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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第五十六話 決死の覚悟

「な、何をしている!あの機体を止めんか!?たった二機の敵が何故止められん!!」

ダイダロス基地の司令部でザフトの同型MS二機が映されていた。その二機は敵艦二隻から距離がある中で突出して連合の部隊に次々と襲い掛かる。その様子を見ていたアズラエルは声を張り上げる。

「何故だ!何故止めれん!?性能差がそこまであるというのか!」

悲痛を含ませながら映像に映る敵を見て止めるように叫ぶ。しかし、MS隊はおろか、大型MAの部隊でもあっさりと撃ち落とされてしまう。

「グッ……基地を放棄する!レクイエム発射後はこの基地を自爆させるぞ!」

「味方はどうする気ですか!?」

アズラエルの発言に驚愕する司令官。だが、この場における最高指揮権はアズラエルが握っていた。

「どうもこうも、切り捨てるに決まっているだろう!たった二機の足止めすら満足に出来んのだ!その程度の戦力ならば必要あるまい!」

この場にいた実直な一部の連合兵達は自分たち味方に対してそのような事を言うアズラエルに愕然とする。だが、殆どは自爆に巻き込まれるわけにはいかないと自己中心的な考えに至り、脱出しようと行動に移す。

「敵はコロニーレーザーとこのレクイエムにしか攻撃を仕掛けられていない。なら中継点の方は確実に予定通りにたどりつくということだ。レクイエムの発射をタイマーに設定しろ。砲撃の五分後に基地ごと自爆させる」

焦っていた連合兵達はこの言葉を聞いて意味を理解する。自分たちも脱出できるのだと。残されるのは現場で戦っている何も知らされていない人員だけなのだと。

「なに――――プラントを落とせれば残ったアルザッヘル基地でも十分やれる。当然、君達のそこでの席も用意してやろう。喜びたまえ、戦後の君たちはプラントを討った英雄として祭り上げられるのだからな」

その言葉に彼らは全員が基地を自爆させることを了承する。英雄として祭り上げられるなら数はいっそ少ない方が良い。そういった利己的な判断から彼らは今もなお戦い続けている仲間をあっさりと売り渡した。

「――――了解しました。第一中継点到着と共にレクイエムを発射。その五分後、基地を自爆させるように設定します。各員、脱出準備を整えろ!」

基地の司令官も同意を示したことで司令部は脱出の為に動き始めた。







「見つかったか――――」

アスラン達はレクイエムの試掘坑近くまで来て、敵に発見される。

『こんな深部に敵だと!?』

『クッ、増援を要請しろ!』

やはり敵にとってもこの遭遇は予想外のものだったのだろう。焦った様子がアスラン達にも分かった。

「ルナマリア、そのまま突破しろ!ショーン、ルナマリアの援護は任せる」

『アスランは如何する気ですか!』

「決まっている、敵の足止めだ。出来る限りこちらに敵を引きつける。試掘鉱に入りさえすれば敵は追ってこれない筈だ!急げ!!」

そう言ってアスランはMA形態のまま自ら敵陣に突っ込む。

「ハアッ!」

MA形態のビームブレイドによってそのまま真っ二つにされるダガーL。その様子をみた連合の部隊は立ち向かうどころか逃げることも出来ずに脅えた様子を見せる。

『く、来るなー!?』

先程から司令部に連絡を取っているにもかかわらず、連絡が通じない。ニュートロンジャマーの影響なのかと思うが、流石にこの距離で連絡が通じないのは明らかにおかしい。既に基地が落とされたのか?或いは切り捨てられたのか――――
そういった不安から先のコロニーレーザーで味方ごと巻き込んでいた様子を思い出して、士気が下がっていた。その結果、アスランのセイバーに対して連合側はまともな反撃も出来ずに次々と落とされていく。

『狼狽えるな。基地司令部との連絡が取れなくなったというなら独自の判断で動くしかないだろう!』

隊長機と思われる一機の機体が部隊に喝を入れる。ネオの装備と同じエグザスのガンバレルパックを取り付けたウィンダムだ。ネオとのガンバレルパックの違いは色が紅か青かの違い位だろう。しかし、その装備が意味するのは彼が空間認識能力を持つエースだということだ。

『行くぞッ!』

敵のウィンダムはビームサーベルを抜き放って斬りかかる。セイバーはMSへと変形してシールドでそれを受け止めた。アスランは空いている片方の腕からビームサーベルを抜き、斬りかかるが当然敵はそれをシールドで受け止める。だがアスランのセイバーにはまだ近接戦での武装が存在している。

「喰らえッ!」

『何だと!?』

隠し武装とも言える脚部のビームを展開してウィンダムを切り裂く。しかし、とっさの判断で相手は脚を切り裂かれるものの距離を取って見せた。更に、ウィンダムは距離を取ることに成功したことで自身の武装を展開させる。

