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ドラゴンクエスト5~天空の花嫁……とか、

作者:あちゃ
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第5話:夜中に廃墟へ行くのって尋常じゃないくらい怖い

(アルカパ)

「起きて……ねぇ起きてよアルス」
気持ち良く眠っていたら、誰かが俺を揺すり起こそうとする。
勘弁してほしい……サンタローズからアルカパに移動するのは、6歳児には結構キツいのに、昼間は結構疲れる事をしたんだ。

「ねぇ起きてってば! レヌール城にオバケ退治に行くわよ」
そう……俺の貴重な戦力になるベビパンを助ける為、昼間はオバケ退治を引き受けたんだ。
だが報酬の前払いには応じて貰えず、どうやってレヌール城を攻略するのか思案中……

……レヌール城!?
(ガバッ!)「そ、そうだオバケ退(モガ)」
「シーッ! パパスおじ様が起きちゃうでしょ!」

俺は起きると同時に、ビアンカの手で口を塞がれる。
チラリとビアンカが隣のベッドで眠る父さんを見る。
俺もつられてそちらに目を向ける。

しかし父さんは爆睡中らしく、起きる気配は見られない。
ホッとした俺は、そのままビアンカの手の匂いを堪能する。
とってもステキでトリップ中。

「ほら、静かに廊下へ出るわよ」
このまま指にしゃぶり付きたいが、そんな事したら嫌われるのは理解してるので、今は我慢しようと思います。
結婚したら好き放題しゃぶり付けるのだし……指だけじゃなく、何もかもをね!

静かに廊下へ出ると、そこには色々なアイテムが用意されていた。
薬草とか毒消し草とか……随分と準備万端にしてある。
そう言うのって俺がやらなきゃ拙かったのかな?

「はいアルスはこれを使って……」
そう言って渡してきたのは銅の剣と薬草を数個。
よく見るとビアンカは茨の鞭を用意してる。

「どうしたのこれ?」
「その剣はお父さんが使ってたお古よ。私の鞭はお母さんが昔使ってたらしいわ」
へー……原作でも武器を譲って貰えれば苦労しなかったのになぁ……

「その薬草と毒消し草はどうしたの?」
「昼間のうちにお小遣いで買っておいたの」
何これー!? 全部ビアンカ任せになってるじゃん!
俺ってばダメっ子全開じゃん!

「あ、ありがとうビアンカ……お金は必ず返すから……」
「良いのよ、武器も持たずにオバケ退治になんか行けないからね! お姉さんの私がお金を出すのは当然でしょ」
何とか格好いいところを見せないと……せめて率先してレヌール城を目指さないと!

「じゃぁ行くわよ」
だが、そんな俺の思いも無視され、ビアンカ先頭で隊列を組む形に落ち着いてしまう。
拙いじゃん……戦闘が始まれば、俺は今以上に役立たずだ。
何とかせねば……



(アルカパ ~ レヌール城)

何の対策も思いつかないまま、居眠りこいてる兵士を横切り、町の外へと出てしまった俺ちゃん達。
俺……もう怖い!
貰った剣を両手で握り、ガクガク震えて情けない姿を晒してます。

「確かこのまま北に行った方が、レヌール城へは近道だったはずよ」
そう言って鬱蒼と生い茂る森の中に入ろうとするビアンカ。
いや~ん! 月明かりも届かなくなる暗い場所じゃ~ん!
怖ーよ……何時モンスターに襲いかかられるか判らないから、滅茶苦茶怖ーよ!

「ビ、ビアンカ……森の中は危ないよ! 周囲を見渡す事が出来ないから、何時モンスターに襲われるか判らない。多少遠回りでも見渡しの良い平原を歩いた方が、危険度は遙かに低い……ここは焦らず安全策をとった方が良い!」
そんなおっかねー近道はごめんだ。安全でそれ程怖くない遠回りの方が俺好みだ。

「そ、そうね……(モンスター)の接近に気付けない道は危ないわね。流石アルスね……冒険し慣れてるわ!」
おや、謀らずも好感度がアップした気がする。
なるほど……戦えなくても、戦いを回避する……もしくは有利にする策を練れば、知将として輝いて見えるのか!

