転生者が歩む新たな人生
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第26話 図書館島事件
前書き
事件ですよー
さて、期末テストも間近なある日。
2-Bで数学の授業をしているといつにも増して2-Aが騒がしい。というか、2-Bの生徒も気になっているのか、気もそぞろになっている。
しょうがない注意しに行くか。
そう思って黒板に幾つかの問題を書き、「隣を注意してくるからこの問題を解いて待っていてください」と伝えて、廊下に出る。
ワーワー、キャーキャー廊下にまで聞こえてくる。
そういえば、2-Aはネギの授業だったか? なんて思いつつ、教室の扉を大きな音がするようにわざと開ける。
あり得ない………。
教室の中を見れば、中心の5人の女子生徒があられもない姿で立っており、他のほとんどの生徒がはやし立てていたようだ。
今は大きな音に驚いて、皆がこちらを向いている。
余りの光景に唖然としていると、元々うるさかったのに加え、さっきの音が聞こえたのか、他の先生も続々と集まって来る。
「な、なにをやっとるかー!!!」
学年主任の新田先生の大声が響き渡る。
さすがは、新田先生だ。呆然として何もできなかったオレとは違い、大声で叱りとばすと下着姿の5人の生徒に服を着させ、全員席に着かせ、事情を聞き出す。
正直、麻帆良大結界でもどうにかなるのか? と言うレベルの大事件だ。授業中に生徒にストリップをさせるとか、考えられん。
期末に向けて勉強会をしようとしたら、生徒の1人から「英単語野球拳」と言う提案があったので、生徒の自主性に任せてやらせてみたら、こうなった。
ネギは「野球拳」がどういうものかも知らなかった、と言っているが、「知らないものを何故採用したのか」「採用する前にどんなものかを何故聞かなかったか」など言い訳にもなっていない。
あうあう、ネギはテンパってるようだが、2-Aの生徒だけでなく、一般の先生にも見られてしまったわけで、どうしようもない。
提案者の椎名とクラス委員の雪広を連れ、新田先生は職員室にネギを連れて行く。というか、引っ立てられていくというのが正しい感じだ。
バカだ、アホだと思っていたが、こんなことで「立派な魔法使い(マギステル・マギ)」への道が絶たれるとは、ネギに期待していた人達は皆涙目だろう。
雪広と椎名は反省文を書くという罰を与えられ、早々に解放されるが、ネギの方は延々と怒られている。
授業が終わり、先生達が戻って来てもエンドレスだ。
当然事情を知らない先生は事情を知っている先生に理由を聞くわけだが、誰もがあきれてものも言えない風情だ。女性の魔法先生達は前の「惚れ薬騒動」の件もあってか、ネギを見る視線がすごいことになってる。
指導教員の源先生が、学園長を連れて職員室に入って来て、学園長が新田先生とネギの間に割って入る。
事情は源先生から聞いているのか、「まあまあ、新田君」から始まり、「子供のしたことだから」「正式な教師への課題を受けてがんばろうとしたんじゃろ」などと必死にネギを庇っているが、新田先生は受け付けないし、周りの一般の女性の先生も許そうとせず、口を挟んで行く。泥縄である。
結局学園長が粘り勝ったというか、新田先生があきれ果てたのか、ネギの馘首は無くなり、学園長及び指導教員の源先生の減棒6ヶ月(ネギは教育実習生で給料が支給されていない)に落ち着いた。
なお、ネギは罰として魔法を1週間使えないよう封印された。
ネギへの課題は「2-Aのクラス成績を最下位から脱出させること」らしいが、今の状況下で課題をクリアしたとしても、正式な先生に採用できるんだろうか?
普通に反対意見続出すると思うんだが。
ていうか、よくそんな課題受けたなぁ。
1ヶ月するかしないかの担任が受け持つ責任じゃないと思うんだが………。なんで、課題の変更を申し出ないんだろう。不思議でしょうがない。
まぁ、ネギか成功したらしたで、高畑先生と源先生の無能さ加減が際立ってしまうんだが大丈夫なんだろうか?
相も変わらずネギは出席しない夕方の職員会議。
ぶっちゃけ、ネギが朝夕多いと日に2回ある職員会議に出ないことは、麻帆良大結界の効果で「当たり前」となっているので、誰も気にしていない。
今回の会議の臨時の議題は「来年度クラス変更をするかどうか」だ。さすがにもうどうにもならんと皆が考えているのか、要は「2-Aを分解した方が良くないか?」ということだ。集まりすぎてる濃すぎる面々をバラバラのクラスに振り分けて対応すべきではないか、ということだ。
学園長が2-Aの生徒からネギの従者(ミニステル・マギ)を見繕おうとしてるなら涙目の展開だ。しかもその原因がネギのせいとか、本当に泣いてるんじゃないか?
