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転生者拾いました。

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ノルン火山
  拠点

 三重城から出たオレたちは森の中で面白いものに出会った。
 
「どーも、ダンナ。」
「お前らどうしてここに。」

 森の中にいたものはオレが死神と呼ばれる要因となった連中だった。山賊、盗賊、強盗、奴隷商人、スパイなどなんでも御座れなアウトローの連中。いまはオレの手足として各地に派遣して情報収集などをさせている。
 それにちゃんと生活する分には支障のない程の金も出しているから道を外すことはないだろう。外したとしても消せばいいだけだし。

「関所で捕まったって言うから来てやったのにそれはないですぜ、ダンナ。」
「そうそう、我らバニッシュデーモンを舐めてもらっては困ります。」

 口々に毒を混ぜながら俺たちを心配していたということを喋るバニッシュデーモンの連中。オレの判断は間違ってはいなかった。今でこそこいつ等の頭領だが、出会った当初はひどいものだったな。クエストで遇ったり、市街の裏道で遇ったり、スラムであったりといろいろだが、一概にいいことをしていたという記憶はない。皆元悪人だ。
 しかし根はいい連中ばかりで人情味もある。虐げられ蔑まれ居場所のなくなった者たちがたむろして生きるために人を殺したり、盗み、犯した。

「出奔するんでしょ?」
「そうだ、仮にも第一王子を殴ったからな。出て行かなくても追い出されるよ。」
「ダンナ、南部王国に我らの拠点がございます。そこへ行きましょう。」

 拠点だと?そんな報告は受けていないが。

「……激しく初耳なんだが。」
「そりゃそうです。報告を上げてませんし。何より旦那には必要ないと思って我々だけが極秘に使ってましたから。」
「建造も夜間にひっそりと行ってつい先月完成したところですからまだ綺麗ですぜ。」
「まあいいか。で、その拠点は南部王国のどこら辺にあるんだ?」
「現地で説明しやす。」

 言うが早いか、どこからともなく馬車が現れ瞬く間にオレ達3人が収容される。
 どうもこの馬車も手作りのようで所どころ職人製とは思えない粗さがある。だが、それがいい。

「カズヤ様、あの方々は?」
「そうよ説明しなさいよ。変なことされないでしょうね。」
「大丈夫だ、何かあったらすぐに償うし、やった奴は消すから。」

 しばらく馬車に揺られているとだんだん眠たくなってくる。が、突然馬車がとまり船をこいでいたオレは座席から投げ出された。

「いっつぅ~……。」
「バカじゃないの?」
「お怪我はありませんか?」
「着きましたぜ、ダンナ。……どうかしました?」
「なんでもない。」

 馬車を降りて彼らのエスコートに従っていくと崖のしたに小さな小屋があった。
 オリーブ系の緑に塗られ周りに生えている森と同化しているように見える。

「どうぞ。」

 盗賊の一人が扉を開けその中にはいる。やはり彼女たちは怯えているようだ。なにせ、アウトローの巣窟でしばらく生活するのだから。オレは平気だが少し前まで一般人だったセリナや貴族だったエリザは怖いだろうな。

「で、ここはどこだ?」

 八畳くらいのリビングの適当なソファに座り主だったメンバーを集める。そしてオレが左右にセリナとエリザがビクビク?しながら座り身を寄せてくる。
 その光景を連中はニヤニヤと薄笑いを浮かべる。

「ダンナは幸せ者ですねぇ。」
「そんな事は今は良い。」
「そうですね、ここは南部王国王都の東部14㎞の所の森の中です。東部王国の国境からそんなに離れていません。」
「ふん……。馬はあるか?」
「王都へ行かれるので?」
「ああ。」
「わかりました、用意させます。」

 次は今後の計画だがもう家には帰れないし持ち金も心許ない。ギルドに行けば口座から落とせるが面倒だ。

「お前ら、白光教会の動向がわかる奴はいるか?」
「やはり追ってましたか。連中はノルン火山に向かうとのことです。しかし、斥候からの連絡が途絶えて暫くになります。」
「わかった。」

 これで東西南ときた。ここが終われば次は北か。

「ダンナ、部屋に案内しやす。簡単な夜食も用意しやす。」
「ありがとう。」

 奴隷商に案内されて階段を下り地下の部屋に入った。まだ階段がしたに延びている。蟻の巣かここは。 
 

 
後書き
奥方の気は限りなく
長の軍は忠深く

次回 混成軍 
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