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WvsA‘s ジ・ビギンズナイト

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不思議なT・波乱の予感

「ここは…?」



翔子は見知らぬ天井…

では無く、見覚えのある天井を見た。そして、自分が自分の部屋のベッドに寝ている事に気がつく…。



白い壁に淡い緑色の絨毯。棚の上にはお気に入りのウサギの人形とソフト帽を被ったクマの人形が置いてある…。どうみても自分の部屋だ…。



「夢…だったのかな…?」



自分がフィリップと同体となり謎の戦士と怪人と戦った記憶…。鮮明に覚えている…が外傷など影も形も無い…。それと車イス少女と妙なオッサンが話していたような…



「まあ、いっか。」



そう呟くと自分の部屋からでていく翔子であった…。













「問題無さそうだな…。」



電柱の影から家から出ていくランドセルを背負った翔子を見送る男…宗吉である…。



「思った以上にキツいな…リンカーコアを削られるのは…」













昨日、深夜…



シグナム達は宗吉の話を聞き終え我が家である八神家についた…。シグナム達が着くと同時に短い金髪の女性が出てくる…。



「お帰りなさい…また派手にやられたようね…。」



女性は優しくシグナム達に声をかける。



「ああ、そのとおりだな…。シャマル、主はやては…?」



「ええ、今はぐっすり眠っているわ…ただ…」



「?」



「隼人君が流石に勘づいてきたみたいよ…。そろそろ誤魔化すの限界かも…。」



「!やはり、そうか…。今夜の事については私が話そう…。シャマルは傷の治療を頼む…。」



「わかったわ…。」



そう言ってシャマルと呼ばれた女性はシグナム達を中に引き入れようとした時…



「待ってくれ…」



第三者の声が彼女らを引き留める…。



「お前は…」



驚くヴィータ。それもそのはず、先程別れた宗吉が翔子を抱えて立っていたのだから…。



「この子の傷も治してくれないか…?」



「なっ!?」



流石に驚く一同。先程まで敵としての立場であったのに今はなんと敵地に乗り込み仲間を助けてくれと言っているのだから…。



「何か狙いがあるのか…?」



ザフィーラが聞く。



「無い…。」



宗吉は即答する。シグナムは流石に目の前にぼろぼろになった少女を見て閥の悪そうな顔をするが…



「すまぬ…我々自身の事で精一杯なので…」



追い返そうとした時…



「良いじゃん…。」



「!」



なんとヴィータが承諾した。



「コイツは私のアイゼンを素手で止めてみせた…。それに闘い方が真っ直ぐだった…。私はこういう奴嫌いじゃない…。」



それに…と付け加えると…



「今後はリベンジしてやる…。」



と呟く…。「で、でも…」



シャマルがおどおどしていると…



「タダとは言わねぇ…。俺のリンカーコアを削れ…。」



「「「「!」」」」



リンカーコアとは魔導士が魔法が発動する上でパワーを発すいわばエネルギー源でもある。体内にこれが無ければ魔法は使えない。無論、それを削る、ダメージを与えるということは今後の活動に支障をきたし兼ねない。



「良いんですか?」



シャマルは訊ねる。



「ああ、遠慮はするな…。お前達の事情は知っている…。それにこの子もお前達の主と同い年なんだ…。」



宗吉は微笑む。シャマルは少し難しそうな顔をするとどこからか古めかしい本を取りだし、宗吉に右手を向ける…。



「ぐう…」



すると、宗吉の胸辺りに黒い渦が現れ、白く輝く物体がでてくる…。同時に本が怪しい光を放ちながら浮かび上がりページが勝手にめくれていく…。すると、物体は本に取り込まれてしまった…。



「終わりました…。」



シャマルが呟くと本がそのまま彼女の手に収まる…。



「ぐ…」



少しふらつく宗吉…。



「大丈夫ですか?」



シャマルが心配そうに声をかける。



「ああ…問題無い…。それよりこの子を…」



翔子をシャマルに託す宗吉…。顔には嫌な汗が伝っている。

























そうして翔子は傷は完治し、現在普通通りの生活をしているのである。





そんな事は全く知らず白い制服を身に纏い通学路をかけていく翔子…。宗吉は苦笑しながら彼女を見送った…。











そして、数十分後…。



翔子は学校の自分の席に着席していおり、帽子を大事そうに手入れしている。友人のすずかやアリサもなのはの席でお喋りをして談笑している…。翔子も一瞬だけ混ざろうかと思っがやめた…。しかし、その会話に耳を傾ける。