どの先生も思うところがあるのか活発に意見を交わし合っている。
一応オレの思うところとして、「2-Aを閉鎖し、相坂を抜いた30人を23クラスに1人または2人ずつ振り分ける。その際成績優秀者7名(超、葉加瀬、雪広、宮崎、朝倉、近衛、那波)と成績非優秀者7名(古、長瀬、神楽坂、佐々木、綾瀬、桜咲、ザジ)をペアで振り分ければそこそこ平等に振り分けれるんじゃないか?」と意見を出したら、皆真剣に検討し始めたのが印象的だった。
担任が年の三分の一は出張でおらず、副担任は優しさと甘さをはき違えてクラスを指導できない。期待? した担任見習いはセクハラで先生にして良いのか疑問。
これって既にもう学級崩壊してるんじゃね?
高等部の先生達も今のまま2-Aの生徒がエスカレーター式に上がってきたら困るだろうに。
ぼそっとつぶやいたら、先生方の目がこっちを向いてた。
真剣に教師の道を歩んでいる人ほど、どうにかしないとと思ってしまうんだろう。
結局2-Aについては、継続審議の議題となってしまった。
☆ ★ ☆
夜、日課の修練も終え、明日の授業の準備も終わり、まったりしていると、2-Aの早乙女と宮崎がノックもせずに扉を開けて入って来た。
「「大変なんですー」」
と2人してわめいて入って来たのを落ち着かせて事情を聞くと、またネギがやらかしたらしい。正確にはやらかしたというか生徒を止めれず、場に流されたらしいが。
事情はこうだ。
2-Aの毎回最下位という成績のひどさに怒った先生方が2-Aの解散を審議してるらしい。
とりわけ、成績の特に悪かった人は留年、または小学生からやり直しらしい。
図書館島の最深部に読めば頭が良くなる「魔法の本」があるらしい。
らしいらしいの噂から、図書館島へ「魔法の本」を探しに行ったとのこと。
「はぁーっ。お前らちゃんと勉強しろよぉ」
あきれはててものも言えん。言ってるけど。思わず愚痴るようにつぶやいてしまった。
「「ごめんなさーい」」
で、さらに詳しく聞くと「夜の活動時間外」に「図書館探検部しか知らない秘密の入口」から「中等部が入って良い地下3階より下」へ「内緒で部室から持ってきた地図」を参考に地下11階の地下道を進んだ先にある目的の本を「無断で借用」するために進んで行ったら、目的地から連絡が急に取れなくなってしまったとのこと。
木乃香がいるはずだから念話を飛ばしてみるが、反応がない。まぁ図書館島だから変な結界かなんかで阻まれてるのかも知れん。確か原作でも誰も怪我しなかったし、木乃香の今の実力なら余程のことでもない限り無事だとは思うが。一応木乃香には身の危険を感じたらどんな状況でも、能力を使って良いと許可はしてある。
「そういやぁ、桜咲は?」
「桜咲さん?」
「あぁ、ぶっちゃけ彼女も成績アレだろ」
「あはは。桜咲さんも行く前に訪ねたんだけど龍宮さん共々部屋にいなかったのよ」
「へぇ」
桜咲が木乃香を護衛してるなら、一応より安心できるんだが。
リニスと千雨(ちゃんと勉強していたらしい)に念話を飛ばし、一応学園外周部の警備をしていないかサーチャーで桜咲を探してもらう。
とりあえず、2人を落ち着かせるが、何をするということもできない。
まぁ2人もオレになんとかして欲しいとは思っていないだろう。とにかく自分以外に伝えたかったんだろう。
というわけで、ここは年長者に丸投げである。
ピッ、ポッ、パッ。
携帯電話で連絡を取る。
「夜分すいません、サギ・スプリングフィールドです。はい、実は少々問題が起きまして………」
ちなみに電話相手は学年主任の新田先生。
わかっている事実を淡々と落ち着いて全て伝える。
「「はぁ~~~」」
2人してため息しか出ない。
「(暁、ちょっといいか)」
そんな時、千雨から念話が届く。
「(桜咲だが………。絶賛戦闘中だ。木乃香の護衛はしてないぞ)」
どうやら、詠春殿から送られた護衛は麻帆良の警備をしているらしい。
「「「(相変わらず、使えねぇ)」」」
リニスも併せて3人の思いが一致した瞬間だった。
念話を受けている間も新田先生と話しは進み、学園長に連絡して指示を請うことになった。
なんにしろオレの役目は、2-Aの生徒達がこれ以上バカなことをしないように寮内で目を光らせておくことになった。
一応ネギ達についてはこちらの判断で話して良いことになったが、とにかく学園長と新田先生が動くので、軽挙妄動して2-Aの生徒が勝手に動かないようにしてくれとのことだった。
会話の内容を漏れ聞いていたのか、早乙女と宮崎は顔を青くしていたが、自業自得の所もあるので、図書館島に行っていない中で、2-A内で発言力のある雪広と那波を呼びに行ってもらい、その他の2-Aの生徒を寮の談話室に集めてもらった。
雪広と那波を先に呼んだのは詳しい事情を先に話し、混乱が広がらないようにするためだ。