「これは!」

後部のエグザムが展開し、四方から囲い込むように攻撃が開始された。

『この月下の狂犬を相手に距離を取ったのは失敗だな、若造』

青いエグザムを装備したウィンダムのパイロットはモーガン・シュバリエ。彼は連合でも数少ない空間認識能力をもっているパイロットである。ぺルグランデのパイロットように後天的に無理矢理取り付けられたうえで複数人による操作が必要な彼らとは違い、彼の攻撃はタイムラグが少なく、ガンバレルでの連携を巧くこなしていた。

「クッ!?だが――――」

アスランは冷静にガンバレルの軌道を予測し、ビームライフルで撃ち抜いて見せる。他の敵部隊の練度が低く、士気も落ちているからこそ、モーガン一人に集中することが出来ていた。

『やるなッ!?しかし――――』

二基目以降は落とさせないと軌道を更に変則的なものにする。始めから軌道を変則的なものとしなかったのはエネルギーの無駄な消費を抑えるためだ。
元々ガンバレルはワイヤーによって繋がれているため、あまりに不規則で出鱈目な軌道をさせてしまえばワイヤーが絡まったりしてしまう。その為、ザフトが使っているドラグーンよりもその点では劣っていると言えた。だが、逆に利点も存在している。
空間認識能力の高い人間ならばワイヤーを絡ませることなど殆どなく、ワイヤーを利用してエネルギーの消費なしに移動させることも可能だ。逆に相手の機体にワイヤーを絡ませることなども出来る。
流石のアスランも一瞬その攻撃の変化に狼狽え、シールドが破壊されてしまうが、ここでこちらが釘付けにされてしまえばルナマリアやショーンに危険が及ぶと考え、意を決して懐に潜り込もうとする。

『正面から来るとはな。その粋は良し!だが討たせてもらおう!』

「――――悪いが、そう簡単に討たせはしない!」

SEEDを覚醒させ、アスランはコックピットにある一つのスイッチを押し、セイバーの左手を正面に突き出す。四方からビームが放たれ、アスランは横や斜め後ろから放たれたビームをバレルロールするように躱す。しかし、それでは正面のビームを躱すことは出来ず、シールドを持たないセイバーではビームの直撃を受けることになってしまう。しかし――――――

『な、何だと!?』

確実に命中するはずのコースを通っていたビームは直前で突如霧散した。このセイバーの兵器は連合がザフトに苦渋を舐めさせた兵器―――Iフィールドだった。しかし、それを知らないモーガンは驚愕する。そもそもIフィールドは連合では大型化しておりデストロイやノイエ・ジールクラスの機体にしか搭載されていない。それをMSに装備している時点で異常といえた。そして、アスランはモーガンが見せた隙を逃すことなくウィンダムの懐に入り込む。

「ここまで近づけば、四方からの攻撃は出来ないはずだ!」

『ぐぅ、だが!』

セイバーの連撃にシールドで防ぐモーガン。脚を切り裂かれている状況では満足に下がって距離を取ることも出来ず、間合いを詰められたまま抵抗するしかなかった。

『た、大尉、援護します!』

味方のウィンダムが援護するために近づこうとする。ビームによる射撃が利いていなかった様子を見てか、サーベルを抜いて斬りかかって来る。しかし、迂闊としか言いようがない。ビームライフルが通用しないという判断は間違いではないが、正解とも言い難い。
先程も言ったように連合ですらIフィールドの取り付けは大型化せざる得ないのだ。核動力でないセイバーはただでさえビーム兵器が多くエネルギーを喰う。両手の甲に取り付けられたIフィールド発生装置はアスランにとっても賭け同然の鬼札といっていい。
だからこそ、援護しようとした彼らは接近戦ではなく、射撃でエネルギーを奪うなり、モーガンが距離を取れるようにするべきだった。

『下がれ!迂闊に近づくな!』

「そうやすやすと、攻撃を受ける気はないさ!」

アスランはモーガンに一度右手のビームサーベルで斬りかかる。無論、モーガンはそれを左手のシールドで受け止めるが、その後すぐにアスランのセイバーは左足でウィンダムの横腹あたりに蹴りを入れ、反動で回転しながら後ろから接近してきた敵を薙ぎ払うように左手に持ったビームサーベルで腕を切り裂き、そのまま右足のビームを展開しながらを振り上げてコックピットを切り裂いた。
一瞬の早業に援護しようと続いていた他のMSも動きを止める。その行動は彼らの生死の命運を分けた。腰の収束ビーム砲が構えられ、二機に向かって放たれる。一方はそのまま敵を貫き、奥にいたもう一機も巻き込んだ。もう一方の機体はシールドを構えたのも虚しく命中した場所が悪かったのか、そのままシールドが吹き飛ばされ爆発した。

