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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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vs十六夜

「その魔王は“ノストラダムスの大予言(アンゴルモア・プロフィット)”名を『ヤシロ=フランソワ一世』と言う、破滅の予言をする魔王だ。」

「それってあの、終末論を唱えた?」
「そうだが、この箱庭では、破滅の予言とともに自らの力で破滅に導くことも出来る。
 コミュニティのメンバーも全員破滅のギフトを持つ、破滅の物語たちだ。」
「何、その嫌な集団・・・」
「コミュニティのリーダーであるヤシロが自ら集めた辛気臭い集団じゃのう。」
「挑戦するときは一気にやることにしよう。」

一輝にはそんな状況を耐えることはできないようだ。

「あとは、あのコミュニティは五桁に本拠を構えていて、たまに最下層に来ることぐらいだな。」
「なんで、わざわざ来るの?」
「新しいメンバー探しだそうだ。」

《さらに辛気臭い仲間を集めるのかよ・・・》

「・・・まあいいや。いつ来るかとかが解ったら教えてもらっても?」
「かまわんよ。解ったらすぐに連絡しよう。」
「よろしく。」

一輝としてはもう話は終わったので出て行こうとするが、白夜叉に呼び止められた。

「ちょっと待ってくれんか。もう一つ、すぐに終わる案件がある。」
「それは?」
「そこの二人はおんしに隷属しとるのだよな?」
「あのゲームから二人とも開放したからな。そうなるが。」
「では、一日預けてくれんか。あのゲームについて聞いておきたいこともあるし、こやつらが隷属するにあたって一つ、それっぽい衣装を与えたいのでな。」
「だそうだが、どうする?」

一輝はさっきから一切会話に参加していなかった二人に声をかける。

「そうね。いつまでも制服ってのも嫌だから服がもらえるのはありがたいわ。鳴央は?」
「私もかまいませんよ。それに、あのゲームについては白夜叉さんに話しておいたほうがよさそうですし。」
「とのことなので、どうぞ。明日、迎えにこればいいか?」
「ああ、それまでには注文の品も準備しておこう。」

一輝は音央と鳴央を残して、ノーネームへと向かった。



        =================



「・・・あれ?場所を間違えたかな?」

暗くなってきたころ、一輝はノーネームについたが、目の前に広がる光景に自分の目を疑った。
そこに、狐のような耳をはやした少女がいたので、一輝は彼女に聞くことにした。

「ねえ、君。」
「は、はい。何でしょう?」

《うっわー。思いっきり警戒されてる~。》

狐耳の少女は急に話しかけてきた一輝を警戒していた。

「ええっと・・・今日箱庭に召喚されて、ノーネームに入ることになった寺西一輝っていうんだけど・・・ノーネームってここであってる?」
「あ、はい!ここがノーネームの本拠です!」

一瞬で警戒は解かれた。

「・・・うん。一つ質問いい?」
「どうぞ!」
「・・・・・・マジで、ここが?」
「はい!間違いなく、ここはノーネームの本拠です。」

《・・・よし。気になることは多々あるが、後でまとめて黒ウサギに聞こう。》

「あ、申し遅れました。私はリリと申します。」
「よろしく、リリ。そういえば、何でこんな時間にここにいるの?」

普通、最初に気づくべき点に今更気づく一輝。

「黒ウサギのお姉ちゃんに一輝さんが来たら案内するよう言われたんです。」
「・・・待たせちゃってごめん。」
《そして、黒ウサギは後で説教だな》

黒ウサギへの用事がどんどん増えていく。

「大丈夫です。白夜叉さんから連絡が来てから待っていたので、そんなに待っていませんから。では、屋敷に案内しますね。」
「うん。よろし・・・」

ズドガァァァァン!!!

