導かれし漆黒の翼
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粉砕する者
前書き
お待たせしました。
今回戦闘となります。
ではどうぞ
ここはある島。 そしてその上空にはタンク型の機動兵器が静かに佇んでいた。
(System Scan mode)
その青い流体が流れるようなゴーグルアイはなにを見逃さないように、その島の下を見ていた。
( Heat source discovery............Heat source discovery. It is decided that it will be a target and exclusion is begun.)
そして数秒後。 その島の近くにあった水面が爆発した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その光景をアレキサンダー博士とそれを見ていた。 タンク型の機動兵器がアリーナに落ちたあと、直ぐに閃光が上がるが、徐々に減っていた。
「何が起こっている、状況を説明しろ!」
博士はすぐさま固定通信機をアリーナの管制室に繋げ、状況確認を行っていた。
一足遅くなったが、アリーナ近くにある俺のガレージへと通信を繋げた。
「ガレージ応答しろ!」
叫ぶまではいかないが、程々の大声で言った。 すると、40代くらいの渋い男性の声が聞こえてきた。
「おお、シュラ坊どうした」
彼は、エドワード・スティーヴン。 巨体でゴリマッチョと呼ばれるような筋肉を持つアジア系の人だ。 年代を重ねてきた渋い顔には眼帯をつけており、その風貌に頼れるオヤジな態度から本人の希望もあっておやっさんと呼ばれている。
「おやっさん生きていたか。 アリーナが襲撃を受けている。 至急にHAC(ハイエンドアーマードコア)のタナトスを使用したい」
「なんだとアリーナが!?」
無理もなく驚いた様子でいるが、長年戦場でいたためか、直ぐに冷静さを取り戻すと、部下に命令を出した後に答えてきた。
「シュラ坊すまねえ。 まだタナトスの修理が終わってないんだ」
そのことで舌打ちをする。 前回の依頼で、中破してしまったのは悪いと思っているが、定期的なオーバーロールをせずに、やってしまったのだから仕方ない。
だが、まずいことだった。 さっきまで見えていた閃光の数は極端に減っていたのだから。 直ぐにも援軍に出たかったがそのための兵器がなかった。
考える。 あまりよくないので、必死に考えた。 その時目に付くある兵器(ネクスト)が。 そして博士はまだ通信機のところにいた。
そのあとの行動は早かった。 直ぐにネクストの元へ走る。
「おい 、待て!」
博士は怒鳴り声をあげるが、博士に見られていたとしても構わなかった。 距離的には俺の方が近かったから。
直ぐにネクストを展開モードを移行すると、ネクストのボディー部分が展開。 そこには人が入るスペースがあるため中に入る。
背中にあるAMSコネクターに接続開始する。
「うっ! つぅ............」
その瞬間脊髄と頭にバットで叩かれるような激痛が走る。 しかし、1から2秒ほどで痛みは引いてゆき、ハッチを閉鎖する。
(メインシステム通常モードへ移行)
AMSによって電子信号を直接脳内へ送れるため、HACよりも早く機体を起動させられる。
「おい、聞こえるか? さっさとでろ!」
装甲を叩く音と同時に、声も聞こえてくるが、今はそんなことで気を取られている場合ではない。 今でも戦闘は続いており、その間にも何人もの命がなくなっているかもしれないのだから。
( コジマジェネレーター停止。 補助用の燃料電池を使用。 非常用のコンデンサーも起動)
電源が落ちた音が、直ぐに電源が入り起動完了した合図があった。
「博士離れてください。 出ます!」
「おい!」
絶対に壊すなよと告げられる。 機体は非常用のコンデンサーで浮上。 補助用の燃料電池を火を入れて、OB(オーバードブースト)を起動させる。 数秒の貯め時間のあとに強力な加速とGがかかる。 そんなことを気にする暇もなく武装の確認をする。
腕部兵装は、旧メリエス社の強化型レーザーライフルのLR02-ALTAIRに同じく旧メリエス社のハイレーザーライフルのHLR01-CANOPUS、背中兵装も旧メリエス社のハイレーザーキャノンのHLC02-SIRIUSにBFF社のレーダーの050ANRだった。 火力には問題ないが、些かEN管理に注意が必要なアセンブルだった。
OBは予想より早く俺をアリーナへと到着させたのだが。
「なんだ............これは!」
そこは戦場だった。 おかしな表現だと自身でもそう感じたが、そうだと感じた。
数十機に渡る大破したHAC。
少数だが、オイルと共に流れ出る赤黒い流血。
その中心にいる兵器。
「なぜ。 破壊したはずだ。 全て。 完膚無きまでに......」
その腕で多くの鴉(レイヴン)を葬り去り。 その力故に最大戦力で挑んで、数百人の鴉を犠牲に倒した兵器が............