とりわけ雪広が暴走すると2-A全体が便乗してカオスになる危険があるので、先に説明することにした。
予想通り、雪広は暴走しそうになった。
ネギが図書館島最奥で「行方不明」と聞いたときは気を失ったが、起きると同時に図書館島に探索に出ようとしたのだ。
那波がストッパーとなって止めてくれたので事無きを得たが、やはり別個に伝えて良かった。
その後、談話室で2-Aクラス全員に説明したが、助けに行きたいとかほざいてたので、ネギの課題を伝えてやって、ネギが戻って来た時に課題が受かるようにがんばって欲しいとそれらしいことを言って締めた。
別にネギがどうなろうがかまわないけど。
まぁ、あれだ。ネギはどうでも良いけど木乃香を始め他の生徒が心配だからね。
分身を残し、リニスと2人図書館島に入って行った。
千雨に新田先生の所へサーチャーを飛ばしてもらったら、新田先生から学園長の所に連絡が取れてない。
恐らく、ネギ達の相手をするのに夢中で一般教師からの連絡を絶っているんだろう。
とりあえず、新田先生は状況把握のため図書館島で図書館島探検部の顧問や大学部の幹部部員らを集め対策会議をしているらしい。
地図を広げているらしいので、サーチャーでそれを見てもらい、千雨にナビをしてもらう。
バリアジャケットを身に付け、「纏」で身体能力を強化し、「隠」でオーラと共に気配を隠し、ナビに従いとっとと潜る。
少し時間はかかったが、いかにもな部屋に着くと、真ん中で崩れ、穴が開いている。穴の下から人の声が聞こえてくるのが、多分ネギ達だろう。特に悲壮な感じはしないので、怪我とかもないんだろうなぁ。なんか心配して慌ててきたのがバカみたいでテンションがだだ下がりだ。
穴の下は何らかの結界が張ってあるようなので、ここからでも木乃香には念話が伝わらない。千雨にもそのことを伝え、リニスと2人、ミッド式の「飛行」「気配遮断」「光学迷彩」の魔法を使い、結界で相手に伝わらないよう慎重に降りて行く。
中では、元気いっぱい食糧探しやらなんやらで、遭難ライフを楽しんでいた………。
木乃香に「(帰ったら折檻な)」「(帰ったら折檻です)」とリニスと2人念話を繋ぎ、慌てて事情を説明する木乃香を放置して、部屋に帰る。
上の階で「英単語ツイスター」をやっていたのは明らかに学園長なので、放置しても大丈夫だと確信できたからだ。
念話で千雨に連絡をとったら、警察沙汰になったと大騒ぎだ。どうも、新田先生が連絡の取れない学園長にしびれを切らし、「責任は私がとる」と言って警察に連絡したらしい。
夜も明けており、図書館島自体警察に封鎖され目立つことこの上なく、野次馬もちらほらいる。
今のところ、テレビ局などのマスコミは来てないようだけど本当に大騒ぎになりそうだ。
魔法使い用の専門番号を聞いているので、学園長に連絡しようかと思ったが、目に隈を作り、必死にどうにかしようとしている新田先生を影から見てその気も失せた。
分身を消し、素知らぬ風に電話で新田先生に経過を聞き、期末試験前の最後の授業のある土曜日、普段より気持ち早い時間に学園へ行く。
試験前で忙しいはずなのにも関わらず、ほとんどの先生が既に来ており、職員室のそこかしこで話題になっている。時折見知らぬ先生を見かけるが、高等部や大学部といった別の学部の先生達も一部集まっているようだ。
どうやら朝になってようやく学園長と新田先生の間で連絡を取れ、学園長と魔法先生の一部が事態の収拾に走り回っているらしい。
で、まあ、当然ネギのことも噂になるわけで、皆さん呆れてものも言えん感じだ。
あとは図書館島や図書館島探検部。潜った生徒達の処分や学年末試験のこと。とんちんかんなことに新田先生の対応もやり玉に挙げてる空気の読めない先生もいる。皆にジト目で見られているが。
一応、学園長に呼び出され、「なんで最初に連絡せんのじゃ!」と理不尽なことを言われたので、「一般生徒がいる前で只の教員が直接学園長に連絡できるわけないでしょう。順序として学年主任に連絡とるのが一番自然です。そもそも、なんで新田先生からの連絡がつかなかったんです?」と聞き返してやった。こちらの理を認めたんだろう、何も言い返せないようだ。謝りもしなかったが。
「テレビで9歳の先生とか報道されると困りますので、ささっと対応してくださいね」と捨て台詞を残し学園長室を出て行く。「どうしてこうなったんじゃ………」なんて聞こえなーい。
むかついたのでいつもどおり関西呪術協会へリークする。
しばらくすれば、怒った詠春殿が学園長に連絡を取るだろう。
というか、ネギや図書館島に潜った生徒達はわかっているんだろうか?
自分達が「部活動の延長でちょっと入っちゃいけない場所から本を借りるだけ」と思ってやってることが、「公共施設への不法侵入による窃盗行為」だということを………。
後書き
話しの流れ的におかしな所があったらどんどんつっこんでください。
ページ上へ戻る