聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士
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第六話 龍虎対決!誕生する聖闘士!
聖闘士ファイトも佳境に入り、大河は次の対戦相手龍座・龍峰のデータを澪のパソコンで見ていた。
「こいつが・・・次の対戦相手か」
「そ・・・彼の名は龍座の龍峰。伝説の聖闘士の一人・・・紫龍の息子・・・」
「竜の息子か」
ふと故郷に居る竜児の事を思い出す大河。
第六話 龍虎対決!誕生する聖闘士!
「まぁ・・・ジェットアッパーやハリケーンボルトも全然ダメだし・・・唯一使い物になるのはブーメランフックか・・・ていうか何であんた左拳で打ってるの?あれは右拳のブローでしょ?」
「いや・・・やってみようと思ったけど・・・出来なかったんだ・・・何故か右手じゃ俺は必殺ブローが打てないんだ」
右拳を握り締めながら呟く大河。
すると澪にはある仮説が生まれた。
(まさか・・・右拳にはとんでもないブローが宿ってるから他のブローが覚えられないのかな?・・・まさか・・・あの大銀河の火の玉・・・ギャラクティカマグナム?)
高嶺竜児の最大のライバル剣崎順のフィニッシュブローを想像する澪。
だが
(なわけないか・・・こいつにあのブローが打てるわけない)
あのブローを大河が出来るわけがないと感じた澪は翌日の試合に備えるのだった。
翌日
スタジアムの道を向かう大河と澪は昨夜の内に作戦を練った。
それは龍座のドラゴンの盾を最初に破壊するという作戦だった。そうすれば防御に隙が生まれると思ったからだ。
廊下を抜けリングに向かう大河。
向かい側には龍座・龍峰の姿が・・・
「あいつが・・・龍峰・・・」
バンテージを巻きボクシンググローブを装着する大河。
龍峰もリングに上がり柔軟を始める。
その様子を観客席の影から見つめる長髪を一本に束ねた男の姿が・・・さらに小柄で右目に傷のある男も観客席から大河を見つめていた。
そして試合開始のゴングが響き渡り大河と龍峰が突撃した。
「であああああ!!」
左ジャブを繰り出し龍峰の盾を破壊しようとする大河。
すると凄まじく鈍い音が響き渡った。
音の先には拳を抑えている大河の姿が・・・
「く・・・かってぇ・・・何だあの盾」
「このドラゴンの盾は・・・最高の硬度を誇る」
其処の言葉は大河の目にドラゴンの盾を輝かせて魅せた。
(くっそ・・・あのコンピューターまた計算外しやがって・・・いや・・・俺が相手を甘く見ていたのを何かの責任にするなんてダセェ真似できねぇ)
意識を改めファイティングポーズを取る大河。その様子を見た龍峰は何かを感じ取り拳を構え直した。
「うおおおおおおおおおお!!!」
先に大河が踏込龍峰の至近距離に入った。
「ジャブジャブ!右ストレート!!」
大河の左右のコンビネーションを龍峰がドラゴンの盾で防ぐと反撃に移ろうとするが・・・
「ブーメランフック!!」
間髪入れずに大河の渾身のブーメランフックが龍峰の持つ最強のドラゴンの盾に炸裂すると、盾ごと吹っ飛ばされた。
「・・・く・・・!?」
龍峰は着地し自分の状態を確認すると口元が切れて出血していた。
(盾ごしでこの威力・・・やはり侮れない・・・ブーメランフック)
ブーメランフックを肌で感じる龍峰だが、大河は・・・
(くそ・・・拳が・・・何て盾だ)
ドラゴンの盾を殴り続ける大河の拳のダメージもひどい。
