| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

銀色の魔法少女

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八話 強敵 後編

side 遼

 私は遠くから二人を見つめていた。

「また、てめえか」

「私は二度と会いたくはありませんでしたけどね」

 空中でにらみ合う二人。

 私は自分に身体強化を限界ギリギリまでかける。

「あん時のカリ、ここできっちり返してやろうか」

「それでもよろしいでしょうけど、あなたには無理ですね」

 片手でノートゥングを構え、顔の辺りで水平に保つ。

「な! 俺じゃあ相手にならねえってか!」

「はい、あなたではマスターの足元にも及びません」

 マスター? と彼が予想外の単語に気を取られた隙に、彼との間合いを詰める。

「な!」

 私が近くに跳んできたことによって、彼も私を認識する。

『シールド』

 彼のデバイスが円形の盾を展開するが、これは間違いだ。

 この技に、盾は通用しない。

 ちょっと前に漫画で読んで、必死に練習した。

「牙突」

 盾に剣が触れる瞬間に、右手を全力で押し込む。

「はぁ!」

 限界以上の圧力を受けた盾は呆気なく砕ける。

 そのまま私は体を回し、刀の峰を彼の腹に叩きつける。

 俗に言う、峰打ちだ。

「うぐぅ……」

 それはそのまま綺麗に決まり、うめき声を出した後に気絶した。

「お見事です、マスター」

 私は剣を鞘にしまう。

「まったく、こいつ妙にガードが硬いんだもの、一撃で決めなきゃいけないし、それにこれ二度目からは通じなくなるのが嫌なんだよね」

 たぶん、次からは避けるかいなされるし。

「それでも、マスターが勝ちます」

「はは、ありがとう……、あ、そう言えば」

 私は忘れていたが、腕に抱いているこいつのデバイスに話しかける。

「わかってると思うけど、私たちの正体については詮索禁止だからね、……破ったら次は本気で殺るから」

『……わかりました』

 低い声が彼の腕から聞こえてくる。

 まあ、気休め程度にしかならない脅しだけれど、しないよりかはマシだろう。

「じゃあ、こっちは済んだし、ユニゾンしてあっちの方を見に行こうか」

「了解しました」

 クリムが私の体に溶け、髪の色が黒に変わる。

「ふむ、まあ、口調が変わるのが難点だが、しないよりかはマシだろう」

 私はこいつを掴んだまま、なのはの元へと急いだ。

 

 いた!

 どうやらなのはは二対一で不利な戦いを強いられているらしい。

 そのうちの一人がなのはに向けて魔力弾を放つ。

 まずい!

 私はとっさに持っていたこいつを投げて、なのはの盾にした。

「ぎゃあああああああああああああああああ!?」

 うるさい悲鳴が聞こえたが無視。

「間一髪、だったかな」

 驚いた様子で、なのはたちがこちらを見る。

「まったく、我がいる街でこのような騒ぎごとを起こそうなどと、貴様ら、死ぬ覚悟は出来ておるのだろうな?」

 私は剣を抜き、こう言った。

「さあ、死にたいものからかかってくるが良い!」



side レイ

 ちっ! 新手かよ。

 俺はかなりイラついていた。

 なのはだけでも結構面倒だったのに、転生者の新手となると更に厄介だ。

「痛つつつつつ……、なんだってんだよ!」

 さっき俺の攻撃をかばった奴が起き上がる。

 結構本気だったのにダメージがない。

 まじか、スターライトブレイカー級じゃないと倒すのは難しそうだ。

 けど、そんなのここで使ったら結界崩壊どころじゃ済まない。

 それに管理局に目をつけられるかもしれないし、うかつにアレは使えない。

 となると、手は一つだ。

「フェイト! さっさとジュエルシードを回収して逃げろ!」

 フェイトは頷くとあの巨大猫の所に向かうが、さっきの奴が邪魔をする。

「我のことを無視とはいい度胸だな!」

 あいつ、今のフェイトより早い!

