問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
The PIED PIPER of HAMERUN ②
一輝は、ゲーム再開の前に一人、高い建物の上にいた。
「我、汝らに命ずる。我が願いの元に動き、その使命を全うせよ。」
厳かな声で命ずると同時に、一輝の目の前から、三つの物体が消える。
「よし。これで準備は終わりだな。」
一輝は立ち上がり、空を見上げる。
そしてそのまま、死と隣り合わせになる覚悟を、決めた。
==============
ゲーム再開の合図と同時に、町の風景はまったく別のものとなる。
「ここは一体・・・」
「おそらく、ハーメルンの街だ。」
鳴央の疑問の声に、一輝が答える。
「なんでわざわざ?」
「混乱が目的だろうな。実際、マンドラがまとめなければ、参加者のほとんどは混乱していた。」
「そこについては、あの人のファインプレーですね。」
三人は気楽に話すことで、緊張を和らげる。
「さて、目的の敵がいそうなところへ行くか。」
「と、いうと?」
「ダンスって名前だし、広いところじゃね?」
「そんな気軽さでいいのでしょうか・・・?」
「解んないものを考えても意味はないぞ。」
「それもそうね。」
「はあ・・・解りました。」
一輝と音央の気軽さに、鳴央は嘆息しながらも了解を示す。
「では、とりあえず街の中央に・・・」
向かいましょう。という言葉をさえぎり、大きな音が聞こえてくる。
「「「「「BRUUUUUUM!」」」」」
音のほうを振り向くと、五体のシュトロムがいた。
「・・・向かう前に、あれをどうにかしましょう。」
「ちょうど、目的地の辺りにいるから、倒さないといけないわね。」
「だな。」
一輝は倉庫やギフトカードから武器を取り出し、装備する。
横では、二人が一瞬のうちに衣装がメイド服から和服、妖精の格好へと変えていた。
「二人は二人一組で動き、一度に相手をする数は最大二体まで。いいな!?」
「「了解!」です!」
三人は一斉にシュトロムのほうへと駆け出し、攻撃を放つ。
「スリーピングビューティー!」
「ウォーターカッター!」
「アビスホール!」
そして、距離があるまま、一体を縛り上げ、バラバラにし、消し去った。
「よし、さっさと片付け」
「「「「「BRUUUUUUM!」」」」」
さらに五体のシュトロムが出現する。
「・・・OK。この広場に近づいたら出現したからには、ここに何かあるな。」
「でしょうね。」
「なら、ちょうど今、目の前にいますし。」
「シュトロムを出現元から絶つとしますか!」
一輝たちは目的を変え、広場への襲撃を始める。
「お前ら二人はそっち側からやれ!こっちは俺一人でやる!」
一輝の指示に従い、二人はシュトロムの少ないほうから攻める。
「さて・・・俺も同時に相手するのは三対にするとして、残りのやつらは・・・」
一輝はさらに増えて、散り散りになって動こうとするシュトロムたちに手を向け、一気におろす。
「地にでも縛っておこう。」
次の瞬間、シュトロムたちは自重によってその場から動けなくなる。
かつて十六夜にやったように、重力をあげたのだ。
《これで潰すってのもありなんだが・・・後のことを考えると、無謀だな。》
一輝は量産型妖刀と、水の刀を手に取り、水に乗って飛ぶ。
「さあ、デカブツ狩りの始まりだ!」
そのまま勢いで、縛っていなかった三体のうち、二体を手に持った刀で切り裂き、もう一体を足場の水を飛ばして切り裂く。
「次!」
一輝は縛っているやつらのほうに矛先を向け、狩を始めようとするが・・・
「「「「「BRUUUUUUM!」」」」」
新たに五体、シュトロムが出現する。
「本当にきりがないな!」
一輝は三体を残して縛り、その三体へと攻撃を始める。
ちなみに、全部を縛らないのは、頭痛による負担をなくすためである。
《集中力が切れたら、コントロールを失うからな。まあ、この程度なら耐えられるだろうが。》
一輝はその自信を信じて、ギフトを使い続ける。
「一回、数を片付ける!」
そういうと、一輝は自分の周りの空気を操り、巨大な空気の刃を作り出して・・・
「なぎ払え!」
一気に振り下ろした。
二次被害として建物がいくつか倒壊する。
「よし、一回さっぱりした!」
一輝が満足そうに大声で言うと、ポケットの中のDフォンがなる。
「ハイ、もしもし?」
「もしもし?じゃないわよ!この辺りにはステンドグラスがあるかもしれないのよ!」
「あ・・・」
「以後、今みたいな攻撃は禁止!いいわね!」
「そうすると、俺は無限に出てくるシュトロムを縛り続けないといけないんだが!?」
一輝はそういいながら、新たに出現したシュトロムを縛る。
「耐えなさい!」
「んな無茶な!」
一輝の抗議を無視して、通話が切れる。
「しかたがない。シュトロム切れになるまで頑張るか。」
「シュトロムは無限に現れるわ。その希望は捨てるべきよ。」
広場のほうから決して怒鳴っているのではないが、はっきりとした声が聞こえてくる。
「・・・アンタがダンス?」
「ええ。私がダンス。狂わせ、躍らせる悪魔よ。」
「無限に出てくるとは?」
「私がここにいる限り、シュトロムは無限に量産できる。」
「そんなことは・・・」
「あるのよ。だから、あなたも諦めなさい。」
「アンタにだって、体力や精神力ぐらいあるだろ。」
「ええ、確かにあるわ。でも、そんなもの、この場、この状況において、何にも関与しないもの。」
「そうかい。なら仕方がないな。俺がそこに行って、お前を倒してやるから、待ってろ。」
「このシュトロムたちをこえることが出来たら、ね。」
その言葉とともに、新たなシュトロムが十体ほど追加される。
「さてと、絶対に乗り越えてやる!」
一輝は痛みとふらつきのある頭を押さえながら、狩を再開した。
自分が想像しているより、限界はすぐそばにいるとは、考えもしないで。
後書き
こんな感じになりました。
駄文感が半端じゃない・・・
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
ページ上へ戻る