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勇者指令ダグオンA's

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第五話 魂の勇者


第五話 魂の勇者

現在八神邸では宇宙警察機構、銀河連邦について論議されていた。

「それにしても銀河連邦か~」

はやて達はチームアルフェリスのことを検証していた。

「エイリアンに対して宇宙でも対策を練ってたなんてな」

ヴィータの言葉に頷くはやて。

「ええっとビルガーは宇宙拳法の使い手でボルトは宇宙忍者、ガンザーは宇宙レスラーって聞いた。でそれぞれの合体を使い分けて戦うのがチームアルフェリス」

「まぁ銀河連邦については大体わかったけど」

はやてがモニターを切り替えるとブレイブリキの姿があった。

「こいつだけは得体がしれないんだよな」

「自称六人目のヴォルケンリッターって言うてたな」

「主我々に六人目はいません」

「じゃあ何でこいつ六人目って名乗ったんだ?」

「わからないが私は奴が言った『六人目』という言葉が引っかかる」

「六人目・・・あ!」

シグナムの言葉にヴィータが気づいた。

「もし仮に奴が我らと同じ守護騎士なら『五人目』になるはずだ」

「そっか・・・リインのことかあいつが生まれたのはつい最近」

「ああ、奴が『六人目』と名乗ったのなら、奴はリインを知っている人物という事になる」

シグナム達はブレイブリキの正体が気になった。

「まぁ・・・なんにせよウチ一つだけ言える事があるんよ」

「主?」

「なんかあいつの声聞いてるの滅茶苦茶ムカついてくるんやけど」

なぜか青筋が立っているはやてに嫌な予感がしたのかシグナムとヴィータは黙った。

「六人目ってことはリインの後輩です!徹底指導します!!」

などとリインが意気込んでいたが相手にされなかった。

「あ、そういえば今日はノルウェール一等空将が来るって言ってたぞ」

「え?なんで?」

「なんでもあたし等にプレゼントがあるんだって」

その時外で車の止まる音がした。現在外出しているのはシャマルだけである。

「シャマルが帰ってきたんかいな?タクシーでもひろったんやろか」

はやてが玄関に出迎えるとそこにはブレイブエラゴに乗った力とシャマルの姿があった。

「・・・・なんであんたがおるん?」

「え~シャマルさんがうまいもん食わせてくれるからって言われたらアッシー君しろっていわれたんよ~」

飄々と答える力。そしてブレイブエラゴから降りるシャマル。

「力君。駐車はそこね」

「ふぇ~い」

力は八神邸の駐車スペースにブレイブエラゴを駐車すると八神邸にお邪魔することになった。それ見ていたはやては。

(最近の高校生はパトカー乗り回すんやなぁ)

などとダグビークルに気づかなかった。

「さぁ力君どうぞ」


「いっただっきま~す!!」

力はシャマルの手料理を非常においしそうに食べ始めた。

「あいつシャマルの料理何食わぬ顔して食ってやがる」

力の味覚に唖然とするヴィータ。はっきり言ってシャマルの料理はおいしくない。力は味音痴というわけではないが得な体質なのか他人が作ってくれたものなら、どんなにおいしくない料理でもおいしいと感じてしまう舌を持っていた。ただし自分が自分に作るものは妥協を許さないタイプでもある。

「いや~シャマルさんおいしいっすよ!」

「そう言ってくれるとうれしいわ」

喜んでいるシャマルと幸せそうな顔して食べている力。それを見ていたはやては。

(まぁ普段の食生活が食生活やからなぁ)

するとインターホンが鳴った。慌ててはやてが出るとそこには一人の老人が着ていた。

「の!ノルウェール一等空将!!」

ノルウェールが来たことで八神家は大慌てでリビングを片付け始めた。そして力を台所に放り投げノルウェールを出迎えた。

「ど!どうも!ノルウェール一等空将」

「そんなにかしこまらなくてもいい。八神三等空佐」

ノルウェールと呼ばれた老人は穏やかな口調で言った。そしてはやてはノルウェールをリビングまで案内した。ノルウェールはソファーに腰掛けはやてと話をしだした。力は話を聞かないように台所に立っていた。

(あのじいさんがはやての上司か)