だが大河は構わず龍峰に向かって踏み込んだ。
「ジャブジャブ!右ストレート!!」
大河のリズムを身体で覚え始めた龍峰はそれに合わせて拳を打ち込んできた。
「!?」
頬を掠めた拳で擦過傷ができた大河は一瞬戸惑うが負けじと打ち返した。
二人の拳のスピードは常人の目にとどまらず衣服を切り裂き始めていた。
「こおのおお!!」
大河が渾身のジャブを繰り出すと龍峰は避けるが背後の壁に巨大なクレーターが生まれた。
(凄い・・・小宇宙も使わず・・・拳圧だけでこれほどの威力)
龍峰が大河に振り返ると大河の姿が消えていた。
周囲を見回し大河の姿を探すが見当たらない。
すると突然影に覆われ空を見上げる龍峰の視線の先には必殺ブローの体制の大河の姿が・・・
「ハリケーンボルト!!」
大河のハリケーンボルトをドラゴンの盾で受け止める龍峰。あまりの衝撃に腕が痺れる。
だが大河の攻撃は終わっていなかった。
「ジェットアッパー!!」
ハリケーンボルトからジェットアッパーの連撃を放つが再びドラゴンの盾で受け止める龍峰。
「うおおおお!!」
ドラゴンの盾を貫けない大河は今自分の持つもっとも強力なブローの体制に入った。
だが
「はああああああ!!」
「ぐお!!」
己の最大のブローが龍峰のカウンターによって阻止されてしまった。
そのままノックアウトされてしまう大河。
生徒たちは戦いの終わりを確信してしまった。
聖衣を装着していない大河はもうボロボロでとても立てるような状態じゃない。
澪も同じだった。
もう大河に立つ力は残されていない。立ったところでもう勝ち目などない。
だが龍峰だけは確信を抱き構えを解かなかった。
(立つ・・・彼は必ず・・・)
大河の闘志が消えていない事を見逃さない龍峰は大河が立つのを待ちニュートラルコーナーに入った。
誰もが龍峰の行動に疑問を抱くと、観客席から小柄で右目に傷を持つ少年がリングに舞い降り高々と宣言した。
「10カウントだ!」
少年の言った10カウントの言葉に会場中がざわめいた。
「聖闘士ファイトはどうだか知らないが・・・ボクシングは10カウントの間に男が試される!だったら10カウントとれよ!」
あまりにも力強い少年の言葉に納得した檄は10カウントに入った。
「1・・・2・・・3・・・」
檄のカウントを見る少年は心の中で呟いた。
(・・・さぁ・・・見せてみろよ・・・おめえの男をよ・・・)
少年や会場中の聖闘士・・・そして澪が大河を見つめた。
「・・・7・・・8・・・」
8カウントになる瞬間、大河の拳がピクリと動いた。それを見逃さなかった龍峰も拳を構える。
「馬鹿・・・虎!立つな!」
完全な敗北を確信した澪の叫びに反発するかのように・・・
「うあああああああああああああああ!!」
瞳孔を開きボロボロの身体で立ち上がる大河。その姿に会場中から熱狂が沸いた。
「馬鹿・・・立ったって・・・もう勝ち目なんてないのに・・・」
大河の姿に澪が涙を流し、絶望するが・・・大河は身体を駆け巡る何かの感覚に浸っていた。
(・・・何だ・・・この感覚・・・何か違う)
その未知なる感覚に大河はグローブを外し・・・叫んだ!
「ティグリス!聖衣!!」
大河の叫びに応えるように聖衣の箱が開き虎のオブジェが現れると分解され大河の身体に次々と装着された。
未知なる感覚小宇宙の感覚を掴み取った大河が聖衣を纏うことに成功したのだ。
「行くぜ!うおおおおお!!」
ファイティングポーズを取りながら龍峰に向かう大河の渾身の左拳が唸った!
