ドラクエⅤ・ドーラちゃんの外伝
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キラーパンサーに転生
2可愛い名前がいいんです
ドーラちゃんが、ドーラちゃんが!
お化けを退治して、迎えにきてくれました!
あたしを迎えにきてくれた可愛いドーラちゃんに話しかけようとバカな男の子たちが粘ってるけど、ビアンカちゃんがきっちり邪魔してます!
うん、ビアンカちゃん、頑張って!
この子たちに、ドーラちゃんはもったいないよ!
この子たちも早く諦めればいいのに!
ドーラちゃんは、あたしを、迎えにきてくれたんだから!
あたしは早く、ドーラちゃんとビアンカちゃんと一緒に行きたいんだから!
話を終えてあたしを引き取ったドーラちゃんは、後はバカな男の子たちには見向きもせずに立ち去ります。
あれ、結構クール?
ちょっとイメージと違うけど、まあいっか!
あたしもこんな子たちとは、早くお別れしたいもんね!
ビアンカちゃんのおうちの宿屋さんのお庭について、ビアンカちゃんが言います。
「ネコちゃんに、名前を付けてあげないとね!」
やっぱりあたし猫と思われてるんだね、ってそれよりも!
そうだ、こういうお話だった!
え、提案するのがビアンカちゃんで、決めるのがドーラちゃんだよね?ゲームの通りなら。
……ドーラちゃん!
信じてるから!
可愛いの、可愛いのがいいの!
ゲレゲレとか、そういうのはイヤなの!!
「ボロンゴっていうのは、どう?」
ゲレゲレよりは、いいけど。
でもやっぱり、可愛くないからイヤだなあ。
「うーん……」
あ、ドーラちゃんが唸ってる!
だよね、これじゃないよね!
可愛くないもんね!
「ダメ?それじゃ、プックルっていうのは、どう?」
うーん。
ダメではないけど。
すごくいいわけでもないっていうか。
ゲームをした時はあたしもこれにしたけど、でもあたし、女の子だし。
女の子に付けると思ったら、たぶん選んでないと思う。
「うーん……」
あ、ドーラちゃんもまた唸ってる!
だよね、もっといいのあるよね!
悪くはなくてもね!
「これもダメ?それじゃ、チロルっていうのは?」
うん、結構いいと思う。
可愛いもん。
……でもあたし、大きくなったらキラーパンサーになるんだよね……。
あの強そうなキラーパンサーに、チロルってちょっと可愛すぎるかなあ……。
「うーん……」
あ、ドーラちゃん、唸ってる。
ちょっと気が進まないとこあったからいいけど、他のあんまり可愛くないのになったらどうしよう……。
……ドーラちゃん!
信じてるから!!
「また、ダメ?それじゃ、ゲレゲレっていうのは?」
イヤ!!
イヤです!!
絶対に、イヤ!!
なんで提案しちゃうの、どういうセンスなの!?
そんなに可愛いのにどうしてそこだけ残念なの、ビアンカちゃん!?
「うーん……」
……ドーラちゃん!!
信じてた!!
……でももしかして、いい意味で悩んでるんだったらどうしよう!?
大丈夫だよね、ドーラちゃん!!
「これでもダメなの?それじゃ、アンドレっていうのは?」
……やっぱりビアンカちゃん、ゲレゲレ、気に入ってるんだ……。
残念だなあ、ほんとに……。
あとアンドレは、男の子みたいだからイヤかな。
ゲレゲレよりはまだいいけど。
それに比べたら、大体なんでもいいけど。
「うーん……」
あ、ドーラちゃん唸ってる。
……ところでドーラちゃん、あたしが女の子って気付いてるかな?
どういう基準で考えてるんだろう。
「まだ、ダメ?それじゃ、リンクスっていうのは?」
悪くはない、気がするけど。
それって確か、山猫っていう意味だったような……。
……あたし、猫じゃないんだけど。
「うーん……」
また、唸ってる。
あたしと同じように思ってくれてたらいいけど、ずっとこうだからちょっと不安になってきた。
「……ダメ?それじゃ、ソロっていうのは?」
悪くはないけど可愛くもないっていう、こういうのが多いよね、やっぱり。
女の子用に考えてくれてるわけじゃないから、仕方ないけど。
……提案するにも、そこは考えてくれてもいい気がするけど……。
ゲーム通りだし、仕方ない……のかな?