「知ってる?転校生来るんだって!」



アリサの声だ。少し興奮しているようだ…。



「ほんと!?全然知らなかったの。」



なのはが答える。



「しかもイギリス育ちの日系人ていう話。これは中々興味深いわね…。」



「あはは…」



転校生…この単語がやけに気になった翔子。同時に嫌な予感がした…。自分の知る人物の中で一人、イギリス風の名前の日本人を知っていたからだ…。



(まさかね…)



そうしているうちに時間は過ぎ、チャイムが鳴った…。



「起立、例!」



先生が入ってくると同時に生徒達は席に戻り朝礼を済ます…。



「よーし、皆。嬉しいお知らせだぞ…!なんと、転校生が二人も来ることになったぞ。」



「「「おおぉー!!」」」



クラス内がどよめく…。



「紹介しよう!!まずは一人目、『迅竜隼人』君だ!」

先生が言うと同時に一人の少年が入ってくる…。



「迅竜隼人だ…よろしく。以上だ…。」



顔立ちも悪く無く、クールだがどこか暗さを感じさせる少年で挨拶もぶっきらぼうだった…。



「はい、はーい質問!!」



なのはが手を挙げた…。が…





「俺に質問するな!!」



「うぇぇ!?」



あっさり拒絶された…。



「ちょっとあんた…」



「俺に質問するな!!」



「えぇぇ!?」



「あの隼人君…」



「俺に質問するな!!」



「うぇぇ!?」



後に怒ったアリサや心配した先生さえをも拒絶した。







これには騒然となるクラス…。そんなことは気にもせず、席につこうとする隼人だったが…









「待ちなさい…」



翔子が席から立ち彼を引き留めた。



「あんた…いくら何でも愛想無い…では済まされないわよ?」



「余計な事はしたく無いだけだ…。」



険悪な空気が流れる…。



「余計とは失礼にも程があるわよ…。全く…親の顔を見てみたいものね…。」



「!!」



この翔子の挑発で隼人の中で何かが切れた…。そして、次の瞬間…





「「「!」」」



彼は翔子に殴りかかった。クラスメイト達も驚くが何も出来ない…。しかし…









「甘いわね…。」



翔子も拳を繰り出し彼の拳を受け止めていた…。





両者は拮抗し、互いに動こうとはしなかった…。







「やるな…」



「そっちこそ…」



互いに認めあうような声をだすと距離をとる二人…。



「あわわ…どうしよう…。」





その様子を遠くから見守ることしか出来ないなのは。









「あんた…手加減したわね…。」



「おやっさんが言っていた…。顔と髪は女の命。そして、心は人の価値…。」



「ほお…。」



翔子は感心したような声を出すと距離をとる。



「私もあんたの親を馬鹿にしたことを謝るわ…。だけど…」



翔子はなのはを指差す。



「なのはにちゃんと謝りなさい。」



「…」



隼人は無言でなのはの席に向かう…。



(あわ…あわわ…)



内心、慌てまくるなのはだったが…





「すまない…。」



隼人は深々とお辞儀して謝罪した…。



「ふぇ?あ!いいよ別に、そんなに気にしなくて!!全然、大丈夫!!むしろ、私のほうが…」



なのはもあまりにも礼儀正しく謝られ戸惑ってしまう。



「いや…俺も癖でやってしまうんだ…。本来に失礼な事をした…。」



「…」



あまりの隼人のギャップにクラス中がシーンとなる。



「な、なら色々、事情は有るかもしれないけど…これからお友達になれるかな?」



なのはの問いかけに一瞬、「俺に質問す…」までいいかけた隼人だったが…



「よろしく頼む…」



とぎこちなく返した隼人であった…。



「一件落着ね。」



「ホッ…(良かった何も起こらなくて…)」



胸を撫で下ろすアリサとすずか。



(隼人君ともこれから仲良くしていけるかな…。)



新しい仲間に期待を膨らませるなのは。



「いや~良かった、良かった。」



安堵の声を出す謎の少年。





































謎の少年?



「「「誰だお前!?」」」





クラスメイト全員の声がシンクロする。一名を覗いて…



「フィ…フィリップ!?」



翔子は予感が的中したことに驚愕する。



「やぁ、皆さんはじめまして。フィリップ・ライトです。」

















こうして物語は加速していくのであった…。







 
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