ソ、コ、ニ、イ、タ。
「パルヴァァァライザァァァー!!」
肺の空気を吐き出す勢いで叫び、再度、OBを使用した。
「ハァァァァァァァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
CANOPUSとSIRIUSを展開。 同時に撃ち込む。 白い閃光が銃身から飛び出し、レーザー特有の音を響かせて奴の元へ放たれる。
「........................!」
こちらに気づいたパルヴァライザーは、機械音を鳴らして、消えた。
「なに!?」
「シュライン後ろだ。避けろ」
聞き覚えのある声が言ったのと同時にレーダーにも反応したが、時既に遅し。 相手のチャージが終わったのと同時に、気休めになるかはわからないQB(クイックブースト)は吹かせ、ダメージを最小限にすべく仰け反る。
「いっ............」
背中が焼けた痛みを伴いながらも、攫われる意識だけは何とか留め、アリーナへと着地する。
「シュライン大丈夫か!?」
近くには、青いカラーが目印のミラージュ主体のアセンブルの機体《オラクル》がいた。 レイヴン名はエヴァンジェ。 彼は奴に匹敵するほどの腕とカリスマがあり、アライアンスのレイヴン部隊《アライアンス戦術部隊》の隊長を勤めている。
「隊長。 奴が動きを止めました。 攻撃しますか?」
そう彼の後ろから声が聞こえそちらには白を主体としたミラージュ製のパーツが多めで、腕レーザーの四脚の機体《バリオス・クサントス》のレイヴン名はトロット・S・スパー。 彼はアライアンス戦術部隊のの.2らしい。
「いや待て。 様子がおかしい」
そう言った後。 動けるレイヴンを集めろと指示を出す。 確かにそれは必要だが、多分足手まといを消すための口述とも俺にはとれた。
その後、大多数のレイヴンはいなくなった。 当然だ。 アライアンス戦術部隊のメンバーは隊長が負けるはずがないと思っているのだろうから。
「シュライン。 立てるか?」
「ああ。 当然だ」
と手を貸さず言うもので、機体を無理させて立ち上がる。
だが、以前としてあの兵器(パルヴァライザー)は、全くと言っていいほど動きを見せない。
「お前はどう思った。 さっきの動き」
「ああ。 あれは完全にネクストの動きだった」
そう、さっきの瞬間移動紛いの動きは、大体ネクストのQB(クイックブースト)だった。
「頭が痛くなってきた」
「そうだな。 やつはネクストと交戦したことがあるようだ。 それも一度ではない。 まだ粗さがあるのを見て2、3回は交戦しただろうな」
全く面倒極まりないと、エヴァンジェは頭を少し抑えながら言ってくるが、それは俺も同じ気持ちであった。 ACやMT(マッスルトレーサー)ならそこまでも厄介ではないだろうが、ネクストでは次元が違ったのだ。 それは何もかも全て。 それよりも聞きたいことがあったため、問いかける。
「エヴァンジェ」
「なんだ」
「奴がプライマルアーマーに類するものは張ったか?」
いやと短く答える。 なら今の所QBだけということになるが、厄介極まりない。
そろそろしかけるぞとエヴァンジェの軽い合図に了解と返す。
そして今更感が残るが、兵装を確認する。 背中兵装は完全に溶けており使用不可能。 腕部兵装は、CANOPUSは残っているが、SIRIUSはさっきの攻撃でパージしてしまい、格納兵装のパルスガンのPG03-SPICAに代わっていた。
らしくないミスだ。 戦場から数日離れていただけで完全になまっていたのだから、笑い話だ。
(久々の実践か。 本気でやらないと........................死ぬだけだ!)