「・・・よろしく。」
「今の爆音完全無視なんですか!?」
「大丈夫。きっとやったのは十六夜だ。あいつ以外にこんな無茶苦茶なやつは知らん。それより、早く横になってゆっくりしたい。」
「・・・解りました。では、案内させてもらいます。」

リリは爆音が気になるようだが、案内を再開した。
再開といっても、元々その場から動かずに話をしてたんだけどな。



           ===================



リリから部屋は好きな部屋を使っていいといわれたので、最上階の角部屋を使わせてもらうことにした。
眺めがよさそうだしね。

「・・・疲れたし、風呂は簡易式でいいか。」

と言うと、一輝は水を少し取り出し、高速で回転する渦にすると、自分の体の上を這わせる。
一輝のギフトもあって、これなら濡れずに体の汚れを全て落とすことが出来る。

《風呂に入ったって気はぜんぜんしないんだよな。》

そして、寝巻きに着替えた一輝は、ベッドに横になり目を閉じる。


「おやすみなさ・・・」
「寝るな。」

寝ようとしたところを十六夜によって止められた。

「・・・何の用?寝ようとしたところを起こされてかなり不機嫌だから、今なら安い喧嘩でも買うぞ?」
「お、そりゃちょうどいい。お前のギフトと実力だけ知らなかったからな。ちょっと試したかったんだ。」
「この台詞に乗ってくるやつ、リアルで始めてみた・・・・」

一輝としては、今の台詞で終わって欲しかったようだ。

「んで?ルールは?」
「そうだな・・・外に出ての勝負。先に膝をつかされたほうの負けってのでどうだ?」
「OK。」

そのまま、二人は窓から飛び降りて外に出る。

「もう一度確認しとくが、ルールはあれで良いんだな?」
「ああ。この勝負の目的は、このコミュニティのメンバーの実力を知ることだからな。」

そのまま、二人は距離を開け、お互いに向かい合う。

「最後に、もう一個質問いいか?」
「さっさとしろよ。」
「何で、あいつらここにいるん?」

気づくと、黒ウサギにジン、飛鳥、耀と主要メンバーが集まっていた。
しかも、観客席っぽいのを作って。

「俺と一輝がバトルっていったら見に来た。」
「・・・そういや、誰にも俺のギフト見せてなかったな。」

黒ウサギたちは、一輝のどうでもいいギフトは見ているが、メインのギフトは見ていないのである。

「そういや、それってオマエのもじゃね?」
「確かに、俺の実力を知ってんのは、いねえな。黒ウサギは知ってるほうだが。」

男性陣、ぜんぜん実力見せてねえな。

「さてと、武装も終わったし、もういつでもいいぞ。」
「・・・一輝君。一つ質問いいかしら? 」
「そろそろ十六夜が、我慢の限界になりそうだから手短によろしく。」

何度も延長されてるからな。

「じゃあ手短に。あなたの武装というのはそれらのことをさしているのかしら?」

飛鳥は一輝が腰にぶら下げた水の入ったペットボトルなどを指差す。
大体、富士蔵村で装備したものから日本刀を抜いたものがある。

「そうだよ。どう使うかは見てからのお楽しみで。」
「さすがにもうはじめるぞ。」
「どうぞどうぞ。」

十六夜はポケットからコインを取り出し、コイントスをする。
そして、コインが地面にはねた瞬間、十六夜は一輝に向かって殴りかかり、一輝は十六夜に向かって水の刃を飛ばす。

