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トーゴの異世界無双

作者:シャン翠
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第十話 やっぱ知識は必要だよな

 この世界の名前は『ネオアス』。
 『ネオアス』には三つの大きな大陸が存在する。


 豊穣(ほうじょう)の大陸『エクスド』。
 海産(かいさん)の大陸『オージェン』。
 天空(てんくう)の大陸『ユーネピア』。


 そして、一つの大陸には、幾つか王国がある。
 その王国の一つが、ここ『エクスド』のグレイハーツだ。
 『エクスド』は豊穣の大陸と呼ばれている通り、作物がよく育ち、緑も豊かな大陸である。
 グレイハーツでも、その恩恵に与り、最初は小さな小国だったが、今では大陸随一(ずいいち)と呼んでも遜色(そんしょく)は無いほど農業が盛んである大国になった。
 各国、各大陸からグレイハーツの農産物を求める人も後を絶たない。
 また、『エクスド』にある王国は、全部で五つ。
 それぞれの国でしか採れない食物や、育たない作物などがあり、互いに交易して豊穣の大陸を支えている。


 このグレイハーツ王国の国王であるギルバニア・フィル・グレイハーツは、民にも慕われている人物みたいだ。
 何でも幼い頃は、よく街に出掛け、国民と戯(たわむ)れたり、農業を手伝ったりと、まるで王族らしくない接し方で民に接していたせいか、民の中にはギルバニアと親しい者達が山ほどいる。
 そんなギルバニアの振る舞いに辟易(へきえき)していた宮殿の者は、王族らしくはない彼に不安を覚えていたが、国王に即位する時、民からの絶大な支持によって、何の問題も起こることなく戴冠(たいかん)することができた。
 ただ、今でもたまに皆に黙って街にフラフラと出掛けることが、宮殿の者達にとっての悩みの種だという。
 だが、その人望もさることながら、政務(せいむ)にも奇才(きさい)があり、各国との交渉時にはその辣腕(らつわん)を振るいグレイハーツの発展に心を砕いている。
 また、剣や魔法にも優れた才能を持っており、まさに天才という名前を欲しいままに生きてきた男である。
 そんな人物の血を引いている娘は三人いる。
 闘悟と知り合ったクィルは次女である。
 彼女もまた血のお蔭か分からないが、人格、魔法ともに優秀であり、中でも補助魔法の腕は王国一だそうだ。
 先程見せた眠りの魔法も、彼女の才能が生み出した稀有(けう)な能力らしい。


 この世界に来て、地球と違って一番の違いは、その魔法の存在だ。
 トビラのくれた知識のお蔭で、ある程度は魔法のことを理解しているが、それでも一から教えてもらうことにした。


 魔法というのは属性魔法、補助魔法、特殊魔法の三つがある。
 属性魔法は、地、水、火、風、雷、氷、光、闇の八属性がある。
 それぞれ、下級、中級、上級とある。
 もちろん、上級に近づけば近づくほど、魔力を消費する。


 補助魔法は、攻撃、防御、速さなどの能力を上げる。
 治癒や解毒などの魔法もこの枠組みである。


 特殊魔法というのは、個人魔法とも呼ばれる。
 クィルの眠りの魔法も、どうやらこの特殊魔法に位置付けられるらしい。
 特殊魔法というのは、努力すれば会得できるという代物(しろもの)ではない。
 無論、才能があれば覚醒させることができるかもしれないが、この特殊魔法は誰もが使用できるわけではない。
 種類も定かではないが、魔法によっては国宝級と称されるものもある。
 もちろん、使用できる人物も重宝(ちょうほう)される。
 闘悟は、これまでの話を大人しく聞いていた。
 何故なら、この知識の教授を望んだのは闘悟本人だからだ。


 後はこの世界の通貨について教わった。
 日本の通貨価値と比べるとこうだ。


 銅板=一円
 銅貨=十円
 銀板=百円
 銀貨=千円
 金板=一万円
 金貨=十万円
 白金貨=百万円


 これがこの世界の通貨価値だ。


「これが、ざっとこの世界の知識だ」


 そう言ったのは、グレイハーツ王ギルバニアの隣にいる大臣の肩書(かたがき)を持つベアンだ。
 彼は見た目四十代の男性だ。
 口髭を生やした、礼儀正しそうな紳士と思われる人物だ。
 闘悟がこの世界の知識が欲しいと言って、名乗りを上げたのが彼だった。


「さあ、お前の望み通りの情報は教えた。それで、見返りとしては、何をくれるんだ?」

 
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