ハイスクールD×D 新訳 更新停止
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第1章
旧校舎のディアボロス
第4話 ダチを救ってくれ!
前書き
明日夏の戦闘がちょっとだけあります。
………あの人の髪の色と一緒だ……。
鮮血にまみれた手を見ながら、死に体の俺はそんなことを思っていた。
紅い、ストロベリーブロンドよりもさらに鮮やかな紅の髪。そう、あの人の美しく紅い長髪は、この手を染めた血と同じ色だ。学校の旧校舎の窓から威風堂々と姿を見せているあの人の髪と同じ色だ。
………どうせ死ぬのなら、あんな美少女の胸で死にたかったな……。
ー○●○ー
俺は猛スピードで町外れの公園に向かっていた。
あの後、千秋を落ち着かせ、説明して無理やり納得させて帰らせた後、見失ったイッセー達を見つける為に人気のない場所で人探しの術を使い、イッセー達を見つける。
その後、脚に強化の術を使って今に至る。
クソッ! 間に合え!
そして、公園に着いた俺の視界に入ったのは、血塗れで倒れているイッセーと、背中から黒い翼を出している天野夕麻であった。
「あら? 貴方はこの子の友達だったわね?」
「……堕天使……」
俺は声に怒気を含ませて言う。
「あら? 私達の事を知っているの?」
「……他の存在の事もな……」
「そんなに睨まないでよ。この子が私達とって危険因子だったのよ。恨むならこの子に神器を宿させた神を恨んでちょうだいね」
「……勘違いするな。俺はイッセーを守れなかった自分にイラついているんだよ……!」
そうだ、俺が不甲斐ないせいでイッセーは死んだ。
「……だが……怒りの捌け口にはなってもらうぜ!」
俺は跳んで一気に近付き、堕天使を殴り付けるが、奴は飛んでかわし、俺の拳はそのまま地面に激突する。
「へぇ、なかなかやるじゃない。フッ!」
奴はそのまま光の槍を投げつけるが、俺はそれを強化した拳で叩き落とす!
そのまま二人で睨み合っていると、突然紅い光があたり包んだ!
「ッ!? どうやらここまでの様ね。じゃあね」
そう言って奴は飛びさってしまう。
俺は光の出所を見ると、イッセーのポケットから光が発せられていた。
「これは悪魔の召喚……」
これはつまり、イッセーは虫の息だが、まだ生きているという事になる。
俺は息を呑む。
イッセーのポケットから魔法陣が描かれたチラシがひとりでに出てくる。そして、チラシから魔方陣が出現し、紅髪の女性が出現する。
「ごきげんよう」
紅髪の女性は俺を捉えると、優雅に挨拶する。
「……リアス・グレモリー……」
そう、この女性は駒王学園三年のリアス・グレモリーであった。
そして、その正体は悪魔、それもこの辺一帯をナワバリとする上級悪魔だった。
「あら、この子死にそうね? 私を呼んだのはこの子よね?」
「ええ、そうですよ、グレモリー先輩……」
「貴方はこの子のお友達かしら?」
「ええ。そして、頼みがあります……」
俺は深く頭を下げて懇願する!
「ダチを、兵藤一誠を救ってください!」
このままだとイッセーはもうすぐ死ぬ。助けるには『悪魔の駒』の力を使うしかない。
……はっきり言って、ダメ元だ。せめて、イッセーに眠る神器がこの人にとって有用な物だと可能性はあるのだが。
「……悪魔の事を知っているのね?」
「……むろん、それなりの代価は支払います……」
たとえ、この人が俺の命と言おうと俺は支払うつもりでいる。
千秋の事を悲しませるが、イッセーの死をあいつは堪える事は無理だろう。それほどあいつにとってイッセーは大切な存在だからだ。
「ふぅん? 良いわ。代価はいらないわ」
「っ!?」
俺は驚きのあまり声を出せなかった。
当然だ。『悪魔の駒』は上級悪魔にとって貴重な物だ。その貴重な物を代価なしで使ってくれると言うのだから。
「この子の事が気に気に入ったのよ」
グレモリー先輩は魅惑的な微笑みを浮かべる。
「後、友達の為に平然と命を賭けようとした貴方の事もね」
それを聞き、俺は再び深々と頭を下げる。
「……ありがとうございます」
そして、グレモリー先輩は懐からある物を取り出した。
それこそが『悪魔の駒』。チェスの駒に似せた悪魔以外の存在を悪魔へと転生させる物。死した者をも転生させて生き返らせる事もできる。
グレモリー先輩はその『悪魔の駒』の『兵士』の駒をイッセーの胸の上に置いた。その数は八個。
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、兵藤一誠よ。今再び我の下僕となるため、この地へ魂を帰還させ、悪魔となれ。汝、我が『兵士』として、新たな生に歓喜せよ」
イッセーの胸の上で『兵士』の駒八個がイッセーの胸に沈んでいく。
それにしても、『兵士』の駒八個とはな。あの堕天使も自分達にとって危険と言っていたから、イッセーの持つ神器がそれ程の強大な物って事なのか。
「これでもう大丈夫よ」
「ありがとうございます」
「しばらくは悪魔の事は秘密にしておいてちょうだい」
「自分で気付かせるためですか?」
「ええ、お願いね」
「分かりました。あとは俺がやります」
「分かったわ。お願いね」
そう言うと先輩は魔方陣を介して帰って行った。
「さてと」
俺はイッセー抱えると、俺の家に向かう。さすがにこのまま帰す訳にはいかないだろう。
……千秋への説明が面倒だろうが……。
そして案の定、千秋が血塗れのイッセーを見て暴走しそうになったので、手刀で黙らせる事になった。
後書き
イッセー、悪魔に転生しました。
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