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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第34話 修学旅行のその前に-その1-

 
前書き
修学旅行編のプロローグかな 

 
 さて、エヴァとネギとの茶番劇と桜咲の同性愛疑惑が晴れて4日後、学園長室に呼び出された。

 この2、3日エヴァの件での魔法先生への対応で大忙しだったのにいったい何のつもりだろう?

「え………。修学旅行の京都行きは中止~!?」

 うん、回れ右して改めて来よう。

 学園長室の閉まった扉からも聞こえて来てしまう大声に、心底からげんなりしたオレは悪くないよね?

 まぁ、中部魔術協会の魔術師としては帰ってしまうのは、まずいんだけどね。

「失礼しま~す」

 覚悟を決めてノックして中に入ると、学園長とネギの2人だけだった。
 そういや、高畑先生はいつものごとく出張だったな………。新学期になって1度も授業をしてないんだが、わかっているんだろうか? わかってないんだろうなぁ。

 なにやらネギは壁に手をついて黄昏れてる。
 そんなに修学旅行で京都に行けないのが残念なのか?
 どうせ、「否定して(のち)肯定する」、詐欺師の常套手段で話しを進めているだけだろうに………。

「待っておったぞい、サギ君」

「遠坂です。新学期からは遠坂姓で活動しているのをもう忘れたんですか? 健忘症ですか? もう引退したらどうですか?」

「ふぉ!?」

「まぁいいです。京都行きは中止、良い判断です。了解しました。で、代替地は当初の予定通りハワイですか?」

「ちょ、ちょっと待ちなさい! (あきら)君」

「遠坂です。二度も言わないとわからないとはますます健忘症の疑いがありますね。一度入院してきたらどうですか?」

「も、もう少しフレンドリーにできんかのぅ?」

「無理ですね」

 馬鹿馬鹿しくてまともに相手をしたくないわ。

「まぁ、良いです。で、用件は何ですか?」

「実はネギ君にも話したんじゃが、修学旅行で京都は無理かも知れんのじゃ」

 オレが友好的に話すつもりはないとわかったのか、学園長は慌てて用件を話し出す。
 まとめれば、こんなかんじだ。

 麻帆良の所属する関東魔法協会と、京都に本拠を構える関西呪術協会は仲が悪い。
 修学旅行とはいえ、麻帆良の魔法先生(とりわけ「英雄」の息子のネギ)が京都に来るのを嫌がっている。
 学園長は「もーケンカはやめて西と仲良くしたい」らしい。
 そこで学園長はネギに親書を持たせ、友好のための特使として派遣したい、とのことだ。
 しかも京都には、ナギ・スプリングフィールドが一時期住んでいた家があるので、詠春殿に案内してもらうよう手配するとか言っており、それを聞いたネギが「父さんの手がかりがが~」とか、ウザい程テンションが上がっている。

 いや、全然意味わかんないんだけど?

 「西と仲良くしたい」とか言って、話し合おうともしなかったのは東の方じゃないか。

 しかも、特使がネギ?

 ネギは関東魔法協会の所属でもなければ、ただの魔法使い見習いに過ぎない。しかも修学旅行のついでに親書を渡すとか。そんなのを特使に送るのは、「お前らにはこの程度で充分だ」とケンカを売っているのに等しいわ! どこが仲良くしたいんだ?

 表の世界でも王族などの貴人が今回のような地位を任せられることがあるのかもしれないが、ネギの場合、魔法使いにとっては「英雄」の息子だが、西にとっては「魔法世界で同胞を殺して謝罪も賠償もない仇敵」の息子なので、はっきり言って挑発行為だ。

 万が一、それらの謝罪を公的に先に済ませるならともかく、そんな可能性はそれこそ1万分の1もないだろう。

 要はネギにハクをつけたいんだろうが、無理だ。考えが甘すぎる。むしろ、東西の抗争を激化する引き金になるぞ。

 ………。

 あれか? それが狙いなのか?



 まぁ、それならそれで対処するだけだ。
 後はこれが近衛近衛門の考えなのか、関東魔法協会の考えなのかだな。
 いいや、その辺は上の人に考えてもらおう………。

「ネギ君にはなかなか大変な仕事になるじゃろう………。どうじゃな?」

「わかりました。任せてください。学園長先生」

 学園長から親書を手渡しされて、大任を引き受けたと舞い上がってるネギ。

 意味、わかってないんだろうなぁ。

「うむ。では、修学旅行は予定通りと行おう。頼むぞ、ネギ君」

「はいっ!」

 依頼を受けたのがそんなに誇らしいのか、ドヤ顔でオレを見て出ていくネギ。

 非常に鬱陶しい。
 っていうか、わかってんのか?
 お前は生徒として旅行に行くんじゃなく、生徒達を引率するために行くんだぞ。
 百歩、いや千歩譲って、特使とやらが学園の仕事だとしても、その後、詠春殿に案内してもらう私的な時間があると思ってんのか?
 一応お前も学園のお金で修学旅行に行かせてもらうんだから、その分の仕事をしろや。

「で? オレも帰って良いですか?」

「ふぉっ。待ってくれ、遠坂君。遠坂君には、京都でネギ君のサポートをやってもらいたいんじゃ」

 本気で言ってんのか? まあ、本気と言うか、根拠もなく受けて当然と思っているんだろうなぁ。もういいや。

「だが、断る」

 敬語もへったくれもなくはっきりと断ってやった。

「な、なんでじゃ?」

 なんでオレがネギなんかのサポートをすると思えるんだ?
 と言うか、逆になんでオレがこの話しを受けると思うか聞きたいわ。本当に頭大丈夫か?

