよりも多い。しかし、この学園都市の研究者ならそのぐらいは書かなければならないのだろう。
(確かに多いな、共感覚性に関する論文にしぼるとどのくらいになる?)
(それなら17件、全部で1226ページ)
全体数から考えれば意外としぼれたと思う。この程度ならまだ時間もあるし、目を通すことぐらいは出来るだろう。共感覚性に関する論文は全てパソコンに入れておき、時間があるときに読ませてもらうことにしよう。
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