「ブーメラン!フック!!」
聖闘士しての力を込めた渾身のブーメランフックに龍峰はドラゴンの盾を構えた。
「ぐ!う!うああああああああ!!」
あまりの破壊力にドラゴンの盾ごと吹っ飛ばされる龍峰。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
立った一発の拳に全ての力を込めた大河が息を切らせるが、龍峰は立ち上がり拳を構えた。
「このドラゴンの盾が無かったら・・・今のは危なかった・・・僕も全身全霊を込める!」
「こい!!」
龍峰の最大の拳に正面から受けて立つ大河。
龍峰の小宇宙が最大限に高まり一気に解き放った。
「廬山・・・昇龍覇!!」
「!?」
天に昇る龍の拳が大河に直撃した。
天に打ち上げられた大河はきれいな弧を描き大地にノックアウトした。
文句なしの龍峰の勝利だ。
(何故だろう・・・彼の中にも竜の血が流れている気がする)
そう思い龍峰が去ろうとしたその時だった。
今まで感じたことも無いような強力な小宇宙を身体で感じ振り返った。
高嶺ボクシングジム
「・・・・・」
誰も居ないジムの中で竜児がミットの手入れをしていた。
いつでも大河が帰ってきてボクシングをできるように・・・
ミットを布で軽く磨こうとしたその時だった。
「!?」
突然、ミットが裂け中に詰められていた物がきれいに落ちた。
「これは・・・虎が右の練習に使ってたミットだよな」
大河は全てのブローを左で習得している。
だが何故右の練習に使っていたミットが裂けたのか・・・その時竜児は直感した。
「まさか・・・虎の右には『あれ』が宿ってるのか!・・・あの時の『あれ』が!!」
かつての自身の戦いが脳裏をよぎる竜児。
龍峰が振り返った先には目元に影を落としながらも立ち上がった大河の姿が・・・
「これは・・・この小宇宙は!?」
大河の身体中から発せられる膨大な小宇宙・・・そして今まで見たことの無い七色に輝く小宇宙が右拳に宿っていた。
今まで見たことも無いような小宇宙に会場はおろか澪も驚いている。
「何・・・あの小宇宙・・・あれは・・・まるで虹?」
澪の驚愕をよそに大河は右拳を構え龍峰に向かっていった。
「右のブロー?あいつ・・・右には何のブローも無いはず・・・出るの?ギャラクティカが」
スーパースター・剣崎順の必殺ブローだと思った澪だが大河の体制は全く違った。
それはアッパーカットの体制だ。
「これは・・・右のジェットアッパー?・・・違う!これはこの全てのアッパーカットの常識を覆すアッパーカットは一体!?」
大河の右が迫る龍峰はそう称し・・・
「あれは・・・あの右のブローは・・・」
そのブローを知っている澪。
大河の拳が龍峰の顎を捕えた瞬間。
「!?」
龍峰の顎に大河の拳が寸前で止まっていた。
アッパーカットの体制のまま大河は意識をなくしていた。意識が無いにもかかわらずその視線は闘志があり龍峰をまっすぐ見ている。
すると檄がリングに降り大河の状態を確かめ宣言した。
「ティグリス!戦闘続行不能!よって勝者!龍座・龍峰!!」
「虎!」
檄の宣言と同時にリングに駆けだす澪。大河を肩にかけ医務室に向かった。
日が暮れ夜になると医務室で大河は目を覚ました。
来たるべき闇闘士との戦い方を感じ取り荷物を纏め始めた。すると背後から声が・・・
「行くの?」
「ミヨ」
澪だった。
「ミオだっつうの・・・挨拶くらいしてもいいんじゃない?・・・一応相棒なんだし」
「あぁ・・・悪い・・・行こうと思ったんだけど・・・もう暗いし・・・」
ザックと聖衣の箱を担ぎパライストラの門から旅立とすると・・・
「んじゃ・・・さっさと行きましょ」
「ミヨ・・・お前俺についてくる気か?」
「行ったでしょ・・・あたしはあんたの相棒・・・リサーチするついでにあんたに同行した方が効率が良い・・・それにあんたが探しているカイザーナックルにも興味があるし」
「あぁ・・・そうですか?」
パライストラを出る大河と澪。
これから新たな旅が始まる。
