願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)
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フェイトvsシグナム
「さぁ、始めよう」
シグナムは愛剣レヴァンティンを構える
「負けません……私も1日だけですが修行しましたから」
フェイトはバルディッシュを構える。
お互いに視線をぶつけ合いながらピリピリとした空間を作り上げ…
「ふっ!」「はぁっ!」
衝突を開始した。
"キィンッ!" "ガッ!" "シュゥン!" "ブンッ!" "バチバチィ!"
お互いの得物がぶつかり合い、火花を散らせ、弧を描く。
「はあぁあ!」
「やっ!はぁ!」
一歩も譲らないその切り合いは二人の体力を削っていく
「せああ!」
「ふぅぅ!」
"ガキンッ!" "バチバチィ!"
「くぅっ…!」
「あぐっ……!」
お互いに一閃のダメージを受け、距離を開けた。
「なかなかの腕だ。良い師に教わったのだろうな」
「訓練内容は教わりました…でも実際に見てもらった訳じゃない」
「ほぅ?たがやはり付け焼き刃……私と戦うには経験が浅い!」
良い終わりが早いかシグナムは一気に間合いを積めてフェイトを斬った。
「何!?」
と思われたが、斬線にフェイトは居らず…
「やぁ!」
シグナムの背後を取っていた。
"ガキンッ!"
「くっ、超速タイプか…」
「はい。今のが修行の一部……そして今から見せるのが本当のスタイル」
「それは私に対して手を緩めていたと言うことか?」
「いいえ、あれもまた本気です。だけど今から見せるのは…今の私の……全力!」
フェイトはバルディッシュを長手に持ちつつシグナムに向け、体全体に魔力を纏う。
「バルディッシュ、モード《サムライ》!」
『yes、boss…』
フェイトを金色の光が包み、収まった後には何時もの斧型ではなく、片刃の長剣を携えるフェイトがいた。
「それがお前の全力か…私に合わせたのではないだろうな」
シグナムは内心でひどい喜びを見せた。
自分と似たような得物を持ち、尚且つ腕がたつテスタロッサ。
「これが昨日私とバルディッシュがあの人に教えて貰った訓練成果とその答え…」
「さて、金髪少女A」
あの時はホントに落ち込んだ。
未だに覚えられていない私の名前。
「あの、出来れば名前で読んでほしいなって……」
「お前もか…なら俺の課題をクリアすると良い」
「課題?」
「そう、お前さんはスピード重視だったな?」
「うん…それがどうかしたの?」
「お前たち魔導師は足元から魔力を噴出させて空を飛ぶと言う…言わばロケットのようなものだな」
「うん、間違ってないよ」
「お前はその魔力噴出を他人より倍近く出している。
それによって疲れも早く、魔力消費も激しい」
「え、あ、そう…なのかな?」
「しかしそれは只早いだけで戦闘での速さにはなり得ない」
「む、それってどう言うことかな?」
ユウジの言葉にちょっと怒った言い方をして聞いた
「お前は只素早いだけで、戦闘における速さに至っていないって事だ」
「……じゃあどうすれば良いの?」
我慢しよう……この人は姉さんや母さんを助けてくれた人なんだから…
「身体強化は出来るな?どうやっている?」
「それは身体全体に魔力を流して…」
「ダメだな。それは只単に身体を防御の意味で硬くしているだけだ」
「それの何がいけないの?」
「つまりそれは身体強化ではなく、身体硬化ってわけだ」
「あっ……」
「だからこそ魔力転化を知れ。武器のスイング、初動、威力…それらはこれで補える。
もし習得出来たのなら、お前さんはもっと強くなれる」
そうだったんだ…こう言うことだったんだ……。
あれ?でも練習するには時間が…作戦は明日なのに
「それなら問題はないはずだぞ?やるのは簡単な魔力操作。
それも体内を意図的に移動させたり溜め込んだりするってだけのかんたん作業だ」
「家でも出来るってことかな?」
「そうだ。もし慣れ始めたのならそれを反復して素振りでもしてみると良い。
きっと驚く」
「う、うん……やってみるね!」
「ではな……」
あ、見てかないんだ……忙しいのかな?
こうして家で魔力操作をして、だんだんなれてきたんだけど……
「嘘………」
肩から腕にかけて魔力を流して試し切りをしたところ、
斬った木の半分辺りまで木刀がめりこんじゃった。
「これ、もっと練習すれば……よし!頑張ろう、バルディッシュ」
『yes sir』
「これが私の今できる最高の一撃…決めにいきます、シグナム!」
「来るがいい!烈火の将、圧して参る!レヴァンティン!」
ガシャコン!とカートリッジをリロードし、構え直したシグナムは………
「うぐぁ!?」
吹き飛んだ。
「くっ…何がぁ!?」
"ズドン!" "バキィ!" "ドゴッ" "ズバズバ!"
一般の目から見ればシグナムは独りでに空中を飛び交っているように見える
しかし実際はフェイトが超スピードで無双しているのだ。
「くそ!レヴァンティン!」
『Job!!』
シグナムは剣を振り上げ、身を守るようにして連結刃を回りに纏う
しかしー
「無駄です」
今のフェイトはその上を行った
展開した連結刃の包囲網は難なく突破され微塵に切り裂かれた
「そんな…ベルカの騎士が……手も足も出んとは……」
完全に戦意を喪失させたシグナムは静かに下を向いた
そしてー
「終わりです」
一瞬で背後に回ったフェイトに剣の柄で後頭部を打たれ気絶した。
落下したシグナムはフェイトに抱えられて待機場所に飛んでいった
「もう少し訓練が必要かな……」
待機場所に向かう途中、フェイトは呟く
「……更に……強くなる気か…」
目を冷ましたシグナムが聞いてきた
「はい。私には追い付きたい人がいるから」
「誰だそれは…?」
「ユウジです」
瞳にしっかりとした目標を宿らせ、はっきりと言葉を放つフェイトは
二重の意味でシグナムに敗北を知らせた
「なるほど…あの方の指導のおかげか……道理で、納得だ」
「知り合い…なんですよね?」
「まあな、昔手合わせしただけさ…」
「そうですか」
ふふっと笑って尚飛行を続けるフェイトは勝敗を聞かず、今は休める場所へと飛んでいった
後書き
何かフェイトが悪人みたいになっちゃてすみません
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