問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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問題児たちとの出会い
前書き
会話文は「」、心の中は《》、三毛猫のような動物は『』でいきます。
では、本編へどうぞ。
現在落下中
絞めることを決めたはいいが、四人とも落下するのを止められるわけではなく、ただ呆然と落下している。
一輝にいたっては《あー・・・落ちてるな~。》とか考えている。のんきだなおい。
《こっからどうするのが面白いかな~・・・湖が下にあるみたいだから落ちても死なないだろうし、水も綺麗そうで冷たそうだからこのまま落ちて思いっきりもぐったり泳ぐのも楽しいかな~。》本当にのんきだな。ってか、~そうって理由で決めていいのか・・・
そして、ほかの三人は、一輝のようにどうでもいいことを考えていたり、呼び出したやつをどう絞めるかを考えたり、遠くのほうを眺めたりしている。のんきも召喚の条件なのか?
そしてそのまま四人は《あ!!》落ちて・・・っておい!!急に大声を出すな!!ほかの三人も思考を停止してそっちを見てるぞ!!
《まずい。このまま落ちると・・・》落ちると?
《携帯とICレコーダーが壊れる!!!!》っておい!!
そんなことかよ!!もっと重要なことは今、いくらでもあるだろ!急に異世界に呼び出されたと思ったらそこが空で、落下中なんだぞ!!!!
《これより重要なことなど、今、起こっていない!!》ナレーションに突っ込むな!ってか、どうして突っ込めた!?偶然か!?
《壊れたら音楽が・・・アニソンやボカロが聴けなくなるんだぞ!?》んなこた知らん!!
《携帯とICレコーダーが壊れて俺が耐えれる可能性は・・・ない!!》だから、お前は誰に対して言ってるんだ!?
とりあえず、一輝は水には落ちないことに決めたようで、足が下になるようにし、下に向かって小さな紙を投げた。そして次の瞬間・・・
一輝は水の上に立っていた。
ちなみに、大きな水柱が三つ、上がっていた。
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そんな感じで一輝たちが無事、召喚されたことを確認した黒ウサギは召喚予定の湖に向かいながらこんなことを考えていた。
《今回呼び出した方々について“主催者”は「今回紹介した人たちは・・・人類最高クラスのギフト所有者だ・・・うん。人類最高クラスのギフト所有者ではあるんだが・・・それと同時にかなりの問題児だ。どんな事態になるかは私にも解らない。念のために胃薬を準備しておけ。」と言っていました。それほどに押す方たちならきっと、黒ウサギたちのコミュニティーの復興が夢じゃなくなるかもしれません。しかし・・・あの方が冗談を言うなんて・・・少し意外です。おっと、あそこの湖ですね。》
実は“主催者”が言っていたことには一切冗談が含まれていないのだが、黒ウサギがそのことを知るのはもう少し、ほんの少し先のことである。
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《ふう・・・どうにか間に合った。一応確認しとくか。えーっと・・・携帯とICレコーダーは・・・両方とも動くな。これで、万事解決。》してねえよ。まだ、何で呼び出されたのかすらわかってねえだろ。
そんなことを考えながら起動させたICレコーダーのイヤホンを左耳に入れていると(基本的に量耳には入れないのだ)一輝の耳に「にゃー!にゃー!」と少しあせったような猫の鳴き声が聞こえた。なので一輝は少し自分の聴覚をいじると、その鳴き声に耳を傾けた。
『お、お嬢!溺れる!溺れてまうー!!』
なんか足元にいるみたいだし、ほっとくと本当に溺れ死にしそうだったので、一輝はしゃがんでその三毛猫を拾い上げた。
「おーい。大丈夫かー?なんだか歳いってるみたいだし、こんなスカイダイビングしたらだめだろ。今いくつ?」
『うるさい!わしも年取りたくて年取ったわけでも、やりたくてスカイダイビングしたわけでもないわ!!』
「よし。そんだけ元気に文句が言えるなら大丈夫だな。えーっと・・・この猫君の?」
そんなことを三毛猫と話しながら陸に上がると、なにかに驚いたようで、目を丸くしてこっちを見ている女の子に聞いた。すると
「・・・・・・・う、うん。私の友達。ありがとう。」
「どういたしまして。」
そして俺はその子に猫を渡しながら一緒に落ちてきた二人に目を向けた。
「ったく、普通、急に空に投げ出すか?場合によっちゃその場でゲームオーバーだぞ。まだ石の中に呼び出されたほうがよっぽど親切だ。」
《石の中に呼び出されて、そっからどうやって出るんだよ・・》
「・・・・・・。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」
《よかった。俺がおかしいわけじゃないんだ。》
「俺は問題ない。」
《ないのか!?》
「そう。身勝手ね。」
《その程度のリアクションで済むのか!?》
二人の男女はフン、と互いに鼻を鳴らして服の端を絞りだした。
《・・・よし。疲れるからこれからはいちいち突っ込むのはやめよう。きっと、突っ込みキャラが現れる。》現実逃避である。
そんなことを心の中で決めながら一輝は空間に穴を開けてそこからタオルを四枚取り出すと、それをさっき言い争っていた男女にむけて、
「言い争いなんかしてないで一回落ち着け。後、風邪ひくからタオルどうぞ。」
「おっ、サンキュー。」
「ありがとう。」
二人ともお礼を言うと一輝からタオルを受け取り、髪などから拭き始めた。
「はい、そっちの君も。君の分と三毛猫の分で二枚。」
「・・・ありがとう。」
茶髪の女の子もお礼を言うとタオルを二枚受け取り、三毛猫を拭き始めた。
いや~、常に持ち物を空間に穴を開けて全部持ち歩いててよかった。
「さて、まず間違いないだろうが、お前らにもあの変な手紙が?」
「そうよ。でも、まずはその呼び方を訂正して。―――私は久遠飛鳥よ。以後、気を付けて。そこの猫を抱えているあなたは?」
「・・・・春日部耀。以後よろしく。」
「ええ。よろしく春日部さん。次に、タオルを貸してくれた親切なあなたは?」
「えっと・・・親切ってのは、過大評価過ぎるんだけど、俺は寺西一輝。趣味は読書とアニメと散歩と面白いこと探し。これから長い付き合いになりそうだけど、どうぞよろしく。あと、できれば名字の寺西じゃなくて名前の一輝のほうで呼んで。」
「解ったわ、一輝君。最後に野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」
「ずいぶんと評価に差があるな。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間だから、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれよ、三人とも。」
「そうして欲しいなら取扱説明書を作ってくることね。そうしたら考えてあげるわ、十六夜君。」
「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様。」
心からケラケラと笑う逆廻十六夜
傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥
我関せず無関心を装う春日部耀
もはやそこに参加すらせず、釣りを楽しんでいる寺西一輝
そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは、
《うわぁ・・・なんだか皆さん問題児って感じですねえ。まさか”主催者“が言ってたことが本当だなんて・・・》
黒ウサギは召喚した方々が協力する姿を想像できず、ため息を吐きながら肩を落とすのだった。
後書き
こんな感じになりました。
では、感想、誤字脱字待ってます。
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