身体中に血液が流れる感覚とともにスイッチを入れ替えると、今まで詰まっていたパイプが開通し、待っていたのか、かなりの量の脳内麻薬が分泌され、至る所に効果を発揮する。
こっちの準備が完了したと同時に、それを待っていたかのようにパルヴァライザーはこちらを向き、戦闘体制をとっていた。
時の流れが遅く感じ、無意識に呼吸系が荒く感じるが脳内麻薬がそれを消し去り、脳内をクリアーにしていく。
パルヴァライザーが放った爆発音がゴングを鳴らした。
エヴァンジェは前に、 俺は上に避ける。
エヴァンジェはそのタイミングでハンガーユニットからレーザーライフルのLR-81M KRSWに変更する。
ハンガーユニットシステムとは、従来のACではバックウェポンシステムが主流なのだが、キャノン系の肩の武装は、強化人間と呼ばれる人種でないと衝撃が強過ぎるためと、複雑な計算が必要なため、大多数がミサイルやロケット、レーダーが主流だったが、IS誕生後社会は10m以上の機動兵器よりもISのようなパワードスーツ系を望んでいるため、複雑かつ一部の武装は真人間には使えないバックウェポンシステムよりも、ハンガーと呼ばれる武器固定ハンガーをつけるだけのハンガーユニットシステムが採用された。 それによってACは10mから8mにまで小型化に成功し、さらにエクステンションやインサイドもショルダーユニットに一括にすることで、最高4mまで小型化に成功した。 それをAC(アーマードコア)ではなく、HAC(ハイエンドアーマードコア)と名前を変えた。
それはレイヴンであったエヴァンジェも例外ではない。 全てのレイヴンはHACに乗り換え、そして新標準パーツはゴツイや速さがないと不評で、過去のパーツを全部最新仕様に変更せざる負えなかった。 しかし、一部では新標準を使用したりしている者もおり、俺もその中の一人だ。
話を戻すと、エヴァンジェはチャージ時間が短いKRSWをチャージを開始し、フルチャージの状態でエネルギーを放出される。 やはりそれは急加速(QB)で避けられてしまう。 俺もCANOPUSを撃ち始める。 弾は有限で尚且つ弾薬費も掛かるが、背中武装とSIRIUSを
パージしてる時点で既に(資金的にも)危ないが、気にしないでおく。
がしかし、戦っていると改めて思う。 奴(パルヴァライザー)の異常性が。 ただのリンクス風情だったら、今頃は蒸発していてもおかしくなく、完全に落ちているのだが、奴は違った。 二機の攻撃をよけつつ、エヴァンジェのオラクルを的確に狙って行く。 確かにHACはネクストに比べて動きも遅く的になるだろうが、流石エヴァンジェだ。 わかっているからこそ、自身を囮にしつつ当たるであろう攻撃を余裕を持ってよけつつ、腕に持つクレスト製のリニアライフルの CR-WR93RLとKRSWで撃ち続けていた。
俺もCANOPUSで援護射撃を行うが、当たらない。
「クッ! ドミナントである私が!?」
やはりHACだったのだ。 エヴァンジェはついにパルヴァライザーの攻撃が命中する。 右肩に当たり、ショルダーユニットのミサイルに誘爆し、腕ごと落ちた。 しかし、それだけではなかった。 HACの脚部からはスパークが見えた。 あれはエヴァンジェの行動について行けなくなったのだ。 その一瞬のせいで奴の攻撃に当たったのだ。
俺は直様OBを展開する。 敵は待ってくれなく、照準をエヴァンジェに合わせていたのだから。
CANOPUSにチャージされたエネルギーを放出する。 それを回避しようとしていたが、エヴァンジェに気に取られていたためにか、それか俺を過小評価していたのか回避が遅れた。 結果奴の腕部とコアの装甲が削れる削れるだけだった。
まだチャンスはあると思っていたのはこの瞬間で打ち砕かれた。
気 づ け ば 奴 が そ こ に い た。
「クッ............グハッ!」
両腕を切断され、 その後背中兵装らしきレーザーキャノンを撃ち込んできた。 咄嗟の出来事で何も反応出来なかった俺は、自由落下をしていたところだったため、直撃を受けて、地に叩き落とされた。
奴は近づきレーザーブレードで斬りにかかった。 もうだめだ。 と思ったその時。
「${+}#+\';';|!?」
空から閃光......レーザーライフルが、奴にめがけて落ちる。 一発では無く、数発のレーザーライフルが奴を捉えて降ってくる。 回避しようにも、それを先読みしていて全弾命中していた。
「この攻撃は何者だ」
エヴァンジェはそう言った。 俺は最初彼だと思ったのだが、違ったらしい。 それにこのレーザー音は聴き覚えのある音だ。
「KARASAWAMk-Ⅲだと!? 一体誰が」
「 ............味方なのか」
エヴァンジェの呟きに返答せず、そう言った。
KARASAWAの射撃が止み、パルヴァライザーは地に堕ちた。 そして落とした主が、光の中から現れる。
「あれは。 なぜやつが!?」
そこには、H07-CRICKETを装備した重量二脚型のHACが降りてきたのだ。
「エヴァンジェ知っているのか?」
そう俺は尋ねる。 それにエヴァンジェは、驚きを隠せない声で言い放った。
「何故、貴様が生きている。ジャック・O!?」
後書き
いかがだったでしょうか?
感想などをお待ちしております。
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