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演劇やってたら魔王になっちゃいました!

作者:ユウスケ
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7話 神々と魔王の戦い 前編

草薙 護堂 視点

修羅場?が終わり、女性達が落ち着いたところで俺は先程、彼女達
の会話から出てきた神についての質問をした。


「神話と言う箱庭から飛び出し顕現する災害。
我々はまつろわぬ神と呼んでいる」


「まつろわぬ神……神様なのに災害なんですか?」


「小僧…お前は本当に何も知らないんだな」


ルクレチアさんと話をしていると後ろからガウルが横槍を入れてくる。
しょうがないだろう!
俺はアンタと違って一般人なんだよ!!
つーか


「俺、アンタに名乗ったよな?ケンカ売ってんの?」


「いいか、小僧。神が現れると現れた神の属性に合った現象が起きる」


「無視か?無視なのか?」


「戦の神であれば、戦争が…海の神であれば洪水が…太陽の神がであれば
顕現した土地は灼熱地獄となる場合もある」


「よし。表に出ろ年齢詐欺の筋肉達磨」


もういいよな?我慢しなくてもいいよな?
人を無視して話を続ける失礼な筋肉達磨を睨みながら拳を固める。


「こらこら、少年。ケンカをしている場合ではないぞ。
神は君に武器を与え、これから起こるであろう戦いを楽しもうとしているのだ。
悠長に喋っている時間など、もうないのかもしれん」


「…武器?そんな物、もらった覚えなんて……」


ルクレチアさんの言葉を聞いて絶句した俺は、拳を解いた
彼女の言葉が本当なら、俺はこれから起こる何かに確実に巻き込まれてしまう。
しかし、あのローブの少年から何かをもらった記憶はない。
武器がなんなのか分からなかった俺はゆっくりとルクレチアさんに質問をした。
すると彼女は俺の持っている石版を指差した。


「その魔道書には、まつろわぬ神。
ウルスラグナの権能が一つ、白馬が封じられている。
権能とは……まぁ、簡単に説明すると神の能力と言った所か」


「神の能力…権能…」


「だが、その神の贈り物も今、少年が感じている不安もすでに無意味かもしれんがな」


「え?」


「何故なら、この国には地上最強の魔王の中の魔王である
カンピオーネがいるのだから」


「あの……この家に来る時、ガウルに聞いたんですけど……
さっきこの部屋に来た、銀髪の男の人がそのカンピオーネなんですよね?
カンピオーネって、一体なんなんですか?」


「カンピオーネとは神殺しに成功した人間に与えられる称号であり、
王の中の王の事だ。しかも銀髪の男…アロウンは最古の王で現在存在する王の中で、最強の魔王だ」


「か、神殺しですか……」


なんか、日本の神社の関係者が聞いたら激怒しそうな称号だったんだな。
しかし、ルクレチアさんの話が本当なら俺は神との面倒ごとに巻き込まれなくても
済むのかもしれない。
そう考えると、先程から感じていた不安が少し和らいだ気がする。
そして、気持ちが和らいで落ち着いたせいで聞こえる音。

ズシン…ズシン…


ゆっくりと聞こえる、まるで巨大な足音のような地響き。


「来たようね……」


「エリカ。主を呼んでくる」


エリカと呼ばれた金髪の美少女と名前のしらない銀髪の美少女が会話をしている中
俺は外の様子が何故か気になって仕方が無かった。
それは謎の足音に対する恐怖からか?それとも好奇心からか?
このときの俺はまだ、分からなかった。





アロウン視点



「いくぞ、クウ」


「ぷい!」


俺の言葉に、元気良く返事をしたクウは、翼を広げ空へと舞い上がる。
そして…。
眩い光を放ち赤と白の混じる巨大な西洋龍へと姿を変えた。
俺は姿の変わったクウを見た後、俺の背後に揺らめく空間に荷物を放り込み。
窓からクウの頭に飛び乗る。


「行き先は、日本の東京だ」


「ガウ」


雨の振る中、濡れる服を気にすることなく、
行き先をクウに指示して日本に向かって飛び立つ。
神と比べたら雨など気にならないぜ!!
さらばイタリア!さらば非日常!
俺は自由だ!!

風と雨を全身に受け、自由を感じていると前方にローブを羽織った
少年がありえないことに空中で立っていた。
そう、彼は普通の少年ではなくエリカの報告で俺が現れる事を予想し、
夜逃げする事を決めた原因の神……ウルスラグナ
え?なんでここに居るの?


「古の王を呼んだつもりじゃったが……まさか貴様が生きてここに現れようとはの…」


「古の王?俺と戦いに来たんじゃないのか?」


「うむ。復活した時は貴様を探したのじゃが見当たらなくてな。
仕方がなく古の王を復活させたのじゃ」


「仕方がなくって……」


奴の言葉に呆れる俺。
神は人間をそこら辺の石ころ程度の認識がないのも知っているし、
戦神は戦いを好む事も知っているが。
どうしても呆れてくる。
まあ、大昔に『この世は王である我の物である!よって、今一度この世を我の物にしてくれる!』
と言って、暴れまわった神に比べたらマシかもしれないが…。

ズシン…ズシン…


「ふむ、どうやら本命の王も来たようじゃ」


『ウルスラグナよ、わしを蘇らせてまで強者を求める
その思い上がり…叩き潰してくれる!!』


地響きと共に現れた巨大なまつろわぬ神。
その巨大な両手にはビルのようにデカイ棍棒が握られている。
古の王と呼ばれるだけあって、かなり強そうだ。


「ハハハハハ!!来るがいい!!古の王に古き神殺しよ!!
我に今一度、懐かしき敗北を与えてみよ!!」


「さがれ!クウ!!」


「ガァウ!!」


古の王とウルスラグナの衝突により発生する暴風。
クウは俺の創った神獣であるが所詮は神獣。
神同士の戦いに巻き込まれてはひとたまりも無い。
クウに指示して後方に全力で後退する。


「ふむ、神殺しよ。主はあまりやる気がないと見える。
ならば……古の王を倒した後、果たし合おうぞ!!」


『ぬぅ!貴様。我との戦いを神殺しとの果し合いの前座にするつもりか!?』


勝手に蘇らせておいて、前座扱いされた古の王と呼ばれるまつろわぬ神は
激怒し、(おの)が手に持つ巨大な棍棒を上に掲げて眼前の敵を叩き潰す
勢いで振り下ろされ、神々の戦いが始まったと思ったのだが……。

『貴様も奴と一緒に、我が力で粉砕してくれるわ!!』

「クウ!家に戻れ!!」

なんで俺までーーー!!?
クウを逃がし、俺にまで振り下ろされる棍棒を真紅の剣『エドラム』で弾く。

こうして神々と神殺しである俺の戦いが始まった。




 
 

 
後書き
久しぶりの更新
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