そう思った瞬間小宇宙を感じ取った。
「誰だ!?」
「聖闘士ではなさそうだけど」
「・・・その通り」
大河達が振り返ると黒い聖衣のような鎧を身に纏った一人の男が立っていた。
「誰だ!貴様!」
「・・・神闘士・・・α星・ドゥベのシグ」
神闘士・・・それはアスガルドを守護する戦士たちの事だった。
「神闘士がなにしにきたのよ?・・・う!」
「ミヨ!」
突如シグが澪の溝を殴り意識を失った澪を抱えた。
「貴様!澪を離せ!!」
大河が傷ついた拳でシグに殴りかかるが、シグは首を傾げる動きのみで大河の拳をかわした。
「貴様・・・目的は何だ!?」
大河の叫びにシグは静かに答えた。
「アテナの聖闘士の首・・・」
「な!」
大河の溝に拳を放ち膝をつかせたシグは己の目的を告げた。
「この娘貴様の女と見た・・・返してほしければアスガルドまで来い」
「何だと!?」
「オーディーン!ソード!!」
「うわああああああああああ!!」
シグの技に吹き飛ばされた大河はそのまま地面に沈んでしまった。薄れる意識の中で手を伸ばした。
「み・・・澪ぉぉ・・・く!!」
先程までの激戦のダメージもあり意識を手放してしまう大河。
どれだけの時が過ぎただろうか・・・パライストラの林の中で目を覚ました大河は最後の瞬間を思い出した。
「澪・・・澪!!」
大河が立ち上がろうとすると誰かの気配を感じ取り振り返ると、大河の近くに座っている金髪の男の姿があった。
「・・・気が付いたか?」
「あなたが・・・助けてくれたんですか?ありがとう・・・」
大河が男に礼を言うと立ち上がり一目散に立ち上がろうとしたが身体の痛みが強く膝をついた。
「う・・・くそ・・・」
「そんな身体で何処へ行く?」
「決まってる。澪を助けに行くんだよ!」
「澪?・・・彼女か・・・そういえば、お前聖闘士ファイトに参加していたんだよな?」
「あぁ・・・」
「優勝すれば白銀聖闘士へ昇格できる・・・今回は敗者復活があるみたいだが・・・参加はしていかないのか?」
「どうしてだ?」
「聖闘士ファイトが終われば、アスガルドまで他の聖闘士が同行してくれる・・・無茶をして一人で行くことも無いだろう・・・それに白銀聖闘士になれば栄光が手に入るぞ?・・・一人の女の為にそれを捨てるのか?」
どこか大河を試すような男の言葉。
だが大河はきっぱり答えた。
「栄光なんて・・・関係ない!・・・昔あるボクサーが言ってたぜ・・・栄光と一人の女のどっちが大切かと聞かれた時・・・迷うことなく一人の女の方が大切だって言った・・・栄光でも・・・誰の為でもない・・・今目の前の澪を・・・俺は助けに行くんだ!」
「ほぉ・・・掟に従おうとしないのか?アテナの聖闘士として失格かもな」
「うるさい・・・少なくとも俺は男として間違ったことはしない!もう二度と!」
迷いのない真っ直ぐな言葉を聞いた男は笑みを浮かべた。
「ふ・・・合格だ」
「え?」
「試すような事を言ってすまなかったな。一人で行くにしても・・・どうやってアスガルドまで行く?」
「そ・・・それは」
考え直すと大河はアスガルドが何処にあるか分からない。すると男は大河の隣に立ち呟いた。
「俺が連れて行ってやる・・・アスガルドまでな」
「あなたは・・・一体?」
「どうでもいい・・・さぁ・・・行くぞ!」
「は!はい!」
男から只ならぬ雰囲気を感じ取る大河は男の背後に白鳥座を感じ取りながらただ一人アスガルドへ向かうのだった。
後書き
男から只ならぬ雰囲気を感じ取る大河は男の背後に白鳥座を感じ取りながらただ一人アスガルドへ向かうのだった。
極寒の地!アスガルドに単身やってきた俺は澪を救うために走った。次々と襲い掛かる神闘士を俺は倒すことが出来るのか!?
次回!聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士 澪を救え!対決アスガルドの神闘士
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