「うーん……」
ドーラちゃんも変わらないかー。
うん、何も言えないのに悩んでも仕方ないし、落ち着いて待ってよう。
「……それじゃ、ビビンバっていうのは?」
……え?
それって、食べ物の名前じゃ……。
同じ食べ物でもチョコとかクッキーとかなら可愛いのに、なんでそんなの……。
この世界にあるかわからないし、もしかしたら普通に名前なのかもしれないけど。
でもやっぱり、可愛くない……!
「うーん……」
うん、だよね。
可愛いで選んでくれてるかわからないけど、他の基準でも選ぶ理由が思い浮かばない。
「……ギコギコっていうのは?」
え、なにそれ!?
ゲレゲレ以外にもそんなのあったの!?
覚えてなかったけどこれは無いよ!
やめて、ドーラちゃん!!
「うーん……」
よかった、やっぱりドーラちゃんは大丈夫だ!
残念なのは、ビアンカちゃんだけだよね!!
「……モモっていうのは?……もう、これ以上、無いからね!」
あ、それ!
あたし、それがいい!
可愛いし、大人になってもおかしくなさそう!!
ドーラちゃん、それ!!
それにして!!
気持ちをなんとか伝えようとドーラちゃんの目を見つめると、ドーラちゃんがあたしの目じゃなくて、別のところをチラリと……。
……ドーラちゃん、女の子だからいいけど。
ちゃんと確認してくれてよかったけど。
あからさまでもなかったから、いいんだけど……。
なんかこう、所々で行動が、イメージと違うんだよね……。
……うん、まだ会ったばかりだもんね。
段々、わかっていくよね……。
「うん!それがいいです!」
「本当!?」
え、本当!?
やった、さすがドーラちゃん!!
ちゃんと女の子って確認して、可愛い名前を選んでくれるなんて!
ドーラちゃん、大好き!!
「それじゃ、あなたはモモちゃんね!」
嬉しくって、あたしを抱き上げようとしたビアンカちゃんの手をついついすり抜けて、ドーラちゃんに擦り寄ります。
「……モモちゃんは、ドーラのほうが、好きみたいね」
あ、しまった。
あたしはベビーパンサーとしてはまだ子供だけど、前世の記憶が本物ならかなりお姉さんなのに。
ビアンカちゃんの名前のセンスが無さすぎて、ドーラちゃんがそんな中からちゃんと可愛いのを選んでくれて。
ただでさえ可愛くて優しくて最初から好きだったのに、大好きになっちゃったからって、ビアンカちゃんだっていい子なのに、避けるみたいにしちゃうなんて。
どうしよう、あたし悪い子に見えたかな?
ドーラちゃんも、怒ってるかな?
擦り寄ったドーラちゃんの目を見上げると、ドーラちゃんが静かに見つめ返してくれます。
……怒って、ないみたいだけど。
……え、空気読め?
……ドーラちゃんは何も言ってないのに、なんだかそう言われたような気がする!
空気読めとか、またなんだかイメージと違うけど!
でもわかったよ、ドーラちゃん!
やっぱりここは、ビアンカちゃんのところに行くべきだったよね!
うん、あたし行ってくる!!
改めてビアンカちゃんに擦り寄ると、大喜びで抱き上げられて。
ドーラちゃん、これでいい?
あたし、間違ってないかな?
またドーラちゃんを見ると、なんだか驚いたようにこちらを見ています。
なんで驚いてるのかな?
あたしが、わかると思わなかったのかな?
そうだよね、あたしベビーパンサーだもんね。
あたしの兄弟たちだったら絶対そんなのわかんないし、わかっても言うことなんか聞かないよね。
でも大丈夫!
あたしは他のベビーパンサーと違って、賢いから!
ちゃんといい子にして、ドーラちゃんをたくさん助けてあげるからね!
だからずっと一緒にいさせてね、ドーラちゃん!
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