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ドリトル先生の来日

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第一幕 困っている先生その四

「推理小説はね」
「そうなのね」
「うん、とにかく今はどうしようかな」
「生活保護受ける?」
 妹さんもこう提案するのでした。
「このままだとパンもなくなるでしょ」
「そろそろ蓄えもないしね」
「それかここを出て何処かでまた病院をやるか」
「今この子達とそのことを話していたんだよ」
 先生は自分の周りにいる動物達を見回してからサラに答えます。
「それでもね」
「ヨーロッパ全体が不況だからなのね」
「それこそロシアにでも行かないと」
「ロシア?あそこは今はヨーロッパっていうよりアジア太平洋でしょ」
「そうなってきてるね」
「何ならアメリカに行く?」 
 サラはお兄さんにこう提案しました。
「そうしたら?」
「アメリカ?」
「そう、アメリカの何処かに」
「あそこも景気悪いっていうけれどヨーロッパよりずっとましらしいね」
「アメリカの不況はヨーロッパじゃ好景気よ」
 そこまで違うというのです。
「それに食べものもあるわよ」
「あり過ぎる位だよね」
「兄さんが普通に見える位に皆太ってるじゃない」
 サラはアメリカ人の太り方についても言いました。
「もう凄い位に」
「ううん、アメリカねえ」
「考えてみる?」
「いいかもね、ロシアは寒いし」
 あまりにも寒いです、だからだというのです。
「アメリカの方がいいかな」
「ええ、その方がいいかも知れないわよ」
「レモンティーは嫌だけれど」
 アメリカで飲まれる紅茶はレモンティーです、若しくはコーヒーです。先生はミルクティーが好きなのでそれはなのです。
「それでもね」
「このままじゃ本当にどうしようもなくなるわよ」
「患者さんが来てくれないから」
 不況は本当に怖いです、患者さんまでいなくなくしてしまうのですから。
「確かにね」
「そう、どうにかしないと」
「ううん、どうしようかな」
「本当にイギリスを出ることも考えてね」
 そこまで検討してはどうかというのです、サラは。
「さもないと本当に大変なことになるわよ」
「じゃあ誰かからお誘いがあればね」
 その時はすぐにだと言う先生でした。
「そうしようかな」
「何処でも行くの?」
「それか本当にアメリカへの移住をね」 
 考えるというのです。
「言葉も通じるから」
「兄さん英語以外にも喋れるじゃない」
「一応はね」
「どの言葉を喋れたかしら」
「英語にね」
 まずは自分の国の言葉です。
「フランス語にドイツ語、イタリア語とスペイン語にね」
「喋れる国なら行けるでしょ」
「ヒンズー語に中国語、日本語ね」
「あら、日本語もなの」
「最近ここに日本からの留学生が来て教えてもらったんだ」 
 だから日本語も喋れるというのです。
「難しい言葉だけれどね」
「喋れる様になったのね」
「書けるし読めるよ」
 動物達のあらゆる言葉もわかる先生です、難しいと言われる日本語も喋れるのです。 
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