「麻帆良学園の教師として、3-Aの副担任として、仕事はしましょう。だが、それ以上はする必要を感じませんね」

「じゃが、これは麻帆良学園の学園長としてのワシからの指示じゃぞ」

「はぁ? それがなんです? オレは「先生」としてやっかいになっているだけです。なので、「先生」としてならともかく、魔法使い、つまり裏に関わる者としては、別に学園長の部下でもないし、頼みを聞かないといけない理由もない。むしろ、一魔術師として忠告するならば、『関東所属でもない』『見習い魔法使い』のネギを『修学旅行のついで』に特使にするのは相手を馬鹿にしているとしか思えませんよ。本当に西と仲良くしたいんなら別の手段を考えるべきです。というか、馬鹿じゃないですか? こんなこともわかりませんか?」

 くっ、なんだか話している内に段々怒れてきて、思わず熱く語っちまった。

「むぅ。じゃが、関西呪術協会の長の婿殿は君たちの父の戦友じゃぞ」

「だからなんだと言うんです? それと「君たち」ではありません。「ネギの父親」だ。間違えんな」

「容赦ないのう………。年寄りにはもっと優しくするもんじゃぞ」

「はぁ? 何言ってんです? 優しさの大盤振る舞いで忠告してあげてるんじゃないですか。どうせ、ネギにハクでもつけようかと思っているんでしょうが、いい加減こりましょうよ。少し前も「闇の福音」にボコボコにされて失敗しているでしょう。それともそんなことすら忘れるほど健忘症がひどいんですか?」

 さすがに、つい最近失敗したばかりのことを言われて学園長の顔色も変わる。というか、垂れててこちらから開いてるか閉じてるか見えなかった糸目が開くのを初めて見たわ。

 だからどうした、という話しなんだが。

「とにかく、ネギのハク付けのために生徒を巻き込むのは止めてください。どうしてもネギを特使として送りたいなら、明後日の土曜日にでも1人で新幹線で行かせれば良いじゃないですか」

 学園長、その「しまった」という驚きの顔はやめてくれ。見てて情けなくなる。

「大丈夫じゃ! 向こうも魔法使いである以上、生徒達や一般人には手を出さんじゃろうからの」

「………。つまり向こうが手をださんようにするため、生徒達を裏の行為の盾にするわけですか」

「ふぉっ。そうじゃないぞ、サギ君。そうじゃないんじゃ」

 また、間違えやがった。じゃあ、どうだっていうんだ。だいたいそんな甘い見通しが通るわけあるか。よしんば結果的にそうだったとしても最悪の展開を考えて事に当たるのが最高責任者の責任というもんだろう。

「もういいです。話すだけ無駄みたいですから。とにかく、向こうが手を出さないと言うんなら、何もする必要はないんでしょう?」

「そうじゃが………」

「まぁ、どちらにしろ、修学旅行では教師としての職務は全うします。それとまぁ、なんかあった時に自衛とウチのクラスの明石、神楽坂、春日、絡繰、近衛、桜咲、龍宮、(チャオ)、長瀬、葉加瀬、マクダウェル、レイニーデイの魔法関係者以外は魔術師として一般人に迷惑かけないよう守りますよ。あ、それと佐々木や宮崎、雪広らがネギの関係者になったら、その時点からネギに守ってもらってください。しかし、すごいですね。1/3以上が魔法関係者じゃないですか」

「そ、それはじゃな………。そう、魔法関係者をひとまとめにして護衛や監視しやすいようになっておるんじゃよ。それと明石くんの娘さんや木乃香は、生まれはともかく今は魔法と無関係に生きているんじゃ、一般人として守って欲しい。それと明日菜ちゃんも長瀬くんも一般人じゃぞい」

「………。わかりました。明石については教授にも聞いてます。一般人として守りましょう。ただし他はダメです。近衛は関西呪術協会の次期長候補です。一般人とはとても言えないでしょう。それと神楽坂はネギと仮契約しています。守らせるならネギにさせてください。あと長瀬は桜咲から魔法については聞かされているので一般人じゃありません」

「ふぉっ!」

 驚いてるな、学園長。神楽坂については知らないとでも思ってたのか?

 ま、さっき話した中で、木乃香とエヴァ、茶々丸についてはまったくの嘘だが。

 ただし、実力的に守ると言うよりも、どう実力を隠すかなんだが。

 とにかく言うべきことは言った。

 後はもう知らん。

 ちなみにうろ覚えの原作通りなら、学園長もネギも終わりなんだが、忠告はしたんだ、精々がんばってくれ。

 こっちもフェイトっていう最大の死亡フラグとの遭遇があるかもしれないんだ。そっちそっちでやってくれ。
 
 

 
後書き
暁の原作知識(京都編)
ネギ特使。旅行中いたずら。旅館で仮契約騒ぎ。木乃香誘拐される。本山前でネギと小太郎対戦。宮崎心を読むアーティファクトで参戦。親書はなめた書かかれ方。フェイト参戦。木乃香誘拐される。本山の人は石化。スクナ復活。武闘四天王参戦。エヴァが止め。木乃香が仮契約。

これぐらいの原作知識しか覚えてません。後は、実際にイベントに遭遇して「ああ、そう言えば」と言う風に感じるぐらいです。

次回は、旅行前の準備かそれプラス旅行1日目ぐらいかな。
 
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