 ソニックフォームなら互角だろうけど、今のフェイトにはできない。

 でも、それだけ速いなら、

「フェイト! そいつの装甲は薄い! 当てれば勝てる!」

「ほお、我の弱点をすぐさま見抜くとは、主の性根とは裏腹に洞察だけは高いようだの」

 アイツはその程度どうという事はない、と笑う。

「俺のことも忘れてんじゃねえ!」

 さっきの男が俺に斬りかかってくる。

 あいつもそうだが、こいつも普通に戦ったら苦戦するかもしれないが俺にはあのスキルがある。

 あいつらが魔法を使う限り、俺に負けはない!



side ALL

 フェイトは焦っていた。

「このっ!」

 彼女は全力でバルディッシュを振るうが、かわされ、いなされ、弾き返される。

(この子、私より戦い慣れてる!)

 対して遼は戸惑っていた。

(ん~、なんか戦いづらいんだよな~、この子)

 攻撃の度に感じる。

 彼女の斬撃は軽い。

 強さは感じるけれど、何かが足りない、そんな感じだった。

 それが遼の攻撃を遅らせ、フェイトに満足に剣を打ち込むことができていなかった。

 やがて膠着状態を生み、二人は動かなくなる。

(こまったな~、どうしよう、なんかモヤモヤしたままやるのは気が乗らないんだけど、そうも言ってられないし、……なのはには悪いけど、ジュエルシードを与えて一度逃げてもらうのも手かもしれないかな)

 そこまで考えて思い出す。

(やっば! すすがの家に来てたのすっかり忘れてた! こうなったらあいつを囮にしてなのはを連れて脱出しなきゃ)

「ふむ、どうやらお主との決着は次の機会に持ち越さねばならぬようだな」

「え?」

 遼は作り出した黒い球体を握りつぶす。

 刃に使ったのと同じ、閃光弾である。

 彼らが目を塞いだ隙に、遼はフェイトに近寄り、ささやく。

「ほれ、さっさと封印するが良い」

「な!」

「仕方ないから今回はくれてやる、次までに自分を見つめ直すが良い」

 バイザーのおかげで遼の視界は良好。

「へ、あの、ちょっと」

「黙っておれ、舌を噛むぞ」

 目をつむっているなのはを回収して、遼はすぐに離脱した。

 彼らが目を開けた時、既になのはと遼はいなくなっていた。

「ちょ! 俺は置き去りかよ!」

 刃を無視して。

「さあ、どうする?」

 レイは刃に問いかける。

「ちっ!」

 刃は小さく吐き捨てると、彼も逃げて行った。

「じゃあ、封印すませちゃおうか?」

「え、あ、うん……」

 フェイトはバルディッシュを巨大猫に近づけ、ジュエルシードを封印する。

 目的は果たしたけれど、彼女の心にはモヤがかかったままだった。

(あの人、まだ戦えたはずなのに、ううん、そもそも目くらましができるなら最初に使って私かレイを墜とすことだってできたはずなのに)

 手加減された、彼女はそう実感した。

 それに、もう一つ気になることがある。

 『次までに自分を見つめ直すが良い』

(これってどういう意味なんだろう……)

 彼女の問いに答えられる者は、誰もいなかった。



 話はそれるが、ずっとユーノを探していたことになっていたなのはに、方向音痴の噂がたった。

 そのユーノは元巨大猫にくわえられてすずか邸を引きずられいたところを無事に保護されたと言う。

 
 

 
後書き
はい 第八話終了です
まあ、それはそれとして、女なのにどんどんフラグが立っていきますね、遼、
まじで百合展開になっていきそうで私的には不安です。
 
まあ、それはそれとしてお知らせを一つ
明日、もしかすると更新できないかもしれません。
できても、11と12、13日は忙しくなるので更新できません。
申し訳ございませんが、また14日に更新できるように努力しますので、
でわまた! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