演劇やってたら魔王になっちゃいました!
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6話 魔王のお家に訪問 後
人間草薙 護堂視点
「ほう、少年は一郎の孫か……わざわざ届けに来てくれてすまんな。
大変だったろう?」
「いえ……」
メイドさんに屋敷の客間に案内してもらった俺とガウル。
案内された客間のソファーにはドレス姿の二十代前半だと思われる女性が居た。
はじめはガウルの上司だと思った俺だったが、この女性こそ俺が石版を渡すために
探していたルクレチアさんらしい。
正直じいちゃんの知り合いだと聞いていたからもっと高齢な人だと思っていたんだが
違うようだ……。
「ふむ……これは面白い」
「は?何がですか?」
しげしげと石版を見つめていたルクレチアさんがニヤリと笑う。
その様子を見ていた俺はとくに面白いとは思わなかった石版がどこがおかしいのか
聞いてみた。
もしかして、汚したか?それともヒビでも入っていたのか?
「少年よ、君にこの石版をやろう」
「へ?」
「は!?ちょっと何考えてんですか!?こんな魔術のまの字も知らないような小僧に
貴重な魔道書を渡すなんて!!」
返すはずの石版を手渡されて困惑しているとガウルがその行為に驚愕し、ルクレチアさんに
反論した。
しかし、そんなガウルの反応はルクレチアさんにスルーされる。
「少年。君はここに来るまでそこの暑苦しい男以外に誰かに出会わなかったか?」
「……変なローブ姿の少年と出会いました」
ガウルをスルーしたルクレチアさんは変わった質問を俺にする。
もしかして石版を俺に渡す理由がそこにあるのだろうか?
とりあえずガウルに会う前の記憶を探る。
すると、サッカーで勝負をした少年のことを思い出した。
バスが来るまでの暇つぶしで付き合ったのだが、俺の全戦全敗。
勝負にすらならなかった。
「そうか、そうか…。
暑苦しい男、神は少年がその魔道書を所持することを望んでいるようだ」
「で、ですが……」
「偶然は必然なのだ。わからぬか?」
「………」
神が望んでいる?どうゆう事だ?
あの少年が神だとでも言うのだろうか?
微妙に状況が理解できず困惑していると、客間の扉が開かれて
三人の人間が部屋に入ってきた。
一人は金髪の美少女もう一人は銀髪の美少女。
そしてその美少女に挟まれるように立っている銀髪の赤い瞳の男。
「ルクレチア。この二人が客人か?」
「そうだ。少年の方は日本からわざわざ私に届け物を、もう一人は……付き添いか?」
「いえ、エリカ様に今後の指示を貰いに来ました」
「だ、そうだ」
「そうか」
赤い瞳の男の質問に答えるルクレチアさん。
もしかしてこの青年がガウルの言っていた大魔王様なのだろうか?
「では客人達よゆっくりしていくといい」
そう疑問に思っていると青年は俺達を一目見た後、スタスタと部屋から出て行ってしまった。
何だったんだあれ?
「よかったな少年。どうやら君は私の夫に気に入られたらしい」
「へ……夫?」
「客人に突然何を言い出すのですか!それに主と貴女は結婚していないではないですか!!」
「そうね、第一婦人は私だものね」
「エリカ!?貴女まで何を言って……」
……。
美人・美少女な彼女達が言い争う光景は、爺ちゃんが巻き起こす修羅場を俺に思い出させた。
もしかしてガウルの言っていた大魔王ってハーレム大魔王という意味だったのだろうか?
ちなみにこの光景はメイドさんがお茶を持ってくるまで続いた。
☆☆
アリアンナがお茶を用意してくると言って廊下で別れた後、客間の前でリリアナと合流
した俺は、客間で適当に客人の相手をし客間から自室に逃げ出した。
自室に篭った俺は自室のイスに座り、思考する。
日本から届け物に来たという少年。
彼の手にあった石版には眠りに入る前の俺が殺した神、ウルスラグナの気配がした。
奴は戦いの神だ、あいつがエリカの部下の報告にあった
『まつろわぬ神』なら100%この島で戦いが起こる。
目的は俺との再戦か、それとも別の神との戦いかはわからない。
だが、この島が無事ですまない事は確実だ!
……というわけで。
速攻で逃亡の準備じゃーーーーー!!
「ぷい?」
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