などと思いながら力はノルウェールに近づいた。

「なにかな?」

「いえ。粗茶ですけどどうぞ」

「あっ。これはご丁寧に」

「って!あんた勝手に人んちのお茶煎れるな!!」

はやてに説教される力。だがノルウェールはなぜか微笑ましい顔をしながらその光景を見守っていた。一方ではリインがテレビを見ているとニュースが流れた。

「次のニュースです。先日海鳴市で起きた変死体についてですが・・・」

「うわあ怖いです~」

次の言葉が力の耳に残った。

「この変死体について警察は今の技術では有り得ないことだと発表し・・・」

「悪い邪魔した」

「え?力君」

力は黙って外に停めてあるブレイブエラゴに乗ると助手席側からシャマルが乗り込んだ。

「シャマルさん」

「どうせ力君のことだから調査しに行くんでしょ?」

「やっぱりシャマルさんは騙せませんね」

「損な性格ね」

「たまにははやてにも楽させとかないと」

「俺も行こう」

「ザフィーラのとっつあん」

後部座席にザフィーラが乗り込んだ。

「お前は隠れて無茶する傾向にあるからな」

「は~いまぁどつきあいはザフィーラのとっつあん仕込みですからね。そう簡単にはやられません」

「それでは私も行っていいかな?」

もう片方の後部座席にノルウェールが乗り込んだ。

「へ?なんでじいさんが来るの?」

「今日のプレゼントはシャマルとザフィーラにだからね。二人を連れて行くなら私も行こう」

「は~い」

どうせ断ってもついてくるだろうと思ったのか力はそのままブレイブエラゴを走らせた。

(しっかしこのじいさん何者だ?)

力は運転しながらノルウェールのことを考えていた。いくらはやての上司とはいえ自分に興味を持つのは変だと感じていた。そうこうしている内に目的地までたどり着いた。着いたのは今は使われていない閉鎖されたビルだった。

「じゃあとりあえず何かわかったらすぐに連絡で」

「ええ」

「問題ない」

「私は届け物があるから広いスペースいる」

と一同解散した。力は上の階をシャマルは下の階をザフィーラとノルウェールは外を調査した。

「それにしても広いな」

力は上から順番に階を降り部屋をひとつずつ調べた。

「一見異常ないように見えるけど」

力はシャマルとザフィーラに連絡を取り調査内容を聞くが異常無しとのことだった。そして外に二台のキャリアが届いたノルウェールの行っていたプレゼントとやらであろう。すると力は後ろに気配を感じ回し蹴りを繰り出した。だがその回し蹴りは杖で受け止められてしまった。その場に居たのはノルウェールだった。

「じ!じいさん!」

「こら!相手をよく見ないか!」

「わ!悪い」

力は戦闘体制を解くとノルウェールと調査を開始した。


「こっちだ!」

「ここから何かを感じる!!」

力とノルウェールは部屋のドアをそっと開けると中にエイリアンの群れが居るのを確認した。そしてその先にある巨大な装置のことも。

「なんだあれ?」

「あれは反重力装置」

「は?そんなもん、なんに使うんだよ!?」

「恐らくこの辺一体を浮上させて前線基地にするつもりだろう」

その時装置が起動し周辺都市が浮上し始めた。

「くっそ!シャマルさん達に合流しねえと」

だが時すでに遅し力とノルウェールの気配に気づいたエイリアンが二人に襲い掛かった。力はダグコマンダーを起動させようとするが思いとどまった。

(ここで管理局のやつらに俺がダグオンだってバレたら厄介なことになる!)

「じいさん!下がってろ!!」

力は生身で戦う決意をした。エイリアンの攻撃を力はまともに食らい壁にたたきつけられてしまった。

『キシャアアアアアアアア!!』

吠えるエイリアンに力は起き上がった。

「へっこの程度の攻撃!俺がいつもどれだけはやてにどつかれてると思ってんだ!!」

再び来るエイリアンの攻撃を力は捌きその腕に絡めついて合気道の要領でエイリアンを倒した。

「おりゃああああああ!!」

鈍い音がした瞬間エイリアンの腕の関節が折れた。悶絶するエイリアン。尚力は他人と喧嘩する際には必ず関節技に入るため相手は大体骨の二、三本は折られるので力は毎回停学を食らっている。