「トゥッ――ヘヤァッ!」

そのまま回転の勢いを崩すことなく寧ろAMBACを利用し、加速して左手のサーベルをモーガンのウィンダムに向かって斬りつける。腕を犠牲に今度こそ距離を無理矢理とる。下がったことで放置していたガンバレルを使い攻撃を仕掛けた。

『これでどうだ!』

モーガンの決死の反撃とばかりにガンバレルが動き、フィールドエッジで切り裂こうとする。だが、アスランはその決死の攻撃を躱し、ビームサーベルやビームブレイドによってワイヤーを総て切り裂いた。ドラグーンの可能性も考慮してそのままガンバレルも切り裂いているあたり周到と言えるだろう。

『グッ、これまでか――――』

しかし、モーガンが自分の命は此処までかと思った所でセイバーとウィンダムの間にビームが放たれる。ビームが放たれた方角を見てみると、連合部隊の増援が到着したようだった。

『モーガン大尉。無事ですか!』

司令部との通信が繋がらない現状で各々は各自の判断に従って行動していた。結果、彼らは偶然モーガンとアスランの戦闘を行っている場所に辿り着くことになったようだ。

『一度、艦の方まで撤退します。オイ、あのMSを足止めするぞ!』

「これは少し不味いかもな……」

エネルギー残量が残り少なくなっていた現状で新たな敵との遭遇にアスランは思わずそう呟くのだった。







「見つけたわ、レクイエムまでの入り口よ!」

一方でアスランに言われて二機で敵陣を突破し、敵基地周辺に侵入したルナマリア達もレクイエムの入り口を発見する。だが、その穴は予想以上に狭く、おそらくMAであるミストラルやメビウス用のルートなのだろう。ショーンのゲルググJG型では侵入することが出来そうになかった。

『ルナマリア、行ってくれ。俺は別ルートを探してみる』

「あんまり無茶しないでね。デイルの事だって……」

『わかってるさ――――』

最近は鳴りを潜めていたショーンの憎悪もこうやって一人に放置してしまえば、いつ怒りが爆発するか分からない。もし、一人になったことで暴走する結果となればこのような敵陣の真っただ中で待っているのは死だけだろう。ルナマリアは心配しながらも時間があまり残されていない為、そのまま狭い道を進んでいった。
そうしてしばらく進んでいくと正面にゲートが現れる。そのゲートに向かってコアスプレンダーのミサイルを放ち、破壊した。辿り着いた場所は広く――――そして中央に円形の物体がある。レクイエムの中枢だ。

「これならまだ間に合う!」

コアスプレンダーはチェストフライヤーとレッグフライヤーを合体させ、インパルスに換装した後、ブラストシルエットを装備してケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲を構える。そして放たれた砲撃によってレクイエムは機能を停止した。







「あれは!」

一方で他の入り口を探していたショーンは見つからなことでこのままレクイエムの砲頭に直接突撃するかと考えていると正面から一隻の艦が現れるのを発見する。

「まさかあれにロゴスが?だとしたら逃がすわけにはいかない!」

ビームマシンガンを放ち、敵艦との距離を詰めるショーン。

『味方MSはいないのか!?』

『何故こんな所に敵が!?』

『撃て、とにかく撃って近づけさせるな!!』

ファントムペインのガーティ・ルーと同系統の敵艦からゴットフリートを含む殆どの砲撃が放たれるがゲルググJG型の機動力は高く、ミサイルやバルカン砲ですらまともに命中しない。逆にビームマシンガンでミサイル発射口やバルカンの砲頭を潰していく。そして、殆どの砲頭を潰したのちに艦橋に近づきビームマシンガンを構えた。

「投降しろ!貴様らの負けだ!!」

ダイダロス基地での戦いによってようやくロゴスという組織が完全に壊滅する。その段階までたどり着いた。そう、ショーンは確信していた。
 
 

 
後書き
最近ペースが落ち始めているなと自覚しつつ、熱しやすく冷めやすい自分の性格が嫌になる今日この頃です。
持ってくれよ、作者の熱意……持ってくれっ!創作意欲!!
とまあフルクロスごっこはこの辺にして今日の活躍。
アスランの格闘能力が既に異常の領域に達しているような気がしないでもない。まあ、SEEDの頃から近接戦バリバリの機体乗りこなしてたから今更か。
そしてショーンがお手柄を上げましたね。(∩´∀`)∩みんなでロゴス解散パーティーだ!

ビルドファイターズの二話目を見たけど戦闘シーンの格好良さは一話を含めて良いと思う。作者だったらまず確実にゲルググシリーズのプラモを主体にするでしょうね。それにしても何でガンダムのプラモにしか反応しないのだろう?マクロスとかエウレカとか普通に近代・現代兵器のプラモもあるでしょうに。ていうか二話目に普通の兵器のプラモ出てたし(笑) 
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