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ドラゴンクエスト5~天空の花嫁……とか、

作者:あちゃ
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第6話:振り向いちゃダメ

 
前書き
書いてる私が一番驚いた。
まさかこんな事になるとは…… 

 
(レヌール城)

桃源郷は目前(物理的な意味)だったが、敢えなく到達出来なかった。
だが、まだチャンスはあると俺は考えてる。
城内に入ったその時こそが最大のチャンスだと俺は考えている。

少しずつ慎重に最上階の入り口から中へと入る俺達……
ビアンカが先頭で、俺が後からで……
そしてその時は訪れた!

(ガラガラガラ、ガッシャン!)
突如入り口に鉄格子が下りてきて、俺達を城内に閉じ込めた。
原作知識から覚悟はしていたが、ガチでビビっちゃう俺ちゃん。

しかしビビってばかりもいられない……
このチャンスを利用し、俺はある場所に身を隠そうとする。
本当にビビってはいるのだが、更にビビっているフリをしてビアンカのスカートの中に身を隠そうとする。

「キャー! 何処に隠れてるのよアルス! エッチ、バカ、出なさいよ!」
「うわ~ん恐いよー!」
目の前には純白の三角形。
噎せ返る甘い香りは最高級フレグランス。
怖がるフリして彼女の○○○に抱き付き頬擦りをする。



ボッコボコに殴られましたが、大変満足な俺ちゃん。
大人になった時に行う予定の結婚式(披露宴?)で語る思い出として、とっても印象に残る事が出来たと思ってます。

ビアンカは俺に背を向け怒ったフリをしている。
『こんなエッチな事をされちゃったんだから、責任を取って結婚してもらわなきゃ♥』とか考えてるのかな?
悟空に“パンパン”されたチチと同じかな?

「こ、こんな所に何時まで居ても仕方ないわ……猫ちゃんを助ける為にサッサとオバケを退治しなきゃ!」
そう言うと俺の事を無視して先へ進もうとするビアンカ。
えっと……照れてるんだよね? 彼女は照れてるだけだよね!?

置いて行かれる恐怖と、嫌われない様にしたい思いで、ビアンカの後に慌てて付いて行こうとした時、突然部屋の隅に置いてあった箱(よく見たら棺桶じゃん!)から骸骨が飛び出し、あっという間にビアンカを攫って消えてしまった……

突然の事に1ビビり……骸骨の存在に2ビビり……取り残された事に3ビビりで、呆然とする俺。
だが外では雷鳴が鳴り響き、その轟音で我に返る。
忘れてた……入城早々にビアンカは攫われるんだった。
純白桃源郷の事しか考えてなく、ガチ忘れしてた……

しかし居場所は分かってる。
そこの階段を下り、中庭(?)にある墓の下に閉じ込められているはずだ。
分かっているのだから早く助けに行くべきだろう……でもね、一人恐~い!!

ガクガクブルブル震え涙も止まらない……
何時までも此処で立ち止まってる訳にはいかないのに、身体が動いてくれない。
それでも少しずつ足を動かし階段を下りる。

薄暗い階段をビクビク下っていると、足に力が入らず踏み外す。
体中を打ちまくり、辿り着いた所は6体の石像が並ぶ不気味な空間。
恐怖と痛みで泣きながら、ビアンカに貰った薬草を使い傷を癒す。

周囲を見渡せば薄っらと見える中庭(?)への扉。
だが、其処へ辿り着くには不気味な石像の前を通り抜けなければならない。
『ただの石像じゃん!』って言い聞かせたいが、どれか1体は(モンスター)で、襲いかかってくるはずだ……

原作知識の所為でこんなにも恐怖を感じるとは予想外だ。
だが、この場に居ても恐いだけだし、早くビアンカを助けたいし、汗だくの手でマントの端を握り締めながら進む事を決断する。

1歩……また1歩……
少しでも早くこの場を抜けたいけど、恐怖で身体が巧く動かずゆっくり進むジレンマ。
どの石像が(モンスター)か判らないから本当に恐い。

(ゴト……ズ、ズズズ……)
すると俺の後ろで、何やら重い石の様な物が引き摺られる音がする。
更なる恐怖で硬直する俺。
ポケットから手鏡を取り出し、身嗜みを整えるフリをして後方の状況を確認する。

そこには石像が1体……
さっきまで6体が等間隔に並んでいたのに、1体だけ俺の真後ろに並んでいる。
ちょー(こえ)ー! 100%モンスターじゃん!
この動く石像が『動く石像』じゃん!

