銀色の魔法少女
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第五話 少女暴走中
前書き
どうも、電子ジャーを開けたらご飯が半分以上軟化していたことが
とてもショックだったやややです。
どうしてこうなったorz。
まあ、それはそれとして、
第五話、始まります。
side ALL
「はぁ、はぁ、はぁ……、ここまで来れば、大丈夫でしょ」
アリサが息も絶え絶えに呟く。
彼女たちは逃げに逃げ、とある神社の境内にいた。
全力で逃げたため、体力自信のあるすずかでさえ肩で息をしている。
「……………………………………」
しかし、一番疲労しているのは遼であった。
途中で力尽きかけたなのはを背負って走ったため、地面に倒れて何を話しかけても反応がない、ただのしかばねのようだ。
『遼、遼、聞こえますか?』
『な、に…………』
念話ですら息絶え絶えな遼。
『遼? 何やらバイタルが乱れて…………、ま、まさか! ロリ痴漢変体誘拐魔に追いかけられて! 待っててください! 今すぐ駆けつけます!』
『うるさい!』
遼は無理やりテンションを復活させる。
こうでもしないと本当に駆けつけるだろう。
『すいません、って、そんな場合じゃありません! 近くにジュエルシードの反応があります』
『はいぃ!』
遼は僅かに動く首で辺りを確認する。
しかし、見えるのは倒れている遼に驚いている女の人だけで、ジュエルシードはみつからない。
(結界内に取り込みたいとこだけど、私が急に消えたら三人とも驚くだろうなぁ、けど、このままだと何が起こるか……)
その時だった。
何か波動のようなものを二人は感じる。
それには覚えがあった。
遼は放課後、なのはは夜に感じたものと同じものだった。
((ジュエルシード!))
しまった、と遼は少し後悔する。
無理やりにでも体を動かし、さっさと回収するべきだった。
一方なのははユーノと連絡を取っていた。
『ユーノ君!』
『うん、僕も感じた、けど、正直間に間に合いそうにない』
『わかった! なんとか私だけで封印してみる』
『なのは、大丈夫なの?』
『うん! なんだか大丈夫な気がするの』
なのははレイジングハートを手に取り、祈るように呟く。
「大丈夫だよね、レイジングハート……」
『All Right、My Master』
その様子を遼は見ていた。
念話の内容までは知らないけれど、彼女が握っている宝石の正体を彼女は見抜いた。
『クリム、予定変更、ちょっと面倒なことになりそうだから来ないで、かわりにアレを使う』
『では、誰を使いますか?』
『仮面』
『了解、今、アレは化ける事しかできませんが、それでもよろしいので?』
『うん、少しの間誤魔化せればそれでいい』
『では、死体兵士[グリムゲルデ]をそちらに転送、同時に魔力結界を展開します』
side なのは
「ちょ、え、何!?」
突然空が灰色になったかと思うと、私以外の全員が消えてしまった。
『なのは!』
「ユーノ君! これって……」
『多分、魔力結界の一種、ジュエルシードの被害が出ないためのものだと思うけど、一体誰が』
「誰かはわからないけど――」
私は後ろを振り向く。
「今はそれどころじゃないみたいなの」
そこには私よりも大きなワンちゃんが、敵意をむき出しにしてこちらを睨んでいたの。
side 刃
「おいおい、どういうことだよこれはぁ!」
ようやく目の痛みから解放された俺は、結界が張られた神社近くに着ていた。
『おそらく、ベルカ式の結界だと思われます、主人』
俺が握り締めている銃剣『ベイオット』が話しかけてくる。
「だからどういうことだって言ってるんだよ! 闇の書はまだ目覚めてないはずだろ?」
『はい、彼らはまだ目覚めていません、おそらく主人と同じ転生者の仕業だと思われます』
「くそっ!」
まさか俺と同じことを考えている奴がいるとは、完全に出遅れた。
そもそも全部アイツのせいだ!
せっかく果汁には慣れてきたところだったのに、催涙スプレーってどんな小学生だよ!
「ベイオット、なんとか破れるか?」
『はい、主人の魔力なら簡単です』
「よっしゃ!」
だったら迷っている暇などない。
俺は全力でその結界に突撃した。
side アリサ
私たちは今、神社を離れ商店街の辺りまで来ていた。
「まったくなんなのよ! あの犬のお化けは!」
あの時、女の人の叫び声が聞こえたかと思うと急に大きな犬のお化けが現れた。
けど、私たちに飛びかかったところで急に消えちゃって! 本当に訳が分からない!
とりあえず、気絶しちゃったなのははすずかが、疲れきっているこの子は私が運んでいた。
「ん?」
「あ、目が覚めたの?」
どうやら目が覚めた彼女にすずかが話しかける。
「ここ、は?」
「商店街の近くよ、ほんと大変だったんだからね、あんたたちを運ぶの!」
「ご、ごめんなさい……」
そう言うと彼女は背中から降りる。
「しっかし、あんた軽いわね、カロリメイトばかり食べるのは体に悪いわよ」
「……何でわかるの?」
驚いた様子で私に聞き返す。
「あんた昼に屋上で食べてたじゃない」
そう言えば、と彼女は思い出したように頷く。
どうやら彼女は私たちに気づいていなかったらしい。
…………それはそれでムカつくわね。
私のことなんて眼中になかったってことでしょ。
「ふ、ふふ、ふふふ…………」
いいわよ! それなら!
二度とそんなことが起きないように、彼女の友達になってやるんだから!
side 遼
「ん?」
異常に高い魔力を感じて、私は目を覚ます。
「あ、目が覚めたの?」
前にいる少女が振り返って話しかけてくる。
その背中にはグリムゲルデが化けた少女が寝たふりをしている。
彼らに感情や記憶はないため、話し出すと直ぐにバレるのが欠点だと言える。
「ここ、は?」
「商店街の近くよ、ほんと大変だったんだからね、あんたたちを運ぶの!」
視線を下げると私を背負っている少女がそこにいた。
「ご、ごめんなさい……」
私は急いで彼女から降りる。
どうやら寝てしまった私を運んでくれたらしい。
「しっかし、あんた軽いわね、カロリメイトばかり食べるのは体に悪いわよ」
「……何でわかるの?」
「あんた昼に屋上で食べてたじゃない」
「ああ、そう言えば……」
今日は珍しく教室じゃ暇だったから屋上で食べた。
多分その時に見られたのだろう。
「ふ、ふふ、ふふふ…………」
!? 何やら怪しいオーラを彼女から感じる。
……オーラ?
………………あ!?
寝ぼけていた頭が急速に回りだす。
そう言えば変な魔力を感じたから私が目を覚ましたんだった!
『クリム! 誰が突入して行ったか分かる?』
『はい、どうやら少年のようです』
『少年? そいつも管理局員なの?』
『いえ、話を聞く限りでは違うようです、これからいろいろと聞き出そうと思いますが――』
『うん、ちょっと待って! 今なんて言ったの!』
『これからいろいろと話を』
『その前!』
『話を聞く限りでは、ですが?』
『…………、ねえ、今どこで何をしてるの?』
『只今、神社で少年と交戦中です』
後書き
結論
アリサ&クリムの暴走
解説
『結界について』
遼はまずなのはを結界に取り込み、その次にワンちゃんを取り込んだため、なのはと二人とでは認識に少し誤差があります。
『死体兵士』
自身が殺害した者、または死体を自分の兵士に改造して隷属させる機能。
本来の力はユニゾンした時にのみ発揮される。
『グリムゲルデ』
誰にでも化けられる能力を持つ死体兵士。遼が一番多用する兵士。
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