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パンデミック

作者:マチェテ
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第三十四話「もう一人のクラウソラス」

 
前書き
投稿遅れ気味だな………申し訳ないです。 

 
ーーー【エクスカリバー本部・第6格納庫】


「やっぱり、誰もいない………」

ユニとソレンスは、本部内で人を探し続けた。
エクスカリバー本部内では明らかに異常が発生していた。

本部内に待機していたはずの兵士が、明らかにその数が足りなくなっている。
感染者が本部内に侵入した、という報告を聞いたが、20分本部内を走り回って
一度も感染者に遭遇していない。

ユニに一つの疑問が浮かんだ。








…………………本当に、感染者の仕業なの?








感染者が兵士を殺したのならば、通路に血や肉片が付いてないのはおかしい。
探し回るなか、兵士の死体をいくつか見つけたが、噛み傷や引っ掻き傷も見当たらなかった。
兵士達の傷はむしろ…………………切り傷だった。
それも、鋭利な刃物のような……………





「ねぇ、ソレンス……………どうなってるの?これ……」

ユニがソレンスに問いかける。しかし、答えを求めた問いかけではない。
なにか会話をしないと、精神がどうにかなりそうだった。

「…………………………」

ソレンスは、周りを見ながら黙っていた。

「……………ソレンス?」

「………………………………」

名前を呼んでも、返事をせず黙っている。










ソレンスを訓練生の頃から知っているユニは、目の前にいるソレンスに違和感を感じた。

ソレンスは、人に話しかけられると必ず何か返事を返す。
どんなに集中していても、もう一度話しかけると返事を返す。

ソレンス本人は、「絶対に返事を返すのは多分、反射的というか、癖かな」と言っていた。
そんな彼が、無言のままでいることに、言い様のない違和感を感じた。




その違和感が気がかりで、ユニはソレンスに質問した。













「………………………あなたは、誰?」














その質問を聞いた瞬間……………ソレンスはユニの首を掴み上げた。

「うっ!?」

ユニを掴み上げたソレンスの身体から、黒い煙が覆うように現れた。
黒い煙から再び姿を現したのは………フードを被った青年だった。


「…………何故、分かったんです?本部の中でも信頼されてる人に化けたつもりですが………」


ジェミニはユニの首を片手で持ち上げながら、ユニに聞いた。
しかし、この質問には、"質問"としての意味はなかった。
ただ、自身の失態を嘆いていただけだった。

ユニは、ジェミニに首を絞められている状態から抜け出そうと暴れているが、ジェミニの片腕は
ピクリとも動かない。それどころか、首を絞める力がどんどん強くなってきた。

「ッ!うっ……あぁ……………」

抵抗する力が、段々なくなってきた。


「うっ…………放………し……て」


抵抗の力だけでなく、意識まで薄れてきた。













「なるほど、てめえが原因か」




背後から聞こえた声にジェミニが振り向いた瞬間………


ジェミニの身体が勢いよく吹っ飛んだ。

「ッ!?」

壁にぶつかり、ジェミニはようやく自身に起こった事態を理解した。
蹴り飛ばされたのだ。

「うっ………ゲホッ、ケホッ………ハァ、ハァ………」

ジェミニの拘束から逃れたユニは、欠乏していた酸素を肺に送る。


「………誰です?……あぁ、確かクラウソラスの……」

「よく知ってるなクソ野郎」


「俺様は"クラウソラス"のネロ。てめえが本部内の混乱の要因だな。即刻殺す」

少し長めの黒髪を束ねた若い兵士は、自身の武器を構えた。
変わった武器だった。

見かけは、大きなチェーンソーのようだったが、鋸のパーツが少し大きく、エンジンパーツが小さい。
そして、持ち手の部分に鉄の鎖が繋がれていた。

ネロが戦闘用にチェーンソーを改造したのだ。







「さて……クソ野郎の解体ショーを始めるか」




そう言うと、ネロは戦闘用チェーンソーを起動させた。

銀色の鋸が、ジェミニを殺さんと回転し始めた。 
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