振り向いて調べたりしたら『み~た~な~』とか言って攻撃してくるんだ!
見ちゃダメだ……調べちゃダメだ……
振り返らず出口を目指そう。

ゆっくり1歩、出口へ踏み出す。
(ズズズ……)
後ろの石像も付いてくる。

少し足早に2歩進む。
(ズズズズズ……)
それに合わせ石像もやって来る。

駆け足で出口へ到達する!
(ゴド、ヒュン……ドスン!)
見てはいないので音から想像するが、奴ジャンプした!

どうしよう……コイツ中庭(?)まで付いてくるのかな?
原作ではシカトすれば此処でお別れだったが、現実的にこの部屋から出られない理由が思いつかない。
だが悩んでも答えは出ない。ゆっくり扉を開けて中庭(?)に出る俺。

(ズズズ……ゴトッ)
拙い……一緒に出てきちゃったよ。
振り向かないと諦めないの?
相手しないと永遠にストーキングしてくるの?
何処の裁判所に訴えれば、接近禁止命令を出せるの!?

雷鳴は鳴ってるが月明かりも輝いてる不思議な天気の中庭(?)……
俺は再度身嗜みを整えるフリで鏡越しに後ろの石像を確認する。
すると何時の間にか残り5体の石像とは違う姿になっており、例の土偶(ハニワ)の様な姿に変わっていた。

あれ~……戦闘準備万端ってこと?
イヤイヤ……ボクちゃんまだ彼の存在に気付いてないから!
知らないよ……このままビアンカを助け、何食わぬ顔して先へ進むよ。

え~っと……どちらの墓かなぁ~?
手前は……“アルスの墓”って書いてあるー!
じゃぁもう一つのお墓だね(泣笑)

ピッタリと付いてくるストーカー(動く石像)を無視して、墓に手をかける俺。
その際ストーカー(動く石像)は見ない様に努める。
ビアンカを助け出したら、速攻で先に進むつもりです。
彼女にも『見ちゃダメ!』って言わないと!

「ふん……くっ……くぅ~……」
ストーカー(動く石像)には気付かないフリをし、力一杯墓石を動かそうと努力する。
しかし墓石が重く動かない……これって俺が非力って事ですか?

困るよ……恐いんだよ……早くビアンカと合流したいんだ!
「ふん! う゛~……動けぇ~……」
どんなに力を加えても俺一人では動かせない……

墓石に力をかけながら泣き出す俺……
恐いし無力感に苛まれるし、どうしてこうなんだ!?
せめてストーカー(動く石像)がどっかに行ってくれれば、冷静に方法を考えられたのに……

そんな事を考え墓石を押し続けてると……
(ズズズ、ゴト……グゴゴゴゴ……)
突如墓石が動き出した!

ふと横を見ると、動く石像が一緒に押してくれている!
(ズズズズズ……ゴトン!)
墓石を押し切り、中を覗くと蹲り泣いているビアンカが……

「ビ、ビアンカ!」
「ア、アルス!?」
俺の声に顔を上げるビアンカ。
しかし隣の動く石像を見て硬直する。

当然だろう……
だが助けてくれたのは事実。
これをどう捉えるか?
味方なのか? 気まぐれか? 何時までも気付かないから強硬手段に出たのか?

「ア、アルスの……友達?」
ビアンカも言ってて馬鹿らしく感じてるんだろう。
だが答えられないのは俺……コイツは何なんだろう?

「え~と……ビアンカを助ける為に墓石を一緒に押してくれたんだ……」
もう気付いている事を知らせる。
しかし襲いかかってくる気配はない。
本当に友達になりたいのか?

「あの……僕達これからこの城に居るオバケを退治するんだけど……一緒に行く? 君の仲間かもしれないけど、オバケ退治を手伝ってくれる?」
取り敢えずビアンカが仲間に加わった事で、多少強気に出れる様になった俺ちゃんは、襲いかかってくる事を覚悟で確認する。

(ズズズ!)
すると動く石像は俺に間合いを詰めてきた!
だけど攻撃する訳ではなく、多分一緒に行くとの意思表示だろう。
表情が変わらない(つか、動かない)から判りづらいが、敵意は感じられない。

「じゃぁ私達は友達ね。よろしく、私はビアンカよ! そしてこの子がアルス」
攻撃はしてこないが何を考えてるか解らない、ビアンカは明るい声で自己紹介をする。
原作には無いこの状況に、俺はどう対処すれば良いのだろうか?

しかし、俺の戦力が増強されるのには大歓迎だ!
俺は戦えないからね……守って貰わねばならないからね!



 
 

 
後書き
おいおいマジかよ……
本当に仲間になっちゃったのかよ!? 
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