「力君!」

「力!」

「遅いですよ!反重力装置お願いします!!」

力は拳でエイリアンを殴り飛ばすとシャマルとザフィーラを装置のほうへ向かわせた。するとエイリアンは完全に力に狙いをつけたようだ。

「・・・これまずいよね」

「何をしている!早くダグオンになって戦うんだ!?」

「なんだよじいさん。俺の事知ってるなら最初に言ってくれよ!苦労して生身でエイリアン倒さなくてすんだじゃん!!」

ノルウェールは申し訳ないという顔をした。

「トライダグオン!!」

力の身体に水色のダグテクターが構築されていく。ヘッドが覆われる。

「ブレイブリキ!!」

力がブレイブリキに変身した瞬間ノルウェールも杖を構えた。

「じいさん!俺が突っ込む!シャマルさんとザフィーラのとっつあんに奴らが行かないようにしてくれ!!」

「よかろう!」

「とりゃ!!ブレイブクロー!」

ブレイブリキの拳にクローが展開されエイリアンを切り裂いた。

「おおおおりゃ!!!」

力の蹴りがエイリアンに炸裂するがエイリアンはノルウェールの元へ走っていってしまった。

「じいさん!」

「はぁあああ!!」

ノルウェールは杖でエイリアンを絡めとると力の前まで投げ飛ばした。ブレイブクローで力は投げ飛ばされたエイリアンを切り裂く。

「すげえなじいさん!」

「感心している場合じゃない!来るぞ!!」

ノルウェールの言葉に力が振り向くとそこには大量のエイリアンの群れがいた。

「だったら!!ブレイブライオアタァァァァック!!」

力は獣形態に変形しエネルギーの獅子となりエイリアンの群れを一掃した。

「どうだ!く!!」

力がエイリアンを一掃すると凄まじい地震が起きた。

「な!なんだ?」

力とノルウェールが外に出るとそこには巨大な円盤が姿を現した。どうやら反重力装置ごと力たちを始末するつもりのようだ。

「くっそ!じいさん!!シャマルさんたちと装置を頼む!円盤は俺が!」

「わかった」

力はノルウェールに後を任せるとブレイブエラゴに乗り込んだ。

「融合合体!!」

ブレイブエラゴが人型に変形しブレイブリキと一体化した。瞳が淡い緑色に光る。

『ダグ!ブレイブ!!』

ダグブレイブとなった力は円盤への攻撃を開始した。

『ブレイブバーン!!』

宇宙警察機構の紋章から光線が放たれるが円盤にはまるで効いていない。円盤はダグブレイブに向かって重力兵器を繰り出した。

『うわああああああああああああ!!!』

エイリアンの重力攻撃に押しつぶされそうになるダグブレイブ。ダグブレイブはそのまま地面をつきぬけ空中都市から落下してしまった。

『しまった!!』

絶体絶命のダグブレイブ。その時。

「ソウルフェニックス!!」

ノルウェールが手を掲げた瞬間巨大な鳥がダグブレイブを受け止めた。ダグブレイブはそのままソウルフェニックスに掴まれ空中都市まで戻ってきた。その時ノルウェールの姿があった。