そう言えば『銀○伝』の『ヤン・ウェ○リー』がそうだった……
運動神経はダメダメだけど、頭がいいから……彼の場合は戦争の天才としてだけど、だから『フ○デリカ』にモテてた。
俺の方が間違いなくイケメンだし、頭を使って格好いいところを示せば、将来ハーレムも夢じゃないゾ!

よぅし……俺ちゃんの知謀を駆使して、危ない事をせずにレヌール城を攻略してやろうじゃんか!
見てろよビアンカ……直ぐに俺の虜にしてやんゼ!
やる気出てきた!!

「ちゅー!!」
「ぎゃーす!」
俺の闘志に火が点いた途端、草むらから1匹の『大ネズミ』が襲いかかってきた。

突然の事で既に泣いている俺……
戦闘が始まったら一際役に立たない俺……
ビアンカの華麗なる鞭さばきで、速やかに解決する戦闘。

先程は俺に対して感心する様な瞳をしていたのに、今ではシラけた目で見据えられている……
『アンタに剣を渡したでしょ!』って感じの冷たい瞳で見据えられている……
だって戦うの怖いんだモン!!





(レヌール城)

あれから戦闘は全てビアンカが片付けた。
俺、敵が現れる度に泣き叫んでた……
あぁ……どんどん俺の好感度が下がって行く様な気がする。

それにしてもビアンカの鞭さばきは見事だ。
そっちの趣味はなかったが、彼女になら鞭で打たれたい。
念を押すが、ビアンカ限定だゾ! 他の奴にはそんな事されたくない!

「さぁ、着いたわ……」
ビアンカのお尻を眺めながら、ステキ妄想を繰り広げてると、突如目の前のお尻が停止し、目的地への到着を教えてくれた。

「へ~……ここがレヌール城……!?」
ビアンカに促されるまま視線を城へ向ける。
そこには巨大な城が佇んでいた……薄気味悪く闇夜に君臨していた。
月明かりで照らされながらも、何故だか雷鳴とどろく闇夜に……

やっべー……怖ー……めちゃんこ怖ー!
怯んでますよ……(ワタクシ)怯みきってますよ。
だから報酬の前払いを要求したんだ!
こんな恐い所に子供だけで行っちゃダメだろう……あ、父さんへ正直に話し付いてきて貰えば良かったな。

(ガチャガチャ!)
「ダメね……この扉は錆び付いてて開かないわ。何処か他に入れるとこは無いかしら?」
行動力満点の美少女は、この城の雰囲気に飲まれる事なく入り口を探している。

「ビ、ビアンカ……待ってよぉ……置いてかないでよぉ!」
ボーッとしてると彼女はズンズン先に行ってしまい、恐ろしい雰囲気の中で一人ぼっちにされてしまう。
もう泣きながらビアンカの手を握っておりますよ、俺ちゃんは。

「ちょっとアルス……まだオバケは現れてないんだから、そんなメソメソしないでよ!」
「う、うん……ごめんなさい」
優しく手を握って貰ったが、流石に叱られてしまった……



城の裏手に回り込むと、原作通り最上階へと続くハシゴが1本設置されている。
「ここから中に入れるかもしれないわね」
そう言ってビアンカは、先行しハシゴに登り始める。

置いていかれたくない俺は、慌ててビアンカの後に続きハシゴを登る……で、気が付く。
見上げれば其処には純白のワンダーランドが広がってるではないか!
ロリロリビアンカの秘密の園は、美しい純白で俺を手招きしている。プリップリッと!

先程までの恐怖は消え去り、吸い込まれる様に純白を目指す俺。
あとちょっと……もう数センチ……
魅惑の桃源郷に俺の顔が到達する目前で、ビアンカが最上階に到達したらしく、俺の希望は消え去った。

「見てアルス。あそこから城へ入る事が出来そうよ」
それより俺は、貴女のアソコに入りたかったよ。
もうちょっとだったのになぁ……



 
 

 
後書き
ヤン・ウェンリーのファンの方々ごめんなさい。
アルス君の勝手な独り言だから怒らないで下さい。
私もヤンの大ファンです!
1番はナイトハルトです。 
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