問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING 特訓
「さて、特訓を始めようか。」
「はい、マスター。」
一輝とスレイブの二人は、空間倉庫のうち、何も入れていない倉庫に立っていた。
というのも、作戦を立てるのは十六夜に任せ、飛鳥を試すのにジンとペスト、グリフォンに頼みに行くのに黒ウサギと、一輝には何もやることがなかったのでスレイブに使い慣れるのに時間を使うことにしたのだ。
日本刀しか使ったことのない一輝は、どうにもその癖で動いてしまい、危険がある。
「じゃあ・・・全ての妖をすべしものよ。百鬼をひきいて、己の霊格をあげしものよ。今ここに顕現せよ、ぬらりひょん!」
一輝の言霊により、黒い霧が現れ、それが固まりぬらりひょんとなる。
本来なら輝く霧で現れるべきなのだが、ぬらりひょんはそれが嫌なようだ。
「急に老人を呼び出しおって。何の用じゃ?」
「知ってるくせに聞くなよ。ちょっと修行相手をしてくれ。」
「やはりか・・・まあよい。獅子王を貸せ。」
一輝は倉庫から獅子王を取り出し、ぬらりひょんに渡す。
「ふむ。で?おぬしは何を学びたいのだ?」
「スレイブの使い方。両刃の剣の使い方は知らないからな。」
「日本の妖怪であるわしが知っておるわけがないじゃろ。」
「だから、実戦の中で学ぼうかと。」
「無茶苦茶だのう。だが、それよりも学ぶべきことがあるであろ?」
「?それは・・・」
「その身で学べ!」
一輝がしゃべっている最中にもかかわらず、ぬらりひょんは切りかかる。
一輝はあわててスレイブの手をとり、剣の姿になってもらうとそれを防ぐ。
「甘い!」
「が・・・」
が、その隙に一輝の腹に蹴りを放ち、一輝は後ろに吹っ飛ぶ。
そして、一輝が止まる前にぬらりひょんが一輝に追いつき、獅子王の峰で一輝の腹を打ち、叩き落す。
「一回死亡じゃ。」
そこでぬらりひょんは一輝から離れ、元の位置に戻る。
「いっつ・・・」
「大丈夫ですか、マスター?」
腹を押さえて苦しんでいる一輝に、人の姿になったスレイブが手を貸して、どうにか立ち上がる。
「おぬしは確かに強い。だが、それはおぬしが普段使っている二つのギフトがあってこそだ。それを使えなくなると」
「ある程度強い存在とは、一切戦えなくなる。」
「そうだ。実際ペストとの戦いでは、一時的に役立たずになったのう。」
痛みが軽くなり、なんとも無くなったところでぬらりひょんは話を再開する。
「だが、それは一人で戦った場合。一人の人間が、ただの武器を持った場合だ。ここまで言えば、解るかのう?」
「・・・なるほど。スレイブ、一つ質問いいか?」
「どうぞ、マスター。」
「では、ヤシロとのゲームの時、お前を使ってる七人の御使いだけ、動きが違ったが、その原因は?」
「私が、あの天使の体を操っていたからです。剣の姿でも周りは見えますから。」
一輝はスレイブと目を合わせ、
「じゃあ、うまくやってもらえるか?」
「解りました。うまくやります。」
二人はそんな会話を交わし、スレイブが剣になるとぬらりひょんに向き直る。
「じゃあ、もう一回よろしく。」
「うむ!」
先ほどと同じようにぬらりひょんが切りかかってくるが、
「・・・ほう?」
スレイブが一輝の体を操り獅子王を防ぎ、一輝の自我で蹴ってきた足をつかむ。
「うおりゃ!」
そして、そのまま振り回して投げる。
それはぬらりひょんには一切ダメージを与えないが、先ほどに比べれば、はるかに素晴らしい。
「たった一回でここまで出来るようになるとは、予想外だのう。では、こんなのはどうじゃ?」
一輝たちの目の前でぬらりひょんの姿がゆらぎ、視認できなくなる。
「背中、任せたぞ。」
「了解。」
一輝は前を、スレイブは後ろを担当し、気配を探る。
そして、
「はぁ!」
スレイブが一輝と手をつないだ状態で人の姿になりぬらりひょんの攻撃を防ぎ、
「「せえの!」」
スレイブが刀の姿になってぬらりひょんのバランスを崩し、二人がまったく同じベクトルで刀を振り、初めて攻撃を当てる。
「ふむ。初にしては十分かのう。」
が、たいしたダメージにはなっていないようだ。
「今のでその程度か・・・」
「意外と、つらいものがありますね・・・」
二人は結構ショックだったようだ。
「さて、ここからは少しばかり本気を出すが、死ぬでないぞ?」
「まて!これ以上やると・・・」
「この程度でへばっていては、あやつを支配下にはおけぬぞ?」
「!・・・はぁ。悪い。もう少し付き合ってもらえるか、スレイブ。」
「私はあなたの剣。どうぞお気になさらず。」
一輝とスレイブとぬらりひょんは、このまま夕食の時間まで続け、一輝一人だけが全身に打撲を負ったのだった。
まあ、全部終わってから自己回復能力を底上げして治したのだが。
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