『じいさん?』

「フレイムライナー!!」

ノルウェールが叫んだ瞬間汽笛が鳴り響いた。ダグブレイブが音のした方向を見るとそこから真っ赤なD51が向かってきた。

『あれは!?』

「とう!!」

ノルウェールは光だしフレイムライナーに吸い込まれた。そしてフレイムライナーが人型に変形した。

『チェェェンジ!!フレイムナイト!!!』

『フレイムナイト?』

突如現れたフレイムナイトに混乱するダグブレイブ。

『じいさん!あんたいったい?』

『私は宇宙警備隊。フレイムナイト』

『宇宙警備隊?フレイムナイト?まさか・・・あんたがチームアルフェリスが言ってた宇宙警備隊か?』

『そのとおりだ。宇宙警察機構のダグオンがもう一人いるとは聞いていたが。予想通り君だったとはな』

『ギシャアアアアアアアアア!!』

エイリアンの攻撃を回避するダグブレイブとフレイムナイト。

『なんだかよくわかんねえけど!俺が正面から突っ込むあんたは隙を見て死角から攻撃してくれ!』

『よし!!』

ダグブレイブがエイリアンの円盤に正面から突っ込んだ。

『ブレイブバーン!!』

ダグブレイブの宇宙警察機構の紋章から光線が繰り出されるがエイリアンの円盤はバリアを張り凌いだ。

『だったらこれならどうだ!!ブレイブマグナム!!!』

ダグブレイブはブレイブマグナムを構えると円盤に向けた。

『フルチャージシュート!!!』

フルチャージシュートも円盤のバリアが強固なのか弾かれてしまう。

『くそ!!』

『たあ!!』

エイリアンがダグブレイブに気を取られている隙にフレイムナイトが円盤の死角に回りこんだ。

『フレイムマグナム!!』

フレイムナイトもフレイムマグナムを放つが再びバリアが展開され弾かれてしまった。

『なに!?うおあ!!』

円盤のアームにフレイムナイトがつかまり地面に叩き付けられる。

『フレイムナイト!!』

『くっ!大丈夫だ!あのバリアが厄介だ。全方位に展開できるようだ』

『キャアアアアアアアアア!!!』

すると円盤から再び重力兵器が繰り出された。圧力で叩き付けられるダグブレイブとフレイムナイト。

『うあああああああああああ!!』

『おあああああああああああ!!』


一方、反重力装置の解除をしているシャマルとザフィーラが装置の解除に成功した。

「やった。これでこの空中都市は地上に降りる」

シャマルが喜んだのも束の間外ではダグブレイブとフレイムナイトが重力に叩きつけられていた。

「このままじゃ」

「まて・・・相手が違いすぎる」

「私たちにもロボットがあれば」

「っく!!」

その瞬間ノルウェールが持ち込んだキャリアから二つの光が飛び込んだ。その光がシャマルとザフィーラを飲み込んだ。シャマルとザフィーラはコックピットに座っていた。

「これがノルウェール空将のプレゼント?」

〈デバイスをセットしてください〉

〈登録認証してください〉

シャマルはコックピットにデバイスをセットした。ザフィーラは拳を当てたその瞬間光が二人の身体をスキャンしシャマルとザフィーラのデータが登録されていく。

〈登録完了・・・所有者シャマル〉

〈登録完了・・・所有者ザフィーラ〉

「これは?」

「やるだけやってみるぞ」

〈〈カモフラージュモード起動〉〉

ロボットの目から光が放たれシャマルのロボットは近くを走っていた救急車がスキャンされザフィーラのロボットは模型店に飾られていたドリル戦車がスキャンされた。

ビークルモードになり突進していくロボット。

〈〈チェンジしてください〉〉

『チェンジ!』

『チェンジ!』

シャマルとザフィーラのロボットは人型に変形した。急な増援に円盤は混乱していた。

『ライドパルス!!』

シャマルのロボットのサイレンから超音波が発せられた。円盤はバリアを展開するがバリアが超音波で粒子分解した。

『ぬおおおおおおおおおおおお!!!!』

ザフィーラが突撃すると円盤はバランスを崩した。その衝撃で重力兵器が破壊されダグブレイブとフレイムナイトは重力から開放された。

『っくは!助かった』

『大丈夫?ダグブレイブ?』

『なんとか!今だ!じいさん!!一気に決めるぞ!!』

『よし!!』

『来ぉぉい!!ブレイブローダー!!』

前線基地からブレイブローダーが発進されるとダグブレイブの下まで走った。

『勇者合体!!』

ブレイブローダーは人型に変形し胸部が展開した。

『うおおおおおおお!!』

ダグブレイブがビークルモードに変形すると胸部に収まり胸部が閉じた。ヘッドの瞳が淡い緑に輝く。

『ブレイブダグオン!!!』

『ソウルユニバース!!』

フレイムナイトは大地に両手を翳した。

『ヒィィィィン!!!』

真紅の一角獣が時空から召喚されソウルユニバースは腕、足、頭部に変形した。

『とう!!』

フレイムナイトが胴体に変形するとソウルユニバースと一体化した。

『フォームアップ!炎馬合体!フレイムナイト!』

ブレイブダグオンとフレイムナイトが降り立った。

『シャマルさん!ザフィーラのとっつあん!後は俺たちに任せてくれ!!』

『はい。任せました』

『頼むぞ!!』

『任せとけってやるか!じいさん!!』

『わかった』

『ブレイブソォォド!!!』

『ソウルブレード!!』

ブレイブダグオンはブレイブソードをフレイムナイトはソウルブレードを構え突進した。

『俺に合わせてくれよ!!』

『よかろう!!!』

ブレイブダグオンが斬り付けるとフレイムナイトが斬られた敵を受け止めそのまま斬り上げた。

『ブレイブソードクラッシュ!!!』

『ソウルブレード!!ブレイクオン!!!』

両者の一閃は円盤を中心に巨大なXを描いた。

『まだ終わりじゃねえ!!』

ブレイブダグオンとフレイムナイトは急上昇しエネルギーを収束し始めた。

『『ダブルビーストスマッシャー!!!』』

ブレイブダグオンはエネルギーの獅子となりフレイムナイトは炎の一角獣になった。二匹の獣は螺旋を描き円盤を貫いた。爆散する円盤。そして後にはシャマルとザフィーラそしてブレイブダグオンとフレイムナイトが立っていた。

「じいさんおかげで助かったよ」

「いやいや。礼には及ばない。それに実質助けたのはシャマル君とザフィーラだ」

「いえそんな」

「滅相もありません」

ノルウェールはニヤついた顔で力に言った。

「君なら八神三等空佐を任せられるかな」

「はぁ~じいさん何言ってんのよ!あいつに選ぶ権利があるでしょうが!」

などとノルウェールはやれやれといった感じであった。

(もう一人のダグオンも君のような人物なら良かったのだが)








「ったく空将もお人よしなんだから」

力たちの姿をいつぞやの赤い革ジャンの女が見つめていた。

「まっあたしの出番は当分先かねっ」

女の腕にはダグコマンダーが装着されていた。


 
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