結果、十六夜の拳によって水の刃は破壊された。

「何だ、その出鱈目は!?」
「オマエが言えたことかよ!!」

一輝は、自分の周りに水を漂わせ、左手に炎をまとい、右手に酸素と水素の混合気体をまとった。

「面白そうだな、オイ!」
「オマエの出鱈目もな!」

一輝は水の刃を放ち、鎌鼬を放ち、炎を放ち、爆発を起こすが、どれも十六夜に傷一つつけなかった。

それどころか、それらを石ころ一つで貫いてきた。

「あっぶねえモン投げつけてくるな!」
「こっちが投げたのはただの石ころだ! 」
「本当に、ありえねえだろ、オイ!」

一輝は武器を変えた。
今までの装備を全て捨て、ギフトカードを掲げる。

「式神展開!“攻”ならびに“武”!」

一輝のギフトカードから鎧武者の式神が二体、日本刀が二本出てきた。

一輝は鎧武者二体を十六夜のほうに向かわせる。

「時間稼ぎくらいには「オラァ!」って、一瞬で破壊した!?」

一撃で粉砕された鎧武者たちは、紙に戻り、一輝のギフトカードの中に入っていく。

「こいつら、弱すぎないか?」
「一応、妖怪退治の戦士達なんだがな!?」

《こいつ、おかしすぎるだろ。負けないことだけを考えよう。》

一輝は、勝つための作戦から負けないための作戦へと切り替えた。

「これで終わりか?」
「んなわけあるか。」
「そうこなくっちゃな。」

《あ~。うん。頭痛のことは考えないようにしよう。》

ここで、一輝の能力の代償の頭痛について説明しておこう。
これは、操るものの種類が多くなったり、そのものの規模が大きかったりするとひどくなる。
種類による増加は足し算のように増えていき、規模によるものは掛け算のように増えていく。

「十六夜!俺は負けたくないから、裏技を使わせてもらうぞ!」
「おう!何でもかかって来やがれ!」

だから・・・

《重力を百倍に。効果範囲、十六夜の周辺。》

こんなことをしたら、普通の人なら一瞬で死ぬレベルに達する。

当の一輝も、

《イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ》

頭の中はこんな感じである。
読みづらいな、おい。

「おい、こら。さすがにこれは、ありえねえだろ・・・」
「これで膝をつかないオマエがありえねえよ。さらに百倍。」

バタン!!!

この凄い音とともに、十六夜が膝をついた。
重力一万倍で方膝をつく程度って・・・。

「あったまいてー!!」

一輝はその瞬間にギフトを全て解除し、その場にうずくまる。

「おい、一輝。」
「何だ十六夜。」
「オマエのギフトは何だ?さっきのはあまりにも出鱈目すぎる。」
「そ、そうですよ!あの十六夜さんが負けるなんて!」
「まったくもってありえないわ!」
「説明を要求。」

十六夜だけでなく、呆然と見ていた黒ウサギたちも聞きに来た。

「・・・こっちからしたら、十六夜が裏技一発目に耐えたことのほうがありえないんだが?」

一輝は少し間を空けて、一言

「俺は、十六夜の周辺の重力を百倍にしたんだぞ? 」

「・・・ハイ?今、重力を、といいました? 」
「ああ。俺のメインのギフトは“無形物を統べるもの”効果は、名前の通り。形の無いものを操れる。」

「「「「・・・・・・・・」」」」

「おまえら、少しは十六夜を見習え。何で四人そろって呆然としてんだ。」

いや、これが普通だろ。十六夜みたいに納得するやつのほうがおかしい。
《目の前で見せてたのに?》
そうだよ。ってか、またこっちの文に介入してきやがって・・・

「もちろん、細かい制約みたいなのもあるし、代償として頭痛もひどいけどな。」
「へえ、頭痛ってのはどれくらいのが?」
「一番軽い水で、頭を金槌で殴られる三百倍くらい。さっきの重力操ったときのはもう例えるものがない。」
「うわぉ。」
「そういうことだから、俺に気まぐれみたいな理由で能力を使わせないでくれ。今回みたいにひどいと、結構長く残るんだよ・・・まだ痛いんだよ・・・」
「おう。解った。」
一輝のかなりマジなトーンに、さすがの十六夜も了解した。

「じゃあ最後に、オマエから見た、俺の審査結果は?」
「十分合格だよ。まさか、ここまでとは思ってなかった。」
「そりゃどうも。そこの固まってる集団はよろしく。俺はもう寝る。」
「引き受けた。」

一輝はそのまま部屋に戻り、頭痛薬を二箱飲んで寝た。
 
 

 
後書き
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