異世界からチートな常識人が来るそうですよ(タイトル詐欺)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十七話 作者は逃亡した! だが捕まった!
前書き
お久しぶりですすいません三ヶ月ぶり? 三ヶ月半もすいませんでした!!
何とか投稿できましたが、これからも不定期長期間投稿です。
それではどうぞ!
「先程までの余興とは違うわ。触れただけで、その命に死を運ぶ風よ………!」
「なっ、!」
天を覆う陣風は、如何なる力も寄せ付けない。
黒ウサギは金剛杵を掲げて雷鳴を向けるが刹那に霧散され、手も足も出ずに逃げ惑う。
証も魔炎を放って迎撃する。しかし、互角の威力となり突破できない。サンドラが焦った様に声を上げる。
「不味い……このままじゃ参加者たちが……!」
しかし街の各所に広がっている参加者たちまでに気を配る余裕は三人にはない。証が氷の盾を作り、死の風を防ぐが、完全に防ぎ切ることは出来ず、参加者を庇った"サラマンドラ"の同士が黒い風に呑み込まれ命を落とす。
「そろそろマズくなってきてるぞ!」
黒い風に襲われそうになったサンドラを抱えて飛び退いた証が顔を顰めて叫ぶ。
黒ウサギも覚悟を決めた様に、黒と白で彩られたギフトカードを取り出す。しかし、
視界の隅に、黒い風に巻き込まれようとしている参加者が目に入った。
舞台会場にいた木霊の精霊だ。
(こ、この! 何でこんなタイミングに!)
少年の所へ跳びたいが間に合わない。しかし、直後に春日部耀が飛び降りて少年を抱き上げる。飛んで逃げようとしたが、力がまだ入らないのか逃げられずに蹲ってしまう。
「よ、耀さん!!」
黒い風が襲う瞬間、苦し紛れにギフトカードから取り出した剣を翳す。直後、周りにいた全員が驚愕する。
「………なんですって?」
ペストが震える声で呟く。それもそのはず、神格級のギフトですら相殺出来なかった黒い風を、細身の長剣が輝きを放って防いでいるのだ。それは、大空を彷彿させる蒼い輝きを放っている。黒ウサギはその輝きを見て驚愕する。
「天空の神格!? そんな、一体どうして」
「く、剣一本なんかに!」
怒りを伴ったペストが死の風をさらに集中させる。それを、巨大な鉄人形が遮った。
「DEEEEeeeeEEEN!!!」
「大丈夫⁉ 春日部さん!」
巨体の影から顔を出す飛鳥。それを見て驚嘆しながらも喜ぶ黒ウサギ。
「飛鳥さん! よくぞご無事で!」
「感動の再開は後よ! 前見て前!」
へっ? と振り返るとそこにはペストの黒い風が、
「他所見してんじゃねえぞ! この駄ウサギ!」
「い、十六夜さん!」
一瞬で現れた十六夜が黒い風を弾き返し、連れ去るようにその場から離れる。
「戦闘中に他所見をするなんてね、危ないよ☆」
「な………!?」
黒ウサギたちに気を取られていたペストは証に回りこまれ、"天国"の一撃をうけ吹き飛ばされる。
「どうするんだ? 全員集まったけど?」
黒ウサギたちのもとに戻った証が黒ウサギと十六夜に目配せする。黒ウサギは力強く頷き、
「今から魔王を倒します。時間稼ぎをお願いします!」
「それはいいが他の連中はどうする? このままじゃどんどん死ぬぞ?」
十六夜が怪我をしている腕を抑えながら聞く。すると黒ウサギは黒と白のギフトカードを取り出しながら、
「ご安心を! 今から―――月までご案内します!」
は? と声を上げる前に、気圧の急激な変化によって遮られる。
(転移か?)
目を抑えながら変化に耐える。それが収まり、目を開けると、
「ようこそ! "月界神殿"へ!」
「な………!!?」
「皆さんはしばし魔王を抑えてください! 飛鳥さんはこちらへ!」
「インドラではなくチャンドラの神格………、全てのステンドグラスが割られる前に終わらせる……!」
「はっ! やれるもんならやってみな!」
十六夜が蹴りを入れるがたやすく躱される。十六夜が切り裂いた黒い風の隙間から証が狙撃する。しかし、すぐに再生し、致命打とはならない。
「さっきのセリフは嘘でも何でもないってことか!」
「そうよ。私を倒すのなら、星を砕く一撃を用意しなさい!」
ペストの衝撃波を受けながらカウンター気味に蹴りつける。両者は互いに吹き飛び、新たなクレーターを作る。更に証が投擲剣を投げつけ、追撃する。
「あなたも同類でしょう! 大量の死者の霊を連れている」
「オマエとは違う。こいつらは俺が殺した死霊だ」
「な………!?」
「だから同情するつもりはない」
そう言って、掴み上げ、投げた……!
「………っ!?」
まさか黒い風に触れれば死ぬというのに掴んで投げるとは想像すらしなかっただろう。空中に無防備に投げ出されたペストに、
「いまよ! ディーン!」
「DEEEEeeeeennNN!!」
ディーンの投げたインドラの槍がペストに直撃する。
「この程度………なんかで……!」
ペストはまだ抗う。しかし、槍は輝きその力を開放していく。
「そんな………!」
「逃れられませんよ。その槍は正真正銘インドラの槍。我々の勝ちです。"黒死斑の魔王"」
千の雷を開放し、槍は圧倒的な熱量をまき散らしながら爆ぜた。
後書き
『昊盾』
ディアウスの天空の神格。基本的に体に常時存在しており、勝手に発動する。
証の鍛冶能力で道具に付与することも可能。春日部耀の持っていた剣に付いていた。
今回も短かったですが、久しぶりの投稿ですがどうでしたか? 次でやっと二巻が終わります……。長かった。
感想を頂けたら幸いです。
ページ上へ戻る