ドリトル先生の来日
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第一幕 困っている先生その二
「私達どうなるかわからないですよ」
「そうなんだよね」
「蓄えはまだありますか?」
「あまりないよ」
命綱と言っていいそれもだというのです。
「正直どうしようかって思ってるんだ」
「もうこうなったらどうしようもないですから」
ダブダブがここで提案することはといいますと。
「ここを出ますか?」
「パトルビーをかい?」
「はい、そうします?」
「そうだね、実際患者さんが来てくれないからね」
先生もこのことから言うのでした。
「このままだとね」
「はい、どうしようもないですから」
「ですから」
ダブダブは家計簿を開きます、見れば真っ赤です。
「このままじゃ私達どうなるかわかりませんよ」
「またサーカスか動物園をします?」
ガブガブは前に先生が自分達と一緒にしたことをまたしようかと提案しました。
「そうします?」
「お客さん来るかな」
チーチーはガブガブに真剣に疑問を感じながら聞きました。
「だって患者さんすら来てくれないんだよ」
「不況でだよね」
「そう、だからね」
それでだとです、チーチーは言うのです。
「動物園やサーカスをしても」
「肝心のお客さんが来てくれないんだ」
「イギリスだけでなくヨーロッパ全体が危ないんだよ」
「特にギリシアとかだよね」
「そんな状況だからね」
お客さんが来ないだろうというのです。
「かなりまずいよ、今」
「じゃあどうすればいいのかな」
「生活保護ですか?」
トートーは奥の手を提案しました。
「それを申請しますか?」
「ううん、そこまではしたくないけれど」
先生は腕を組んで困った顔になってトートーに答えます。その鳶色の目も困った感じになってしまっています。
「けれどね」
「正直今手詰まりですよ」
チープサイドもこう言うしかありません。
「どうしましょう」
「景気が急によくなるとかないかな」
「そんなことがあると思います?」
「今のイギリスの状況だとね」
先生はすぐにチープサイドに答えることが出来ました。
「ないね」
「そうですよね」
「本当にどうしたものかな」
先生はいい加減困りきっています。
「今は」
「ううん、難しいですね」
「どうしたらいいでしょうか」
「打つ手がないっていうか」
「そんな状況ですね」
動物達も困っています、そこにです。
先生の妹さんであるサラが来ました、お兄さんと同じくすんだ金髪ですが目は緑色です、顔立ちは可愛らしく小柄です。ピンクのひらひらの服を着ています。
そのサラがです、お兄さんのところに来て言うのです。
「兄さん、最近生きてるの?」
「幽霊にはなっていないよ」
お兄さんはテーブルのところに座ったまま答えます。
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